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大規模な山火事が多発! 地球温暖化の影響や過去の事例を解説

  • 2025.4.17

2025年に入り、日本国内や世界各地で山火事が相次いで発生しています。

1月にロサンゼルスで大規模な山火事が発生し、3月には韓国の43か所で同時多発的に山火事が発生、日本でも2月~3月にかけて岩手県、愛媛県、岡山県などで相次いで山火事が発生しました。

山火事は昔からある災害の一つですが、2025年は特に大規模な山火事が多く発生しています。そして山火事は気候や気象条件とも深い関係があります。

この記事では、山火事が発生しやすい条件や過去の事例、気象がもたらす山火事への影響などを紹介します。

山火事とは

山火事とは、山や森林で広範囲に渡って発生する火災のことで、森林火災や林野火災と呼ばれることもあります。一度燃え広がると、消火作業が困難を極め、人や建物にも多大な影響を与える可能性があります。

また、山火事によってライフラインが寸断すると、水や電気が使えなくなり、避難生活を余儀なくされる場合もあります。

山火事の火元

以下の表は、2019年~2023年の林野火災の出火原因をまとめています。

まずは山火事がどのような原因で発生しているかを確認しましょう。

出典:消防庁の資料を基に筆者が作成

※取灰は薪ストーブやバーベキューで出た灰など

林野火災の多くはたき火、火入れ、放火、たばこなど人的な要因です。

火入れとは、森林やその周辺の土地にある草木などを焼却する行為です。

毎年のように年間1,000件以上の林野火災が発生していますが、近年になって件数が増えているわけではありません。むしろ、昭和には年間5,000件以上の林野火災が発生していた年も珍しくなく、山火事の件数そのものは昔に比べて減っています。

山火事が起こりやすい時期や条件、気象との関係

 

上のグラフは、林野庁が消防庁の資料を基に作成した2019年~2023年における林野火災の月別発生件数平均です。

グラフからも分かるように、山火事の多くは冬から春にかけて発生しています。

冬から春に山火事が多く発生する理由は以下の条件が揃いやすいためです。

春先は大陸から乾いた空気が流れ込みやすく、空気が乾燥します。また、西高東低の冬型の気圧配置や発達した低気圧などの影響によって強風や暴風も吹きやすくなります。

これらの気象条件に加えて、春の森林には乾いた落ち葉が溜まっているため、ひとたび火がついてしまうと火事が拡大しやすくなります。

過去の大規模山火事の事例

出典:林野庁「日本では山火事はどの位発生しているの?」

過去にも大規模な山火事は定期的に発生しています。

特に太平洋側や瀬戸内海側では冬の降水が少なく、空気が乾燥しやすいため、山火事が多発する傾向があります。

一方、日本海側は冬から春にかけて雪が多く降り、空気が湿りやすいことや積雪があることから、太平洋側や瀬戸内海側に比べると山火事は少なくなっています。

なお、2002年も2025年と同じように、3月~4月に同時多発的に山火事が発生しています。2002年の3月は全国的に高温傾向が続き、各地で当時の3月の平均気温の高い記録を更新しました。気温が高いと土や植物の水分が蒸発しやすくなるため、土や植物の乾燥が進んで燃えやすい状態になります。

また、湿度の低い状態も続き、2002年4月5日に発生した岐阜の山火事の際には、岐阜で観測史上最も低い日最小相対湿度6%を記録しています。

なお2025年の大規模山火事が発生した際にも、高い気温または低い湿度を記録しています。

これらの要因に加えて、2024年12月~2025年2月は、西日本と東日本・北日本の太平洋側で記録的な少雨を記録しています。

冬が少雨だったため、森林そのものがより乾燥しやすかったこと、火がついてから強風が吹いたこと、しばらくまとまった雨が降らなかったことも延焼の拡大につながったと考えられます。

毎年1,000件を超える山火事が発生していることからも、上記のような気象条件が揃うと、いつどこで大規模な山火事が発生してもおかしくありません。

山火事と気候変動・地球温暖化の関係

大規模な山火事は、気候変動や地球温暖化によって増える可能性があります。

その理由は、湿度の低下や干ばつが増えるためです。

湿度は空気中の水蒸気量が変わらなければ、気温が高いほど低くなる性質があります。湿度の低下が起こると、空気や植物の乾燥をもたらします。

また、気温が上がって湿度が低くなると、雲を作るためにはより多くの水蒸気が必要となります。雨雲ができれば豪雨になる一方、雨雲ができなければ干ばつという極端な天候も増えます。

干ばつになると火災が発生したときに雨による消火ができなくなり、火災がさらに拡大しやすくなる恐れがあります。

山火事の多くは人為的な要因です。一人ひとりが火の取り扱いについてきちんと考えることも、山火事を防止するために大切なことだといえるでしょう。

〈執筆者プロフィル〉

田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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