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<べらぼう>ミステリーに彩られた展開で、石坂浩二と渡辺謙の二人芝居にしびれる

  • 2025.4.14
武元(石坂浩二)と意次(渡辺謙)のシーンが注目される (C) NHK

【写真】蔦重(横浜流星)は自分でも本を書いてみることに

横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第15回「死を呼ぶ手袋」が4月13日に放送された。幕府パートで重大な局面が描かれ、石坂浩二と渡辺謙の演技が注目された。(以下、ネタバレを含みます)

数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く

森下佳子が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波瀾(はらん)万丈の生涯を描く痛快エンターテインメントドラマ。

蔦重はその人生の中で喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見い出し、また日本史上最大の謎のひとつといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。

蔦重の幼なじみの花魁・花の井(五代目瀬川)改め瀬以役で小芝風花、蔦重に影響を与える“希代の天才”平賀源内役で安田顕、幕府“新時代”を目指す権力者・田沼意次役で渡辺謙が出演。語りを綾瀬はるかが務める。

将軍・家治の長男が急逝し、疑われる意次

蔦重が妻となった瀬以に起こされる朝…。現実であればどれほどうれしかったかという蔦重の“夢”で始まった第15回。蔦重は悲しみを抱えながらも、戯作者の朋誠堂喜三二(尾美としのり)や絵師の北尾政寅(古川雄大)から一緒に仕事をしたいと言われるなど、前に進もうとしていた。

そんな中、今回は幕府に大きな動きがあった。十代将軍・家治(眞島秀和)の長男・家基(奥智哉)が鷹狩りの最中に亡くなったのだ。

家基と意次の不仲は周知のことで、意次が毒を盛ったのではないかなどとうわさされた。そんな中、家治は、意次と老中首座の松平武元(石坂浩二)に死の真相を突き止めるように命じた。

意次は、偶然訪ねてきた源内に、毒を盛ったとすればどのように仕込むことができたのか考えてほしいと頼む。

源内は商売仲間の平秩東作(木村了)と鷹場に出向き、可能性を探る。そして家基が倒れる様子を見ていた者に聞いた話から、手袋に毒が塗られていたのではないかと意次に告げた。

家基は親指をかむ癖があった。意次は手袋を取ってくるよう、長谷川平蔵(中村隼人)に連絡を付ける。

石坂浩二と渡辺謙の演技対決に見入る

しかし、手袋は武元が引き取った後だった。がくぜんとして「終わったか…」とつぶやく意次。実は、家基の手袋は大奥総取締の高岳(冨永愛)に頼まれ、意次が職人に作らせたものだったのだ。

これを機に武元は、意次を追い落とすために罪を着せてくるかもしれない。意次が恐れていると、武元から屋敷に呼び出された。

手袋を見せながら武元は意外な言葉を口にした。毒を盛ったのは「そなた以外の誰かであろう」というのだ。意次の驚いた顔を見て笑い声を上げる武元。「そなたが謀(たばか)ったのであるならば、早々に引き上げるなど何か手を打つはずであろう。わしにまんまとこれを押さえられる無様(ぶざま)。そなたは知らなかったという証しにほかならぬ」と。

そして「見くびるな。わしがそなたを気に食わぬとはいえ、これを機に使い、追い落としなどすれば、まことの外道を見逃がすことになる。わしはそれほど愚かではない!」と叱責した。

武元は最初から疑ってはいなかった。少し前にあった、高利貸しを行っていた検校を捕縛した件で、家基に諫言(かんげん)する姿を見て、「忠義ある者」と感じていたのだ。ただ、意次の「世の大事は、まずは金」という考えを好まず、「そなたも世の者も、金の力を信じ過ぎている」と忠告した。

今後、どうするかを話し合った2人。いったん調べの幕引きを装って油断を誘い、尻尾を出すのを待つことにした。ところが、その夜、武元は亡くなった。長引いていた夏風邪のためか、それとも咳(せき)を誘因する何かがあったのか…。

第15回は、ミステリー色が濃かった。咳で苦しむ武元の姿と交互に映し出されたのは、家治のいとことなる一橋治済(生田斗真)で、首に傷をつけて絶命した武元の家から手袋を盗み出した女もいた。意次が帰宅後に、咳をしていたのも気になるところ。

その考察も進む中、SNSには「二人のやり取り、見応えがあった」と感動の声が上がり、「今日のMVPは石坂浩二」とも。どうなるのかとドキドキさせながら、考えは違っても相手を認める懐の深さのある武元を際立たせたのは石坂の演技によるものだ。そんな石坂に渡辺謙が呼応し、ベテランならではの持ち味を発揮した二人芝居を見せた。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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