さまざまな不調や病気の原因となる「高血糖」を防ぐ血糖コントロール特集(全4回)の3回目は、高血糖を招く大きな原因となる食事の取り方について解説。血糖値を上げない食事の取り方と、食事で意識したい4つの最新ルールについて専門医に聞きました。
教えてくれたのは、河盛隆造さん(かわもり・りゅうぞう)さん
1943(昭和18)年、兵庫県生まれ。順天堂大学名誉教授、同大学大学院医学研究科・スポートロジーセンター センター長。医学博士。68年、大阪大学医学部卒業。専門は糖尿病、代謝内分泌学、動脈硬化学。監修書に『健康図解 最新版 今すぐできる! 血糖値を下げる40のルール』(学研プラス刊)などがある。
食事は「とっていい量」と「食べ方」が大事!
高血糖を招く大きな原因は、「食べ過ぎ」。とっていいエネルギー量を把握しましょう。順天堂大学名誉教授で、糖尿病治療の権威である河盛さんは、こう言います。
「体格にもよりますが、50~60代で家にいることが多い女性なら、1650kcaLが目安。炭水化物を控え過ぎると、満足感が得られず脂質の多いものをとり過ぎ、筋肉がやせて代謝が低下し、かえって高血糖のリスクになります。“バランスよく”が鉄則です」。
血糖コントロールには、3大栄養素のバランスが大事。炭水化物(糖質)の控え過ぎは逆効果です。1日の総エネルギーの60%程度は炭水化物の多い食品からとりましょう。
高血糖を防ぐ食事、4つの最新ルール
ルール1:ご飯は年齢ごとの適正量を覚えておく
炭水化物は、適正量を守って食べること。例えば1食あたりのご飯の適正量は、65歳以上の人や小柄な女性は120g程度。一度測って、大体の量を覚えておきましょう。
ルール2:“冷やし炭水化物”が血糖値上昇を抑える
ご飯や麺、イモ類などに多いデンプンは、冷えると「レジスタントスターチ」に変わり、食物繊維と似た働きをして血糖値の上昇を抑える作用があります。お弁当やおにぎりはチンせずに、冷麺も上手に取り入れて。
ルール3:サラダは葉野菜を中心によく噛んで食べる
サラダの場合、葉野菜メインにして、食事の最初3~5分の間によく噛んで食べましょう。野菜の食物繊維が胃腸に膜をはり、炭水化物のブドウ糖への分解を緩やかにして、食後血糖値上昇をなだらかにしてくれます。
ルール4:フルーツは日中の食後に皮ごと食べるのが正解
果物は糖分が多いので、空腹時は避け日中の食後のデザートでとるのがおすすめ。特にリンゴやブドウなどは食物繊維が多い皮ごと食べると、血糖値の上昇がゆるやかになります。
最終回では、高血糖の大敵である「脂肪の蓄積」を防ぐ手軽な運動習慣と、高血糖を予防する睡眠や歯のケアについて紹介します。
取材・文=新井理紗(ハルメク編集部) イラストレーション=みやしたゆみ
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年9月号を再編集、掲載しています。