保育士の中田馨さんが、トイレトレーニングの最終関門、おしっこはできても大ができないときのコツを教えてくれました。子どもの排便のペースを知る、トイレの環境づくりなどをマンガで詳しく解説します!「でちゃった……」。どうして大だけ下着に? 排便対策や子どもを傷つけるNGワードとは!?
こんにちは。保育士の中田馨です。おむつはずれについてこれまで何回かにわたってお話ししました。今回は、保育所で保護者からの相談でよくある「先生、トイレで大がなかなかできません!」という悩みについてです。
下着の中に大が出ると後処理にも手間がかかるので、ママとしてはトイレでしてほしいと感じることでしょう。今回は、おしっこはできても大ができないときは、どうすればいいかお話しします。
おしっこと大のコントロールは別物
おしっこはトイレでできるのに、大だけ下着にしてしまうというのは、本当によくあることです。私たち大人からすると、おしっこができるなら大もトイレでできそうですよね。「おしっことどう違うの?」と思いますが、おしっこと排便の最大の違いは「いきまないと出ない」という点です。
大人もそうですが、いきむにはいきみやすい体勢やいきみ方などのコツがいります。ですので、おしっこと大の出すコントロールの方法は別物と考えてください。排便が完全にトイレでできるようになるのは3~5歳と個人差があります。
子どもの排便のペースを知る
トイレでするためには、子どもの排便のペースを知ることです。排便のタイミングが朝ごはんを食べたあとの子もいれば、3時のおやつのあとの子もいます。まずはだいたいの時間帯を知りましょう。
そして、子どものしぐさを観察します。排便するときにモジモジし始めたり、顔が赤くなる、決まって部屋の隅に行くなどはわかりやすいですね。子どもの排便のペースを知り、「あ、いきみ始めたな」と思ったら、さりげなくトイレに誘います。
ただ、誘えばトイレでできる子もいるのですが、トイレに誘ったことでうまくいきめずに排便が止まってしまう子もいます。何度も繰り返し排便が止まると、大が出にくくなることもあるので、安心してできるおむつの中で出させてあげることも大切です。
安心できる環境づくりをする
安心してトイレでできるように、トイレの環境づくりを心がけます。たとえば、いきむためには両足の裏がついていることも必要です。大人も両足の裏が床につかずブラブラした状態で「いきんでください!」と言われたら、出しにくいと思います。子どもも同じです。トイレだとうまくいきめないから、トイレでしたがらないという可能性もあります。
ですので、大人のトイレでする場合は、子どもの足元に踏み台を置いたり、おまるがあればおまるでするなどもおすすめです。また、排便やトイレをテーマにした絵本を読んで、トイレですることを親子で身近に感じていくこともしてみましょう。
下着の中でしたとしても叱らない
毎回下着の中でしてしまったとしても「叱らない」ことが大切です。思わず「また下着でしたの!?」と言ってしまいそうになりますが、「スッキリしたね! おしり洗おうね」と言って、ササッと処理します。それだけでOKです。下着の中でしたことについて叱る必要はありません。もし、ママが紙おむつのほうが安心なら紙おむつでOK! 子どもの排便のペースがわかっていれば、その時間帯だけ紙おむつにはき替えたり、下着にパッドを敷いておくなどしてもいいと思います。
排便のことで悩んでるとき、ママたちが思わずしてしまいがちな声かけが「もう、お兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ!」というような言葉。実はコレ、子どもの心を傷つけていることもあるのです。子どもはママの声かけから「大はトイレでするもの」ということがわかっています。わかっているからこそ緊張してできなくなってしまっていることがあります。そしてまた「もう! お兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ!」と言われると、トイレで大をすることへの自信や意欲がしぼんでしまうのです。
以前、家にいるときに「トイレでできるようにならないとサンタさんこないよ」と言われていた子が、保育所で下着に大をしたときに「サンタさん、こないかなあ」と不安な顔になっていたこともあります。ママが目標とするゴールを決めて、なるべく早くにできるようになってほしい気持ちはよくわかりますが、排便は毎日のことです。何気ない言葉1つが子どものプレッシャーにならないよう配慮することも大切です。
おしっこも排便も共通することは、子どもによって自立していくペースが違うこと。うまくいく時期もあれば、停滞する時期もあり、ときには後戻りもします。大らかな気持ちで「そのうちトイレでできるようになるさ!」くらいで取り組んでみてください。
著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨
0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。
ベビーカレンダー編集部