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正しい知識で正しい対処を。ノロウイルスについてクリニック院長の高木先生にお伺いしました。

  • 2025.4.13

ノロウイルスについてどのくらい知っている?今回は四谷内科・内視鏡クリニック院長の高木謙太郎先生にお話を伺いました。

ママ広場

ノロウイルス感染性胃腸炎:知っておきたい基礎知識と対策

寒い季節になると流行しやすいノロウイルスによる感染性胃腸炎。この感染症は非常に感染力が強く、家庭や職場、学校や保育園などで集団感染が起きることも少なくありません。そこでこの記事では、ノロウイルスの基本情報とともに、日常生活で実践できる予防法や、もし症状が現れた場合の対処法について詳しく説明します。

ノロウイルスとは?

ノロウイルスは、感染力の非常に強いウイルスで、経口感染を主な感染経路としています。感染者の嘔吐物や便、汚染された食品や水を介して体内に入り、感染が広がります。また、ウイルス自体が環境中でも長期間生存するため、注意を怠ると容易に広がってしまいます。特に冬場(11月から2月)に流行することが多いのは、ウイルスが低温環境で安定しやすいからです。
ノロウイルスの主な感染経路は以下の通りです:
[1]経口感染
ノロウイルスに汚染された食品(特に加熱不十分な二枚貝など)を摂取することで感染します。また、感染者が調理した食品を通じて感染することもあります。
[2]接触感染
感染者の便や嘔吐物に触れた手や指を介して感染します。トイレのドアノブなど、感染者が触れた物を通じても広がります。
[3]飛沫感染
感染者の嘔吐物が飛散し、その飛沫を吸い込むことで感染する場合があります。
[4]空気感染
嘔吐物や便が乾燥し、空気中に漂うウイルスを吸い込むことで感染することがあります。

主な症状

感染した場合、潜伏期間として24~48時間があり、その後以下の症状が現れることが一般的です。
・吐き気や嘔吐:特に乳幼児には嘔吐が強く現れることがあります。
・下痢:水様便が出ることが多く、脱水症状に繋がることも。
・腹痛:下腹部に鈍い痛みを感じることがあります。
・発熱:37~38℃程度にとどまる場合がほとんどですが、まれに39℃以上の高熱を認めることがあります。
多くの場合、症状は数日で収束しますが、乳幼児、高齢者、持病を抱え免疫力が低下した方などは重症化するリスクがあり、入院が必要となる場合もあります。

症状が出た場合の対処法

特効薬はなく、対症療法が治療となります。
[1]水分補給
嘔吐や下痢で体内の水分と塩分が失われるため、経口補水液(ORS)やスポーツドリンクでこまめに補給しましょう。
[2]食事に注意
可能なら一旦絶食とし、症状が改善後は消化に優しい食品(おかゆやスープなど)を選び、胃腸への負担を軽減してください。
[3]安静を保つ
無理な活動を避け、体力回復に専念しましょう。
[4]医療機関の受診
症状がひどい場合や、症状が長引く場合には、医師の診察を受けることが必要です。

予防するためのポイント

ノロウイルスの予防には、日常生活での以下のような習慣が重要です。
・手洗いを徹底
トイレの後、調理前や食事前には、石けんを使用し30秒程度しっかり手を洗う習慣をつけましょう。
・食品の適切な加熱
特に二枚貝(例:牡蠣)は、中心温度が85~90℃で90秒以上の加熱が必要です。
・環境の消毒
嘔吐物や便が付着した場所は次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液(次亜塩素酸ナトリウム入りの漂白剤10mLに対して、水0.5Lの希釈が目安)で拭き取ることが推奨されます。
・体調不良時の食品調理を避ける
感染者が食品を扱うことで家庭内感染が広がるケースが多いため、体調が悪い場合は調理を避けましょう。

知っておきたいこと

ノロウイルスは非常に感染力が強く、少量のウイルスでも感染が成立します。そのため、感染者と接する際にはマスクと手袋を着用し、嘔吐物処理の後には手洗いや消毒を徹底することが大切です。また、現在ワクチンは存在しないため、予防策を日々実践することが最大の防御策となります。
日頃から簡単に取り入れられる対策を積み重ねることで、感染を予防し、自分や家族を守ることができます。

執筆者

プロフィールイメージ
高木 謙太郎
高木 謙太郎

2022年5月2日に四谷で「予防医学を世の中に広め、健康寿命を伸ばし社会に貢献する」を理念に新規開業。
私は約15年間消化器内科医として、胃がんや大腸がんで苦しむ人々をたくさん診てきました。内視鏡検査を若い頃から定期的に受けて頂き、胃がんや大腸がんを早期発見ができれば、内視鏡で切除し根治が可能だったと悔しい経験をすることが多々ありました。
内視鏡検査は「痛い」「怖い」というイメージを持たれがちですが、正しい知識を啓蒙し、高水準で苦痛の少ない内視鏡検査を提供することで、それらの病気で苦しむ人を限りなくゼロに近づけることが可能であると思います。
「胃がん・大腸がんをゼロに」をミッションに頑張っています。
専門的で高度な医療を提供することは当然のこと、人と人との繋がりを大切にし、心の通った医療を提供することをモットーに地域医療をおこなっています。

経歴
2007年 東京慈恵会医科大学 医学部卒業

資格
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本医師会認定産業医

四谷内科・内視鏡クリニック

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