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こうじゃなきゃいけない、私にはできない、を捨てた私は最高に自由だ

  • 2025.4.13

中学生頃から大学一年までずっと、自分は公務員になって結婚せず生きるんだと思い込んでいた。恋愛はしてはいけないと思い込んでいたし、自分には公務員が一番向いているとばかり思っていた、今思えば強迫観念のようなものだった。

◎ ◎

その七年ほどの呪いは、大学生活であっけなく崩れ去った。私には、人生で四つ、こんなはずじゃなかった、がある。一つ目は高校を一年生のときに辞めたこと。二つ目は大学受験で第一志望にも第二志望にも受からなかったこと。三つ目は留学に行く努力すら出来なかったこと。四つ目は一ミリも好きではない人で処女を捨てたこと。

これだけ話すとああ苦労したんだねと同情されることが多い。だけど意外とそんなことはなくて、当の本人の私は、四つの出来事を不幸とは思っていない。むしろ今となっては、私が私らしく生きるための通過点だったと考えている。

高校受験のとき、母の許した学校しか受験をすることができなかった。私は勉強が、いや物事に真摯に取り組むことが好きだったので、当時の担任には、荒れているA高校(母の通っていた当時は進学校、少子化により商業科と統合され荒れに荒れていた、財布とかよくなくなる)への進学を反対された。だけど、自分の気にいらないことがあると、ヒステリックや無視をして、それがエスカレートすると暴力につながる母に、反抗することはできなかった。

そのヒステリックさと五十を過ぎても男に狂って家にお金を入れない母に祖父母はしびれを切らして勘当した(いや受験終わったあとにこれ?遅いよ、なんて当時言えたらよかったなあ)。

結局体罰やパワハラの蔓延っていたA高校は一年も経たずに辞めてしまった。入学当初私は地元の国公立大学で教職課程を履修し、先生になることを目指していた。過保護で保守的な家族も公務員、先生になりたいと言えば喜んだし。

だけど高校に入ってやっと携帯を触ることを親に許可され、SNSで教師のブラックすぎる日常のつぶやきを目の当たりにした。中学のときに親身になってくれた英語の先生への憧れはあっけなく砕け散った。それもあったし、どんどん心身のバランスが崩れていく中で、国公立五科目の受験に不安を感じて、志望校を私立大学に変更した。そこから担任の態度は豹変、国公立の合格実績を作らない生徒には用がなかったらしい。玄関で毎日過呼吸、水以外は体が受け付けなくて全てお腹を下してしまう私を見て、最初は高校を辞めるのに反対していた祖母も、最後には、もうこんな高校やめようと半泣きだった。

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そして通信制の高校に転校するも、体調は受験期まで回復せず、発作を起こして途中退室しながら一般入試で受けた本命の大学はあっけなく不合格。推薦入試なのにペーパーテストのみで、面接対策もいらないからいいかと、とりあえず受けて合格した、いわゆるFラン大学に進学した。入学式の前日、本命の大学から今年の追加合格候補者は全員追加合格にならなかったと連絡を受けた(だったら候補とか上げるなよ。三月三十一日まで待たすなよと今なら怒れる。当時は怒る元気もなかった)。

学部のみんなが取り組む留学も、女には留学なんていらんと祖父母に全否定された。留学費が全額免除になる試験も一人だけ受けなかった。成績だけはよかったから、もったいないと教授に心配された(その後長期のインターンでいろんな敵を見返せるんだけどまあそれはそれ)。

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また、中学のときの男子の一言で、容姿や恋愛のコンプレックスを拗らせていた私は、Tinderで出会った餃子のせいでにんにく臭い口のおじさんで、初めてのキスもセックスも済ませた。他人に言われるブスなんて言葉受け取って傷ついてはいけない。リスロマンティックと言って浮気をされてもなんとも思わない人間もいる。それを二年前に知っていたらこんなことにはならなかったけど、けど。

今の私は、学歴も留学も手に入らなかった分、半年の公務員のインターンで徹夜してでも頑張れた。男遊びだけかと思いつつ、案外人に好かれて彼氏も何度かできた。(私のセクシュアリティが主な原因で、続きは、しないけど。)女友達には、大学入っただけでこんな垢抜けたのも性格が明るくなったのも○○くらいだわと言われるようになった。

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もう公務員は目指していない。親の期待は応える気がないし、地元は就職で捨てる。セックスは楽しいけど、たまに相手の好意を嗅いだらとりあえず付き合ってみたりする。結婚は別居婚ならむしろしたいかも。

ベッドで病気と闘い泣いていた高校生の私へ。こうじゃなきゃいけない、私にはできないを捨てた私は、最高に自由だ。数えきれないくらいたくさんの思い出を持って、来年私は大学を卒業する。あのとき痛さに諦めて自分で死ななくてあなたは正解。高校卒業した後は大変だけど超楽しいぞ!

■チョコレートさえあればいいのプロフィール
なんかここまで生きてきちゃった人、ものを考えるのが好き、多分めんどくさい性格

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