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災害時のフェイクニュースに注意!見分け方や信頼できる情報源

  • 2025.4.24

災害時の混乱のなかで、間違った情報が事実であるかのように拡散されてしまうことがあります。フェイクニュースに騙されないための注意点、信頼できる情報の見分け方などを紹介します。

災害時はフェイクニュースに要注意

フェイクニュースとは、SNSなどを通じて広まる嘘の情報や、誤った情報のことです。その目的は、面白半分のいたずらや、注目を集めたいという承認欲求、政治的・社会的なイデオロギー(思想)に関連したもの、金銭をだまし取ろうとする詐欺など様々です。

インターネットを利用して誰でも手軽に情報発信ができるようになった今、フェイクニュースは事実よりも早く拡散すると言われ、日本だけでなく世界的に問題となっています。
特に近年では、ディープフェイクと呼ばれるAI(人工知能)が作成した偽物の画像や動画が使われることもあり、嘘と見抜くことが難しくなってきています。

災害時のフェイクニュースは、人々の不安や善意を利用して拡散されやすく、被災地の救援活動などに混乱をもたらす恐れがあります。
拡散を止める方法は、発信元の不確かな情報をそのまま信じず、真偽を疑うこと、または確認してみることです。

フェイクニュースの例

フェイクニュースには様々な例があります。災害時に拡散されやすいパターンを紹介します。

偽の救助要請

「地震で倒壊した家のなかに閉じ込められています。住所は○○です」
「〇〇で救助を待っている人がいます。拡散お願いします!」

災害時にはこのような救助要請がSNSで拡散されることがあります。しかし、2024年の能登半島地震の際には、X(旧Twitter)に投稿された救助要請の約1割が嘘の情報だったという調査報告があります。

またXでは、課金ユーザーが一定のインプレッション(投稿の表示回数)を獲得すると、収益を受け取れるため、注目度の高い投稿を大勢の人がコピーする事例(いわゆるインプレゾンビ)が増えていて、能登半島地震ではそのほとんどが海外からの投稿だったと推測されています。

地元の消防に届いてほしいという善意で拡散する前に、その救助要請は本物なのか、投稿者のプロフィルや過去の投稿などを確認してみる必要があると言えます。

起こっていない災害を発信

「大雨で〇〇川のダムが決壊したそうです、近くの人は逃げてください!」
「さきほどの地震で、○○港に津波が押し寄せています。これは今の映像です」

台風の接近中や、地震の直後などに、このような嘘の情報が流れることがあります。悪意ではなく、不安から誤った情報が広まってしまうこともありますが、中には過去に起こった災害の映像などを、今起こっているかのように伝える悪質なフェイクニュースもあります。

また、起こっていない災害の予知にも注意が必要です。

「富士山に地震雲がかかっています」
「一週間以内に大地震が起こるかもしれません」

地震雲や、地震の前にナマズが騒ぐなどの伝承を、まったくの嘘と言い切ることはできません。しかし、最新の科学技術をもってしても、正確に地震を予知することはできないのが事実です。
このような災害の予知も、人々の不安をあおることにつながるので、拡散したりしないようにしましょう。

陰謀論

「地震や山火事などの災害が、人工的に引き起こされている」
「地球温暖化による気候変動など、実際には起こっていない」

近年このような災害陰謀説や、気候変動に関する偽情報がSNSなどを通じて拡散されることが増えています。

このような情報発信の背景には、政治的・社会的なイデオロギー(思想)があると考えられていますが、人々の興味や関心を引く内容となっていて拡散されやすく、注意が必要です。

2024年には国連とユネスコが中心となって、気候変動対策を阻む組織的な偽情報に立ち向かうために、「気候変動に関する情報の誠実性のためのグローバル・イニシアチブ」を立ち上げています。

フェイクニュースが拡散した事例

日本での災害時に、実際に拡散されたフェイクニュースや誤情報を紹介します。

東日本大震災 石油コンビナート火災に関するチェーンメール

2011年の東日本大震災では、千葉県の石油コンビナートで火災が発生し、「有害物質を含んだ雨が降る」という誤った情報が携帯メールを中心に広がりました。
このメールは「重要な情報なので、できるだけ多くの人に広めてください」と書かれている、いわゆるチェーンメールでした。

たとえ善意で拡散された情報であっても、チェーンメールは人から人へと伝わるうちに情報の発信者が分からなくなること、伝言ゲームのように内容が途中で変わってしまう可能性が高いことなどから、その情報が正しいかどうかに関わらず、転送を止めたほうがよいとされています。

熊本地震 「動物園からライオンが逃げた」というSNS情報

2016年の熊本地震では、「地震のせいで、家の近くの動物園からライオンが逃げた」という情報が、街中を歩いているライオンの写真とともにSNSに投稿されました。これを受けて、動物園には問い合わせが殺到し、職員が対応に追われる事態になりました。さらに、公式サイトのサーバーが一時的にダウンして、誤情報であることを知らせることもできませんでした。

