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【学生が調べた防災】キジが鳴くと地震が起こる?各地の災害に関する言い伝えをまとめました

  • 2025.4.15

各地のユニークな言い伝え

地震雲が出現する、ナマズが暴れると地震が起きる…など、地震が起きるたびに前兆について話題に上ります。

残念ながら、地震の前兆について科学的に証明されているものは今のところありません。しかし、各地には前兆についての言い伝えが語り継がれています。

そこで、全国から学生が集まる首都圏の大学で言い伝えに関するアンケートをとりました。授業の前後でアンケートをとったところ、53人が回答してくれました。各地の言い伝えを紹介していきたいと思います。

キジが大きく鳴くと地震が起きる

最初はキジについての言い伝えです。キジは日本の国鳥で有名な鳥ですね。千葉県の内陸部に住む人からは、「キジが大声で鳴くと地震が起きる」という言い伝えを紹介してもらいました。皆さんはキジの鳴き声を聞いたことはありますか?「ケーンケーン」と特徴的な声です。その鳴き声が地震の前では普段と違う、けたたましい声になるのだそうです。都会にはキジがあまり生息していないのでこの言い伝えを聞いたことがある人が少ないのかもしれません。キジは基本的に地上で生活していることから、ささいな地面揺れにも敏感ということでしょうか。

鳥の群れの異常行動

続いて紹介するのは、鳥の群れに関しての言い伝えです。千葉県、東京都、茨城県、埼玉県と秋田県出身の人が紹介してくれました。夕方になると鳥が集団で飛んでいるのを見かけることはあると思いますが、地震の前兆としての言い伝えでは、鳥が一斉に飛び立ち、群れを成して空中を旋回しているというものがありました。

鳥の中でも特に多かったのが「カラス」です。カラスが群れを成していること自体が“不吉”とされており、なにか悪いことが起きるのではないかとされています。

意外と多い「打ちあがり系」の言い伝え

続いての前兆は、海の生き物が大地震の前に打ち上がるというものです。海の生き物でも、大きく二つの種類で挙げられました。

イルカが打ちあがると地震が起きる

打ち上がりによって地震の前兆とされる生き物の一種類目は、イルカやクジラなどの鯨類です。茨城県出身の人が紹介してくれました。近年、イルカが大量に打ちあがった後に東日本大震災が発生した例があることから、注目されている生き物です。

深海魚が打ちあがると地震が起きる

打ち上がりによって地震の前兆とされる生き物の二種類目は、リュウグウノツカイやダイオウイカなど深海にすむ生き物です。千葉県、東京都、茨城県、神奈川県と鳥取県出身の人が紹介してくれました。地震の際に発生する地殻変動や微弱な振動の影響によって深海魚が打ち上がってしまうのではないかと言われています。

茨城県にある要石が地震をおさえている!?

続いての言い伝えは、「茨城県鹿嶋市にある要石が地震をおさえている」というものです。茨城県出身の人が紹介してくれました。やけに、詳しく書かれているなと思う人がいるかもしれません。実は、この要石は日本神話に出てくる神秘的な石で、地震を引き起こす地中の大ナマズを鎮める役割を果たしているとされています。地震は、古くからの脅威であり、人々はその原因を大地の下にいる巨大なナマズと考えました。要石はそのナマズの頭を押さえつけているとされています。

江戸時代に流行した「鯰絵」

画像説明:ナマズを押さえつける神様を描いた「鯰絵」=茨城県立歴史館提供

この言い伝えは地震が人々に大きな影響を与えた江戸時代の絵巻がもとになっています。それが、1855年の安政の大地震の時に描かれた「鯰絵」です。自然の力への畏れと、地震の原因を解明できない時代の人々の考えから生み出された言い伝えでしょう。

気象に関する言い伝えも

月が赤いのは地震が起きる前兆

天体や気象に関する言い伝えもありました。最初に紹介するのは「月が赤いのは地震が起きる前兆」というものです。この言い伝えは、都市伝説としてSNSでも度々話題に挙げられてきました。今回、群馬県出身の人が紹介してくれました。

赤い月と聞くと、不安に思う人が多いかもしれません。ただ、国立天文台によると、大気の影響による現象で、朝日や夕日が赤く見えるのと同じ理由です。月の出、もしくは月の入りのときのように、月が地平線(水平線)に近いときに、赤っぽく見えやすくなるそうです。

この言い伝えがうまれた原因は、阪神淡路大震災です。震災前に赤い月が出ていたとされ、赤い月は地震が起きる前兆なのではないかと言い伝えられてきました。

白い虹が発生すると、地震が起こる

続いては、「白い虹が発生すると地震が起こる」という言い伝えです。福島県出身者が紹介してくれました。普通の虹は「雨」が反射して七色に光りますが、白い虹は「霧」が反射することによって白くなるそうです。

地震が発生する前には、地殻変動によって地下からガスや水蒸気が放出され、大気中の微粒子が増加することで光の散乱が変わり、白い虹になるということもあるかもしれません。しかしこれは一部の推測に過ぎず、科学的に証明された事例はありません。気象がおかしいので地震が来ると考えるのは早計です。ただし、他の地震の現状と併せて観察することは、リスクを考慮する上で有効かもしれません。科学的な知識を元に冷静な判断を心掛け、備えを進めることが重要です。

地震が起きた後の教訓を伝えるものも

ここまで、地震の前兆について紹介してきましたが、地震が起きた時の対応に関する言い伝えもあります。地震が起きたら津波が来るので、肉親にもかまわず、各自てんでばらばらに逃げろという意味の「津波てんでんこ」(岩手県など)、「地震の後、潮が引いたら津波が来る」(福島県)のほか、「神棚からタンコロとオミキスズが落ちたら子供を竹薮へ、クデンが落ちたらヒドコに金鉢をかけて大人も隠れろ」という新潟県出身の人の回答もありました。いずれも地震が繰り返し起きる地域で、昔の人の知恵が代々伝わっているのだと思いました。

言い伝えに頼りすぎないで

上記で紹介した内容の他にもたくさんの言い伝えがあります。しかし、地震の前兆に関する言い伝えで科学的に証明されているものは残念ながらこれまで一つもありません。実際に、気象庁ではホームページ(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq24.html#yochi_7)で地震予知の科学的現状について説明しています。
言い伝えに頼りすぎずに科学的に信頼できるニュースサイトや新聞などで正しい情報を得るようにしていきましょう。

〈執筆者〉武田仁美

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