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「勝手に決めないでよ」 と思っていた母の言葉が──10年後、私を救ってくれた理由

  • 2025.4.13

筆者の話です。高校卒業後、母から「毎月3万円ずつ、食費とは別に貯金しなさい」と言われ、10年間手渡しで渡してきたのですが……?

突然の母の一言

高校を卒業して就職したとき、初任給をもらう前に母から「毎月3万円ずつ、食費とは別に貯金しなさい」 と言われました。
母のいとこが銀行勤めだったこともあり、すでに積み立てを契約していた母。
私は、食費と合わせて毎月きっちり母に手渡しするように命じられたのです。

自由がないことへの反発

それから10年間、私は毎月そのお金を母に渡し続けました。
免許を取って「車がほしいな」 とつぶやいても、母は聞こえないふり。
「旅行に行ってみたい」 と言っても、軽く受け流されるだけでした。

もちろん、貯金の大切さは頭ではわかっていたつもりです。
でも、自分で稼いだお金を自由に使えないことが、当時の私には不満でした。

同年代の友人が好きなものを買ったり、自由に出かけたりしているのを見ては「私も……」 と思う気持ちが募っていきました。

結婚準備のときに

それから10年。
結婚が決まり、退職することになりました。
結婚式や新生活の費用をどうしようかと考えていたとき、母が「ずっと貯めておいたお金よ」 と言って、通帳を差し出してくれたのです。
中を見ると、そこには300万円を超える金額が記帳されていました。

毎月3万円ずつ。
たったそれだけの積み重ねが、こんなにも大きな支えになるなんて――。
わかっていたはずなのに、目の前でその金額を見た瞬間、10年分の母の想いが胸に迫ってきたのです。

母の言葉の意味を知った

おかげで、結婚式や新婚旅行、新生活の準備まですべて自分たちでまかなうことができました。
親戚などからの結婚祝いと相殺しても、まだ余るほどの金額。
母は「新生活に取っておきなさい。これから何に必要になるかわからないから、大切に使うのよ」 と、私の背中をそっと押してくれました。

夫は転勤族だったため、私もすぐには働けない時期がありましたが「あのお金がある」 と思えるだけで、心がずいぶん軽くなりました。

口うるさいと思っていた母の一言が、10年後の私を助けてくれた。
あのとき素直に母の言葉を信じて、毎月手渡しを続けてきてよかった――そう心から思える、忘れられない出来事です。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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