球団史上初の世界一連覇を目指す、ナ・リーグ西地区の名門ドジャース。大谷翔平投手やムーキー・ベッツ内野手、フレディ・フリーマン内野手ら多くのスーパースターを抱えるチームの中で、いぶし銀の活躍を見せているのがトミー・エドマン外野手だ。
今季14試合に出場し、チームトップの5本塁打と存在感が際立つ。長距離砲ではなかった29歳のユーティリティプレーヤーが、ドジャース入団後から強打を放っているのが印象的だ。ここでは、MLB公式のデータサイト『Baseball Savant』でエドマンの打撃指標を掘り下げてみる。
■打撃指標が軒並み好転
29歳のエドマンは、2016年のドラフト6巡目全体196位でカージナルスに入団。19年にメジャー昇格を果たすと、昨季ドジャースに移籍。6つのポジションを守れる器用さが魅力で、今季は主に二塁手と中堅手として起用される見込みだ。俊足と抜群の守備力は折り紙付きだが、打撃はあくまで平均クラス。22年と23年に年間13本塁打を記録しており、ツボにハマれば一発を打てるパンチ力は持ち合わせていた。
ところが今季は、14試合ですでに5本塁打。『Baseball Savant』によると、10日(日本時間11日)時点で95マイル(約152.8キロ)以上の打球を示す「Hard Hit(ハードヒット)」の回数が、メジャートップの26回を記録。これは、2位の大谷やカイル・タッカー外野手(カブス)の25回を凌ぐ数字だ。スイングに対するハードヒットの割合も31.3%で、2位のフアン・ソト外野手を抑えて全体トップに立つ。打てる球をしっかりと捉えている証と言えるだろう。
また、今季は打球の平均角度が17.1°で自身の過去最大に。引っ張り時のフライボール率が11.1%上昇、平均打球速度は初めて90マイルを超え、全体上位21%にあたる92.2マイル(約148.3キロ)を計測するなど、打撃面での成長が著しい。初球スイング率とストライクゾーンのスイング割合がともに増加しており、積極的な打撃が功を奏している。
「便利屋」だったユーティリティーのエドマンが、名門ドジャースでポジションを掴みつつあるのは偶然ではないようだ。
Hard Hit(ハードヒット)
打球速度が時速95マイル(約152.8キロ)以上の打球を示す。「ハードヒット率」とは、全打球のうち95マイル以上で打たれた割合のこと。2018年のMLBでは、ハードヒットの打球が打率.524、長打率1.047だったのに対し、それ以外は打率.219、長打率.259と明確な違いが出ており、近年とりわけ重要視される指標となっている。