【漫画】もう一度誰かと繋がりたい…人々から忘れらたお面の“付喪神”の切ないストーリーに「優しい話」「素敵なお話」の声
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ダ・ヴィンチWEBやpixivにて連載中の、七星さんが描く『つくも神の弔い処』より『忘れられたお面のお話』をピックアップ。
七星さんが2月26日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、6,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、七星さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
邪神になりかけている翁面の付喪神
日本で古来から信仰されている八百万の神。道具や物に宿る“付喪神”もまた信仰されてきた神で、人々は大切にしてきた道具や物を手放すときには“付喪神の弔い処”に供養を頼んできた。
“付喪神の弔い処”の跡取り息子・宗助と神使・斎の元に、ある時1つのお面が持ち込まれる。古い稽古場を取り壊すときに出てきた綺麗なお面は、すでに使っていた人も知る人いない無縁の道具となっていた。
邪悪な雰囲気をまとうお面を前に、宗助はいつも通り付喪神を呼び出す。すると、目の前に人を模した姿の翁面の付喪神が現れる。宗助は丁寧にあいさつをし、最後の願いを聞いた。願いを聞かれた付喪神は、「お前の人生を頂こうか」と言い宗助にのりうつる。
気を失っていた宗助を心配した斎は、面をつけて起き上がった宗助が付喪神にとりつかれていることに気づく。斎はなんとか宗助を助けようと面を壊そうとするが、宗助がこの世から消えることを選んだと付喪神に聞かされ驚いてしまう。
斎の見えない宗助の意識の中では、宗助が付喪神の話を丁寧に聞いている。なぜ人になりたいのか、人間もいつか必ず死ぬ、本当の願いは何なのか、と聞いていく。
すると翁面の付喪神は、宗助と話し触れたことで、自分が沢山の人々に愛されていたことを思い出し、本当の願いは“もう一度誰かと繋がりたいということだ”と気づく。宗助がその思いを繋いでいく、と伝えると、翁面の付喪神は満足そうに消えていくのだった…。
作品を読んだ読者からは、「切なくも心温まる唯一無二の和風ファンタジーです!!」「物を大切にしようと思いました」など、反響の声が多く寄せられている。
作者・七星さん「私達も日常的に道具や物との別れをしているんだなというのを感じていただけたら…」
――道具や物に宿る「付喪神」をテーマとした『つくも神の弔い処』ですが、今回のエピソード『忘れられたお面のお話』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
初めは刀を題材にして考えていましたが、何度か考えていく中で、もう少し分かりやすく現代でも触れやすいお面のお話にしようと変わっていきました。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
お面の付喪神の心情変化が複雑なのでそこを上手く伝えられるように心がけました。
――『忘れられたお面のお話』のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
お面の付喪神がぽろぽろと泣いてしまうシーンです。神様は近寄り難いイメージもありますが、愛らしい部分を出せたらいいなと思い描きました。
――『つくも神の弔い処』という作品を通して、伝えたいメッセージがあればお教えください。
大きく話が動くことがあまりない作品なのですが、そこで私達も日常的に道具や物との別れをしているんだなというのを感じていただけたらと思います。
――2025年2月には『つくも神の弔い処』のコミックスが発売されましたが、読者に注目してほしい点などがありましたら、お聞かせください。
お話の中では詰め込めれなかったキャラクター紹介や、描き下ろしもあるのでぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
コミックスとして発売できたのは日頃応援してくださる皆様の力が本当に大きいです。ありがとうございます。
今後とも漫画制作を続けて行けるよう頑張ります。