この投稿は面白半分のいたずらで、投稿者は熊本県に住んでいる人ですらありませんでした。この事件では、災害時にSNSにデマを流し業務妨害を行ったという容疑で、投稿者が逮捕されています。

台風15号 「ドローンで撮影された水害の様子」というディープフェイク

2022年の台風15号では、記録的な大雨により静岡県を中心に、土砂災害や河川の氾濫などが発生しました。
その最中に「ドローンで撮影された静岡県の水害」とたくさんの住宅が水没している画像がSNSに投稿され、大勢の人が注意喚起のために拡散しました。しかし、画像はAIを使って生成した偽物でした。

能登半島地震 相次いだ嘘の救援要請

2024年に起きた能登半島地震では、「家族が家具に挟まれて動けません。助けて」という嘘の救援要請が、詳細な住所とともに拡散されました。
この投稿を見た警察官が現地に向かったものの、実際にはそういった事実はありませんでした。のちに、デマを投稿して県警の捜索活動などを妨害した偽計業務妨害の容疑で埼玉県に住む人が逮捕されています。

能登半島地震ではこのような嘘の救援要請や、偽の寄付を募る支援要請が相次ぎました。また「人工地震だ」「原発から海に油が漏れだしている」などの偽情報・誤情報も拡散されています。

正確な情報源を知っておこう

SNSに表示される投稿や検索サイトで検索した結果は、利用履歴などを分析してフィルタリングされています。つまり、フェイクニュースをクリックすると、その後同じような情報が表示されやすくなる恐れもあるのです。

インターネットは災害時の情報収集に役立つものですが、偏った情報に惑わされないよう、災害時に正確な情報が得られるところを知っておくことが大切です。

自治体

災害時に避難情報を発令するのは、自治体です。都道府県単位の情報をまとめた「防災ポータルサイト」をブックマークしておきましょう。
東京都や宮城県のように、自治体が防災アプリを運用しているケースも増えています。自治体の公式SNSをフォローして、通知が受け取れるようにしておくのも一案です。

官公庁

気象庁のサイトでは、「防災情報」などから大雨、地震、津波、火山などの警報・注意報を確認できます。「キキクル(危険度分布)」では、土砂災害や浸水のリスクを地図上の色で示してくれます。

大手メディアなど

公共放送のNHKでは「あなたの天気・防災」で全国の天気予報と警報、注意報、避難情報などを発信しています。
防災アプリ「Yahoo!防災速報」は、現在地と、自宅と実家など、国内3地点の災害情報の通知を受け取ることができます。

あやしい情報を見分けるには

流れてきたフェイクニュースの拡散を止めるのは、一人一人の情報リテラシー(情報を活用する力)です。情報の真偽を見分ける方法も紹介します。

発信元を確かめる

その情報の発信元は誰ですか。信頼できる人またはメディアでしょうか。その発信元が、これまでにどんな情報を発信しているのか確認してみましょう。文章にあやしげなところがあるなどの違和感も、嘘を見破る手立てとなります。

一次情報を探す

伝聞は、途中で内容が変わっている恐れがあります。内容に疑問を感じたら、元々の情報の出どころを探してみましょう。

古い情報に注意

情報が発信された日時を確認することも大切です。特に災害時には、状況が刻々と変わることがあります。

他の情報と比べる

その情報は、他でも発表されているでしょうか。
信頼できるメディアや、自治体、官公庁などが、同じ情報を発表しているか確認してみてください。

また、認証を受けた団体などが情報の真偽を調査・検証する「ファクトチェック」も行われています。日本ファクトチェックセンター(JFC)、ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)などで結果を見ることができます。

フェイクニュースが拡散される原因

昨今の災害時にフェイクニュースが拡散されている主な場所は、SNSです。

2011年の東日本大震災直後の情報収集では、SNSをよく利用する人は少なかったものの、「即時性・地域性の高い情報が得られた」という声が寄せられています。
災害発生直後の電話がつながりにくいときでも、インターネットにはつながることがあるので、SNSを情報収集や安否確認のツールとして利用する人が増えています。

フェイクニュースはそうした人々の不安をあおり、情報を誰かに知らせたいと思わせます。

感情に訴えかける情報を見聞きしたとしても、嘘に騙されないという意志を持って一度手をとめ、情報元を確認しましょう。

まとめ

災害時のフェイクニュースは、SNSが拡散のツールとなり爆発的に増えています。広がるスピードも急速になり、さらにAIによるディープフェイクが、真偽を見分けにくくしています。
災害時には正確な情報を確認して、フェイクニュースの拡散を防ぎましょう。

<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。

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