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腸内フローラ検査ってどうなの?費用や分かることを専門家に聞いてみた|腸活の第一歩は“自分の腸”を知ること

  • 2025.4.24

「食事に気をつけているのに、なんとなくお腹がスッキリしない」「自分の腸内環境、実はどうなっているの?」そんな疑問やモヤモヤを感じていない?

今、注目を集めているのが“腸内フローラ検査”。腸内環境を“見える化”して、自分に合った食事や生活習慣を考えるヒントになるとして、じわじわ関心が高まっているんだとか......。

そこで今回は、腸内フローラ検査サービスをはじめ、菌を摂る・育てる・守る、という腸活メソッドにもとづいたサプリメントや食品、生活雑貨などを手掛けるAuB(オーブ)の創業者であり代表を務める鈴木啓太さんに、その魅力・費用・検査から分かることを教えてもらった。(「」以下・鈴木さん)

腸内フローラとは

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「“腸内フローラ”とは、腸内に生息する細菌たちの集まりのこと。腸の壁、いわゆる“腸壁”にびっしりと住んでいる細菌たちを顕微鏡で覗いてみると、まるでお花畑のように見えることから、“フローラ(花畑)”と呼ばれるようになったと言われています。その種類はおよそ1,000種くらいで、重さにして約1〜1.5kg程度。個数にすると約100兆個もの細菌が私たちのお腹に住んでいると言われています」

なぜ腸内細菌が大切なの?

「腸を“工場”にたとえると、腸内細菌はそこで働く“従業員”たち。日々、私たちの体の中でせっせと働いてくれているのです。

食べたものはまず咀嚼され、胃で消化されてから小腸に送られます。小腸では、タンパク質やミネラル、脂質などの栄養素が吸収されますが、食物繊維やオリゴ糖などはそのまま大腸に届きます。このとき、大腸にいる腸内細菌たちがそれらを“エサ”にして発酵し、私たちの健康に役立つ物質(短鎖脂肪酸など)を作り出すのです。働いた菌たちはその役目を終えると死骸となり、水分と一緒に吸収され、最終的には便として体外へ排出されます。

ヨーグルトや発酵食品は“菌をとる”方法で、食物繊維やオリゴ糖は“菌を育てる”ためのエサ。もともと100兆個以上もの菌が棲んでいる腸内では、菌たちがバランスを取り合いながらひとつの“生態系”を作っているのです。だからこそ、“菌をとる”“菌を育てる”ことが、腸内環境を整えるうえでとても大切。

腸という工場の中で、良い従業員が良い仕事をしてくれれば、生産性も高くなり、体にとって良い物質がしっかり作られますよね。腸内細菌はそういった役目をしてくれるのです」

腸内フローラを整えることのメリット

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① 不調に負けにくい体を目指せる

「まず、免疫の約7〜8割が腸に集まっていると言われています。よく“免疫力を高めよう”と言いますが、実は“落とさない”ことが大切なのです。

本来しっかり休めている、バランスよく食べている、軽く運動している、という状態であれば、免疫はしっかり働いているものなんですよ。でも、体が疲れていたり、栄養が不足していたりすると、そこにウイルスが入ってきて風邪をひいてしまう。また逆に、免疫が“高く出すぎる”と、アナフィラキシーやサイトカインストーム、花粉症などという問題にも関係してきます。そのため、腸内細菌の働きと免疫の関係についてはさまざまな研究がありますが、腸内環境が整っていることで免疫のバランスが保たれやすいといった報告があるのです」

② 気分のゆらぎに寄り添う

「2つ目は、気持ちの面との関わり。実は、幸せホルモンとも呼ばれる“セロトニン”の約7〜8割が、腸の中で作られていると言われています。腸は“第二の脳”と呼ばれることもあり、体と心をつなぐ大事な場所なのです。

腸と脳はお互いに情報をやり取りしていて、その関係は“脳腸相関(のうちょうそうかん)”とも言われています。腸内環境が良い状態に保たれていると、ストレスへの感じ方や、気分の浮き沈みにもやさしく働きかけてくれる可能性がある、と考えられているんですね。もちろん個人差もありますし、まだ研究途中のことも多いのですが、腸を整えることで“なんとなく落ち着く”“気分が前向きになる気がする”という実感につながることもあるかもしれません」

人によって腸内フローラの数は違うの?

「菌の“数”というより、“種類の豊かさ(多様性)”が重要になります。同じ100兆個の菌がいても、種類が豊富な方がバランスが取れた腸内環境とされています。検査ではこの“多様性スコア”も測ることができますよ」

腸内フローラの検査とは?検査キットで分かること

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「検査は自宅でできるものがほとんどです。専用のブラシで便を採取し、試薬に入れて郵送するだけで、腸内細菌の多様性や、太りやすさ・免疫・美肌との関係性などを可視化できます。 内容はサービスによって異なりますが、いずれも研究論文に基づいた傾向や参考データとしての位置づけで、“今の自分の腸内環境がどういう状態なのか”を知る手がかりになります」

腸内フローラの検査をするメリット

「大きなメリットは、“自分の腸内の状態を知る”こと。お腹の中って、自分では見られない場所ですよね。でも、検査をすることで、今の腸内環境の傾向を“可視化”できるようになります。それだけでも、“自分は今こういう状態なんだ”と知るきっかけになりますし、何かを始める第一歩になります。食に気をつかっているつもりでも、検査結果から見えてくる“本当に自分に合った食生活”は、意外な発見があるかもしれません。

また、一部のサービスではオンラインでのフィードバックや生活改善アドバイスも受けられるなど、検査後の“伴走”があるのも心強いポイントです」

腸内細菌には性格や好物があるってホント?

