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【ジュエリー】止まらぬ《地金》の高騰 人気ブランドで増える “新素材” とは?…高級店は苦慮「世界観守りたい」

  • 2025.4.12

1年半で1.5倍以上の急騰

金の地金を使ったジュエリーのイメージ

金の価格高騰が止まりません。2025年4月に入っては、過去最高額となる1g当たり1万6600円台を付けました。手頃な価格帯の商品を展開するジュエリーブランドなどは、相場の低い地金に置き換えるなどの対応を余儀なくされているようです。

田中貴金属が平日9時30分に公開している日次金価格推移。2025年4月1日には1万6605円を付け過去最高額を更新しました。過去10年間の年次別平均価格は、2015~2018年までは4500円前後で推移、2020年のコロナ禍から徐々に高騰を見せ始め、2022年のロシア・ウクライナ情勢の悪化によって拍車が掛かった格好です。

パンデミックを背景にした世界同時不況や、戦争といった政治的混乱による緊張が高まると、投資家らがリスク回避のため安全資産としての金へ投資先を換えるとされているため。現金の信用度が低下するのと反比例するように、不況下で金相場は上昇するというのが一般的な解釈です。

2023年8月末に初めて1万円の大台を突破した金価格は、わずか1年半ほどで1.5倍以上の急騰を見せました。

併せて、ジュエリーにとって欠かせない宝石であるダイヤモンドも高騰。こちらもロシア・ウクライナ問題による供給制限などが要因となっており、一般庶民にとってジュエリーはますます手に届きにくい存在となっています。

人気ブランド、K7やK5を採用

地金をたっぷり使った高級ジュエリーのイメージ

数万円以下前後の比較的手に取りやすい価格帯の商品を展開する国内ジュエリーブランドは、こうした状況に対応する新たな素材を模索しています。

「Canal 4℃」(エフ・ディ・シィ・プロダクツ)は2025年4月11日(金)、「K7(7金)」を使った初となるジュエリーシリーズを発売しました。金が地球上の限りある資源であることを強調し「希少なゴールドが持つ 限りあるリッチで美しい存在感を もっと多くの人々の日常に」「地球からの贈り物が あなたの毎日に光を添えますように。」とのコンセプトメッセージを発信しています。

ブランドらしい華奢でフェミニンなデザインを、K7の地金とキュービックジルコニアで表現。ネックレス、リング、ピアスをそれぞれ税込み1~3万円台に収め、従来の顧客にフレンドリーな価格を維持しています。

サザビーリーグが展開する「agete(アガット)」と「NOJESS(ノジェス)」は2022年秋から新素材として「K5(5金)」を採用。こちらも「限られた資源とずっと付き合っていくために、希少なゴールドを、もしもみんなでシェアできたら」とのステートメントを発表し、シルバー(silver925)と併せて多くの商品に取り入れています。

地金として使われる金は、ハイジュエリーなど高級感あふれるアイテムの場合、金の含有率が約75%の「K18(18金)」が一般的。またもう少し安い価格で手に入るアイテムでは同約42%の「K10(10金)」が多く見られました。ただ前述の通り金の価格高騰が止まらない現状で、含有率が約29%のK7や同約21%のK5といった素材は、今後も多く用いられることになるかもしれません。

一方で、高級ラインのアイテムを扱うブランドは対応に苦慮する一面も。K18を中心に30万円以上のアイテムを展開する東京都内のあるデザイナーズブランドは、地金の高騰に伴い1年前と比べて1.5倍近く値上げをした商品もあり、顧客離れを懸念しています。

ブランド内の高級ラインは60~80万円台がメインでしたが、2024年の後半以降は100万円を上回る値付けも多くなっており、「これ以上はお客さまに申し訳ない」。ただブランドの世界観にとって地金を惜しみなく使ったデザインは欠かすことができないため、アイテムによってK14(14金)を導入するなどして価格帯を抑えているとのことです。

(LASISA編集部)

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