1. トップ
  2. 21年前、日本中の涙をさらった“透明感ヒロイン” 唯一無二の女優へ飛躍させた“裏切りと挑戦”

21年前、日本中の涙をさらった“透明感ヒロイン” 唯一無二の女優へ飛躍させた“裏切りと挑戦”

  • 2025.5.18

「21年前の今頃、どんな女優が世に羽ばたいたか覚えてる?」

2004年、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』、略して『セカチュー』が社会現象とも言えるヒットを記録。悲しくもまっすぐな“純愛”を描いた物語に、多くの観客が涙を流した。

そのヒロイン・廣瀬亜紀を演じたのが、当時16歳の長澤まさみだった。

白血病と闘う高校生という難しい役柄を、彼女は圧倒的な透明感と深い情感で演じ切り、日本映画界における“女優・長澤まさみ”のさらなる飛躍を誰もが確信した瞬間だった。

undefined
(C)SANKEI

“清純派”だけにとどまらなかった挑戦

『セカチュー』で一気に注目を集めた後、長澤まさみは一時“清純派ヒロイン”のイメージで語られることが多くなった。しかし、彼女はその枠にとどまることなく、自らを更新し続けてきた。

2011年の映画『モテキ』では、自由奔放で恋愛に積極的な女性を演じ、これまでのイメージを鮮やかに裏切る。ときにキュートで、ときに小悪魔的な存在感を放ち、観る者を魅了した。

また、2018年から続く『コンフィデンスマンJP』シリーズでは、詐欺師“ダー子”として軽快かつ大胆な演技を披露。コミカルでありながらも人間味あふれるキャラクター像を見事に体現し、“長澤まさみ=引き出しの多い女優”という認識を決定づけた。

挑み続ける覚悟が、彼女を“唯一無二”にした

その後も長澤まさみは、さまざまな役柄にチャレンジし、見事にその力量と唯一無二の存在感を示していく。

たとえば映画『MOTHER マザー』(2020年)では、息子を追い詰める“母”という重く難しい役柄を体当たりで演じ、大きな話題を呼んだ。『セカチュー』亜紀とは正反対の人物像。それでも、その演技には一貫して“真実”があった。

彼女の中には、「見せたい自分」ではなく「役として生きる自分」が常にあるのではないかと、その強さがどの作品にも滲んでいる。

あの夏のまなざしは、今も変わらず

『セカチュー』から始まった長澤まさみのキャリア。どの作品でも彼女は、自分自身を信じ、役を信じてきた。

21年が経った今も、スクリーンに映る彼女は瑞々しい。その理由はきっと、あの夏、初めて観客の涙を受け止めた時から変わらぬ“まなざし”があるからだ。

長澤まさみは、これからも変わっていくだろう。でも、あの透明感に溢れた少女がくれた“心を揺らす力”は、きっとこれからも彼女の演技のどこかに宿り続けている。


※この記事は執筆時点の情報です。