BS松竹東急(全番組無料放送・260ch)では『横溝正史・金田一耕助TVドラマシリーズ』と題して、映画界の精鋭が結集した、古谷一行さん主演の“金田一シリーズ”7作品を放送する。本記事では、その中から4月14日(月)夜7時より放送の「犬神家の一族」(1977年放送、全5話)をピックアップし、第1話のあらすじや見どころについて紹介していく。
最高視聴率40%超を記録した古谷一行さん主演の「金田一耕助」シリーズ
今なおさまざまな俳優の主演でドラマ化・映画化される「金田一耕助」シリーズ。本格ミステリーとして、巧妙なトリックや伏線、陰鬱な世界観が魅力となっている。
そして、当時お茶の間に“横溝ブーム”を巻き起こし、1970年代後半のテレビシーンを彩った『横溝正史・金田一耕助TVドラマシリーズ』では、「犬神家の一族」をはじめ「本陣殺人事件」や「悪魔の手毬唄」「八ツ墓村」などが放送され、当時最高視聴率40%超をマークするほど人気を博した。
今回紹介する「犬神家の一族」では、信州財界一の巨頭・犬神佐兵衛の遺した莫大な財産と遺言状や、斧・琴・菊の三種の家宝にまつわる殺人事件などをめぐる物語が描かれる。監督は、近年リメイクもされた映画「十三人の刺客」(1963年公開)や「大殺陣」(1964年公開)など、集団時代劇を数多く手がけてきた工藤栄一監督が務めており、京マチ子さん、ハナ肇さん、西村晃さんなどの名俳優も出演している。
「犬神家の一族」第1話あらすじ
信州財界で巨頭と言われ、裸一貫から巨大な犬神財閥を築き上げた犬神佐兵衛が亡くなった。生涯にわたり正妻をめとらなかった佐兵衛の3人の妾の娘たち、長女・犬神松子(京マチ子さん)、次女・竹子(月丘夢路さん)、三女・梅子(小山明子)とその夫、そして孫たちが見守る中、彼女らは佐兵衛の遺言を聞き出そうとする。肝心の遺言状は弁護士の古舘(西村晃さん)が預かっていたが、内容については佐兵衛の意向で、松子の息子・佐清(田村亮)が戦地から復員してから明かされることとなった。
一方、探偵・金田一耕助(古谷一行さん)は、古館の弁護士事務所の若林という男から、“犬神家に容易ならざる事態が起こりそうなので調査して欲しい”という手紙を受けて、犬神邸の近くにある那須湖畔へ向かう。金田一が那須ホテルの窓辺から犬神邸を見ていると、犬神家に住む野々宮珠世が乗っていると思われる車が突然大きな音を上げて事故を起こしてしまう。すぐさま駆け付けた金田一がなんとか珠世を救出したものの、実は珠世は以前から何者かに命を狙われているとのことだった。
その後、金田一がホテルに戻ると、彼を犬神家に呼び寄せた若林が何者かに毒殺されていた。どうやら若林は、犬神家の誰かに買収され遺言状を盗み見た結果、殺されてしまったのだという。
そんな中、戦地から復員した佐清が犬神家に戻ってきて、ついに佐兵衛の遺言状が公開されることになる。しかし佐清本人は戦争の大怪我で顔全体をゴムマスクで覆っており、家族からは“替え玉”を疑われ――。
飄々とした金田一を演じる古谷一行さんに注目
第1話では、金田一が遺産相続を控える資産家・犬神一族と接触するシーンが描かれる。金田一は警察から「頭ぐらい洗っとけよ」「あの風体はどう見ても貧書生」などと揶揄されるほど、まるで路上生活者のような見た目をしている。古谷さんは、金田一のこの飄々としたキャラクターをコミカルな演技で表現。これまで映画やドラマなどで多くの俳優が金田一役を務めてきたが、古谷さんの醸し出す独特な雰囲気や言動は、唯一無二のキャラクター像と言えるだろう。
また本作では、クセの強い犬神家の人々の動向も見どころの一つ。莫大な財を成した佐兵衛が今にも亡くなりそうな際にも、佐兵衛の体調そっちのけで遺言の内容を無理やり聞き出そうとしたり、臨終の際も古舘が読み上げる目録に耳を傾けるのに必死だったり…と、酷薄な印象を受ける。この一族が、今後どのような遺産争いを繰り広げ、そしてどう殺人事件に巻き込まれていくのかに注目だ。