子どもが巣立つ時[3]
寮に着くと、あれこれと必要な物が見えてきて買い出しなどで大忙しでした。
とりあえず生活できるように物を揃えて設置し、洗濯物や貴重品などの取り扱いについて再度長男くんに説明したてる子さん。
そして、最後は3人でいつもと同じようにたわいもない会話をしながらご飯を一緒に食べました。
そして、とうとうお別れの時間がやってきました。
てる子さんが「大丈夫・・?」と心配そうに聞くと、「大丈夫だよ」と笑顔で答えた長男くん。でも、そんな長男くんを見て、そのセリフとは真逆で不安そうに思えてしまうてる子さん・・。
「・・・」長男くんに何か声をかけたいけれど、言葉が出て来ず立ち尽くすてる子さん。見かねたご主人が「てる子・・もう行かないと・・いつまでもここには居られないんだぞ」と小さな声で言いました。
「言葉・・何か・・」と、必死にかける言葉を探すてる子さん。
なんとか絞り出した言葉は「体には、気を付けなね」の一言でした。
長男くんは「うん、ここで頑張るよっ」と笑顔で答えました。
これまでの長男くんの思い出が走馬灯のようによみがえってきます。
長男くんの思い出が一気に流れ出したてる子さんは、寂しさ、心配、不安たちで心が溢れそうでした。そして、息子くんを置いて帰ることに胸が締め付けられましたが、同時に・・
「あぁ、大きくなったんだなぁ。こんなにも成長したんだなぁ」とも思いました。
「連絡するよ」という長男くんの言葉に涙を堪えて頷きながら、長男くんの成長を感じて感慨深い気持ちでいっぱいになったてる子さんでした。
てる子さんが一番辛かったのは別れる瞬間でした。特に、子どもを置いて自分が去ることがなおさら辛く感じてなかなか去ることができなかったそう。でも・・新しい地で頑張ろうとしている長男くんの言葉を聞いたら、
幼い頃からの思い出がよみがえり、改めて成長を実感して嬉しくもなったてる子さんでした。
そして、てる子さんはこうも思いました。「巣立っていく事は更に息子の成長になる。また新しい彼の一歩になる。母にとっても嬉しい門出の一歩」
[作者]てる子
4人の子持ち、ズボラ主婦 てる子です。
子供達は大きくなりましたが、体験談を含め、今なら思う子育ての話等をブログで綴っています。
[編集コメント]ママ広場編集部
親の手から子どもが離れていくのは寂しくもありますが、それ以上に成長を喜んであげたいですね!