「実は、菌によって“好きな食べ物”が異なることがわかってきています。私たちも、さまざまな食物繊維を使った実験を行っており、海藻系・穀類系・果物系など、種類によって菌の反応に違いが見られることがあります。

たとえば、ビフィズス菌は海藻類で活性化しやすかったり、乳酸菌は穀物系、酪酸菌は果物系の繊維と相性が良い傾向が見られるケースもあります。どんな種類の食物繊維を摂るかによって、腸内で育ちやすい菌のタイプが異なる可能性があるため、いろいろな種類の食物繊維をバランスよく取り入れることがおすすめされます。

また、菌そのものに“性格”があるかどうかは明らかではありませんが、腸内環境の状態が人の気分や行動に影響を及ぼす可能性があるという研究は数多く報告されています。たとえば、腸内バランスが整っているとストレスに対する感じ方がやわらぐ傾向が見られたり、逆にバランスが崩れていると不安を感じやすくなる......といった報告もあります」

おすすめの検査キット

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「腸内フローラの検査キットは現在、いくつかの企業やサービスから提供されています。キット自体の機能に大きな違いはないことが多いのですが、ポイントになるのは、検査後にどんなレポートが返ってくるのか、そしてその後のフォローがどれくらい充実しているかです。たとえば、単に結果だけが返ってくるものもあれば、オンラインでの解説や、生活習慣へのアドバイスが受けられるサービスもあります。自分に合ったサポート体制を選ぶのが、キットを有効活用するポイントです」

費用は?

「検査キットの価格はおおよそ2万円前後が一般的です。サービスの内容やサポートの有無によって価格には幅がありますが、オンラインで購入できる個人向けのキットはこのくらいかなと思います。また、医療機関で受ける検査の場合は、医師のカウンセリングや解説がセットになっていることもあり、4万円程度になることもあります」

理想的な腸内環境を作るには

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「私たちがこれまでに多くの検査データや研究文献を見てきた中で、ひとつの傾向として言えるのは、“多様性が高いこと”と、“短鎖脂肪酸を作り出す菌が多く存在すること”。この2つが、良好な腸内環境の特徴としてよく挙げられています。

短鎖脂肪酸には、酪酸・酢酸・プロピオン酸などがあり、これらは腸内細菌が食物繊維などを発酵・分解することで生み出されます。これらの物質は腸内を弱酸性に保ったり、腸のバリア機能や整腸作用に関与しているとされていて、近年注目が集まっています」

腸内菌はどう育てる?

「まずは菌を“取る”、“育てる”ことが大切です。

たとえば、ヨーグルトや発酵食品などで“菌そのもの”を摂ることは、いわば外から菌を補う方法です。一方で、食物繊維やオリゴ糖といった“菌のエサになるもの”を取り入れることは、お腹の中の菌を育てるというアプローチになります。腸内には100兆個もの菌がいると言われていますが、そのバランスや種類は人それぞれ。腸内には小さな生態系のような世界が広がっていて、多様な菌が存在し、お互いに作用しながら暮らしています。だからこそ、さまざまなタイプの食物繊維を取り入れて、“菌を育てる環境”をつくってあげることが大切なんです。

そして、実は腸内の状態って便やおならの匂いにも表れることがあります。たとえば、焼肉や高タンパクな食事をたくさんとったあと、便がちょっと硫黄っぽい、温泉のような匂いがすることがあると思います。これは、小腸で吸収しきれなかったタンパク質が大腸に届き、タンパク質を好む菌(いわゆる悪玉菌)がそれを分解して硫化水素などの物質を出していると考えられています。

逆に、食物繊維が豊富な食事をしていると、便が少し酸っぱいような発酵系の匂いになることがあります。もちろん匂いには個人差もありますが、こうした弱酸性っぽい腸内環境がいいとされています」

腸内環境を変えるための習慣

① 朝の“歯磨き”は一番に

「お腹の中の菌と口の中の菌は無関係ではありません。寝ている間に増えやすい“歯周病菌(フソバクテリウムなど)”が腸に届いてしまうと、腸内環境にとってはマイナスになることもあると言われています。だからこそ、朝起きたらまず一番にブラッシングをすることが大切。口をゆすいだあとにしっかり歯を磨く。それから白湯を飲んで朝食をとる、という流れがおすすめです」

② 体を“温める”ことを習慣に

「腸内の菌は、体温が高いと活性化しやすいとされています。実際、私たちが菌の培養を行うときも、培地(ばいち)を37度で保ちます。つまり、菌が元気に働くためには、体の深部体温が高いことがポイントなんですね。そのためにできることは、入浴や軽い運動、体を温める食事など。深部体温をしっかり保つことが、腸内環境に関係すると考えられています」

編集部注:この記事はあくまでセルフケアを目的としたものです。効果・感じ方には個人差があり、医療行為や治療を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は医師などの専門家にご相談ください。

まとめ

Women's Health

腸活のスタートは、まず自分の“お腹の中”を知ること。見えないからこそ、検査という手段を使って、自分に合った生活習慣や食事を見直していくことも、その方法の1つ。あなたも、自分の“腸”と向き合ってみてはいかが?

お話を伺ったのは......

代表取締役 鈴木啓太(すずきけいた)さん

Women's Health

元プロサッカー選手。高校卒業と同時にJリーグ浦和レッズに加入し、2015シーズンに引退するまで浦和レッズで活躍。2006年に日本代表に選出され、以後、オシムジャパンとしては、唯一全試合先発出場を果たす。現役引退後はサッカーの普及に関わるとともに、AuB株式会社を立ち上げ、代表取締役に就任。スポーツビジネス、健康の分野でも幅広く活動を行なっている。

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