身近なスーパーマーケットでも、災害時に役立つ食品を買うことができます。5年保存などの非常食に比べると賞味期限が短いものの、常温で数か月~数年程度保管ができる食品も多く、非常時にも日常でも頼りになります。
今回は、スーパーに行って防災目線で買い物をした様子と購入品を紹介します。今まで気づいていなかった優秀なアイテムにも出会えました。
災害時向きの食品とは?
災害時の生活を考えるには、電気・ガス・水道が使えない状況を想定することが大切です。そういった状況では、常温で一定期間保管ができ、調理の手間が少ない食品が非常に役立ちます。
こうした食品は、使ったら買い足す「ローリングストック」という備え方がおすすめです。
災害時のために特別に購入するものではなく、日常的に使う食品をローリングストックしましょう。普段から使い慣れた食材でないと、うまく調理できなかったり、口に合わなかったりすることもあります。
また、普段使うものでないとうまくローリング(循環)できず、賞味期限が切れてしまうこともよくあります。
ツナ缶やトマト缶などの缶詰や、レトルト食品、切り干し大根などの乾物などが定番ですが、食生活は家庭ごとに異なるため、ローリングストックに適した食品も家庭によって変わってきます。
防災目線でスーパーで買い物しました
普段使いできる「災害向きの食品」を探しに、近所のスーパーに買い物に行ってきました。今まで気づいていなかった商品にも出会うことができました。
購入品を紹介します(商品の価格は筆者購入時点のもので、すべて税込みです)。
乾燥野菜
非常食では「シャキシャキ」した食感が得られず生野菜が恋しかった、という被災者の声を聞いたことがあります。 切り干し大根は、大根のみ(158円)のものと、人参が入ったもの(322円)を購入しました。少量の水で戻せて加熱も不要、シャキシャキ食感がしっかりと味わえます。
加熱済み野菜レトルトパック
野菜売り場で発見したのは「とん汁・けんちん汁の具」のレトルトパック(321円)です。
そのほかにカレー用や筑前煮用など、野菜の種類が違う商品がいくつかありました。賞味期限は購入時点で半年以上あり、もちろん常温保管が可能です。
加熱済みなのでレトルトカレーにちょい足しするなど、アレンジも簡単です。災害時に不足しがちな野菜を確保できるのは嬉しいですね。
たけのこの水煮のパック(159円)も購入しました。こちらは非常食ではなかなか感じられないシャキシャキとした食感が味わえます。
栄養強化食品
栄養を強化した食品も最近よく見かけますね。
栄養を強化したカップ麺(278円)やパスタソース(278円)、食物繊維を強化したパスタ(409円)、タンパク質を強化したドリンク(171円)を購入しました。
どれも一般的な製品よりは若干クセのある味ではあるものの、おいしく食べられました。一般的な製品よりもやや高めですが、栄養が不足しがちな非常時はもちろん、忙しくて一品で食事を済ませたいときにも頼りになりそうです。
意外な常温長期保管可能な食品
通常は冷蔵商品として販売されている食品で、常温長期保管が可能なものがあります。
今回は常温保管ができる豆腐(145円)、牛乳(117円)、油揚げ(204円)を購入しました。どれもタンパク質豊富な食材です。非常時でも手軽にタンパク質を摂取できるのはありがたいですね。
牛乳は通常の冷蔵商品とほぼ変わらない味でした。
豆腐はしっかり固めの舌ざわりで、冷や奴よりはマーボー豆腐などの加熱調理向きかなと思いました。
油揚げはみそ汁やうどんにパラパラと乗せるだけで、水分を吸って、いつもの油揚げと遜色ない味と食感になります。
最後に購入したのは、簡易アルミ鍋で直火調理する麺(212円)。こういった製品は冷蔵か冷凍でよく見かけますが、常温のものもあるんですね。
一食分の野菜入りというところも嬉しいです。賞味期限は購入から1か月程度でした。
紹介した商品を使ってみました
ここまで紹介してきた商品を使って調理してみました。
作ったのは、人参入り切り干し大根と、常温保存できる油揚げを使った煮物と、豚汁用レトルト野菜を使った豚汁です。
野菜を切る手間がないので調理がとても楽で、いつもより時間もかかりませんでした。
まな板や包丁などの調理器具を使わずに済むため、洗い物が減るのも嬉しいポイントです。
レトルト野菜はあらかじめ加熱調理されているため、火を通す時間もガスも節約できます。
災害でライフラインが止まった際だけでなく、普段の時短調理でも活躍しそうです。
これまであまり使うことのない食材でしたが、今後は積極的に使っていきたいと思いました。わが家のローリングストックのリストに追加します!
スーパーで災害時にも役立つ食品を選ぶコツ
ローリングストックは「消費→買い足し」の循環を良くするために、普段の食生活の中で数か月~半年程度で消費できるものを選びましょう。
災害時はもちろん、体調不良や忙しさのため買い物に行けなかった、といった日常的な困りごとにも役立ちます。
災害時にも役立つ食品をスーパーで見つけるには、まずは常温の棚を探してみましょう。いつもは素通りする棚をじっくり見てみると、新しい商品に出会えるかもしれません。
ただし、常温保存可能な豆腐や牛乳は、冷蔵ケースの中で、冷蔵商品の隣に並んでいるパターンも多いので注意して見てみてください。
一つ注意したいのが、一見レトルト食品のように常温保管ができそうなパッケージでも、「要冷蔵」の商品があることです。最近でも、常温保管していた要冷蔵のレトルト類似食品を食べて、ボツリヌス菌による重篤な食中毒になった例がニュースになりました。
見た目だけで判断せず、必ずパッケージの表示をよく読み、保管方法を確認しましょう。
一方で粉チーズは開封後も常温保管できる商品が多くあります。粉チーズは料理に振りかけるだけでカルシウムなどの栄養を足すことができて便利です。
いずれにしても、使い慣れた食品でも、保存方法や注意書きをいま一度確認してみると良いですね。
日常の買い物では購入したい商品以外が目に入っていなかったということが、今回よくわかりました。新しい目線で買い物してみると、いつものスーパーでも新たな発見があるかもしれません。
<執筆者プロフィル>
シマサキアヤ
フリーランスライター