疲れている時、簡単で疲労に効く料理を作って食べたいけれど、そのために食材やレシピを自力で調べるのは面倒だ。『おこじょさんと家飲み家ご飯』(ヤゼ/KADOKAWA)は、そんな悩みを解消してくれる作品。手軽に作れる料理が豊富に紹介されており、料理初心者にもぴったり!
喋れるオコジョ・通称「おこじょさん」は、サラリーマンの優一郎とルームシェアをしながら、日々の労働に疲れた彼のために、美味しくて栄養価の高い食事を作る。たとえば、「茹で鶏」に使う鶏むね肉には、疲労回復効果が期待できるイミダペプチドが含まれている――といったように、栄養学の視点から食材の効果を教えてくれるのもありがたい。
作中ではさまざまな料理が登場するが、特に目を引いたのが、モッツァレラチーズを刺身のようにわさび醬油で食べる「モッツァレラ刺身」だ。実際に試してみると、チーズのもちっとした食感と醬油の風味が意外なほどよく合い、新しい美味しさを発見できた。本作ではほかにも、おこじょさんの「チーズ好き」な一面がうかがえるレシピが多く登場する。チーズ好きならぜひ試してみてほしい。
また、本作はタイトルに「家飲み」とあるように、料理と相性の良いお酒の紹介や、日本酒についての解説も充実している。たとえば、日本酒に興味を持った優一郎が、「初心者の自分がどう思われるか」と不安を口にした際、おこじょさんが「お酒は自分が楽しい、おいしいが一番!」と背中を押してくれるシーンが印象的だ。
一方で、本作にはアルコールが苦手な人や食欲がない時にも楽しめる「飲みもの」レシピも多く収録されている。水出し緑茶やココア、汁物など、ほっと一息つけるメニューが揃っており、家飲みの時間をより豊かにしてくれる。
料理を楽しみながら、自分の体調や気分に合わせて飲みものを選ぶ。そんな「ほどよい楽しみ方」を提案してくれる本作は、健康的な食生活のヒントにもなる1冊だ。疲れた日こそ、無理せず美味しい食事と飲みものを楽しむ時間を持ちたい。
文章=ネゴト / 花