築100年になるお屋敷をそのままカフェにした「麻葉屋の勝手口 古民家縁側cafe」。細い路地沿いの勝手口が入口で、一人づつ入るのが精いっぱいの広さは、昔ながらの鎌倉の暮らしの一端を垣間見るようです。コーヒーやお菓子をいただきながらくつろぐ和室は黒電話や桐箪笥などレトロな調度品に囲まれ、まるで古き良き時代にタイムスリップしたかのよう。小鳥のさえずりを聞きながらほっと一息つく時間を自分へプレセントしてはいかがでしょうか。
歴史の趣を残す隠れ家のようなカフェ
鶴岡八幡宮の東門からほど近い路地にたたずむ「麻葉屋の勝手口 古民家縁側cafe」。木造の2階屋に瓦屋根、石段の玄関の脇には常緑樹の垣根が連なり、大正末期から昭和の時代にかけての面影を色濃く残しています。
このカフェの名前の由来は、店主の実家が江戸時代から7代続く桐材木問屋で、その屋号が「麻葉屋」だったことから。勝手口には提灯がかけられ、奥へ一歩進むたびに、映画で見たことのあるような少し前の時代へとさかのぼっていくような感覚になりますよ。
時が止まったかのようなレトロな和室
勝手口から入って井戸の横を抜けると、建物の南側にある縁側へと続きます。ここには今でいうところのウッドデッキが当時からしつらえてあり、自然を感じながら過ごす心豊かな暮らしぶりがうかがえます。
縁側の大きなガラス戸は、サイズに合わせて宮大工さんが設計したものだとか。ガラス戸から入ると2間続きの和室が広がり、ちゃぶ台やクラシカルな椅子、足踏みミシンなどの調度品が配置されています。これらは店主の実家で使われていたもので、時代を超えた和の趣を感じさせます。店主の祖母が使っていたという桐箪笥の金具には桐の家紋が彫られ、職人の確かな技術がしっかりと息づいています。
庭の木々でさえずる小鳥たちに耳を澄ませて
和室や濡れ縁から眺める庭の景色は、このカフェの大きな魅力のひとつです。椿や枝垂れ桜、ドウダンツツジ、キンモクセイなどが四季折々の彩りを添え、スズメやメジロといった小鳥たちが訪れる姿も楽しめます。
春の気配が感じられる頃には紅白の梅が咲き始め、庭全体が華やかな雰囲気に包まれます。梅の見事な満開の景色を多くの人に見てほしいという思いから、この場所でカフェを開くことを決めたそうです。
じんわりと温かいお餅に心もホクホク
手作りのお菓子は体にやさしい素材を使っています。白玉粉と豆腐の生地で粒あんを包んだ温かい「麻葉屋餅」は、外側にカリッと焼き目を付けた看板商品。内側はモチモチとした食感で、抹茶ともよく合いますよ。
静かなお屋敷で贅沢なティータイム
小ぶりの茶碗に注いだコーヒーは店主こだわりのコーヒー豆で淹れます。藤沢のロースタリーに発注するシングルオリジンで、数種類から選びます。日替わりのパウンドケーキやアメリカンサイズのクッキーなど焼き菓子と一緒に召し上がれ。
人気の「ガトーショコラ」はじっくりと火を入れて焼くため、1日につくる数が限られる限定品です。米粉と豆腐を使用した軽やかな口当たりながらも、しっかりとしたチョコレートのコクが感じられる逸品。注文を受けてから温め直して提供されるため、出来立てのような風味が堪能できます。ぜひレトロなお屋敷でぜひ味わってくださいね。