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【米の高騰】高いなら…「かさ増し」したらいいじゃない!?“雑穀パワー”を栄養士が解説

  • 2025.4.10

ごはんの“かさ増し”にはメリットがたくさん!

お米が高いけど…“かさ増し”で賢く乗り切ろう!

お米の価格がなかなか下がらないなか、ごはんの“かさ増し”として雑穀を加えている方も少なくないのではないでしょうか。筆者もその一人です。コスパ面ではお得とは言い切れないのですが、栄養面のメリットがたくさんあります。この記事では、そんな雑穀の栄養について着目したいと思います。

気候変動や過酷な環境に強い丈夫な雑穀

雑穀とは一般的に米や麦といった主食作物以外の穀物のことを指し、あわ、アマランサス、キノア、きび、ひえなど、さまざまな種類があります。雑穀の定義は曖昧なところもあり、押し麦(大麦)や古代米(赤米や黒米)を混ぜたものが、雑穀米として売られていることもあります。雑穀の多くは、やせた土地でも栽培しやすく、高温や乾燥、寒さなどの過酷な環境に強い特性があります。気候変動に影響されにくいため、今後ますます注目度が高まりそうです。

たんぱく質、食物繊維、ミネラルの補強が可能

▲高温や乾燥に強く、縄文時代から栽培されてきた雑穀「あわ」。

雑穀を白米に混ぜて炊くメリットは単に“かさ増し”になるだけではありません。白米には少ない栄養素や食物繊維を補うことができて一石二鳥なのです。特に、たんぱく質や食物繊維、ビタミンB群、ミネラルが白米よりも豊富に含まれている傾向があります。また、噛みごたえのある食感のものが多く、よく噛むことで栄養が吸収しやすくなり、満腹感を得られやすい利点も。主な雑穀と注目の栄養素は以下の通りです(押し麦、赤米、黒米も雑穀に含めて紹介します)。

●アマランサス

種皮がやわらかく精白しないで食べられるため栄養価が高く、たんぱく質、ビタミンB群、食物繊維、ミネラルが豊富。白米と比較するとカルシウムは30倍以上、食物繊維、葉酸、ビオチン、鉄、マグネシウムは10倍以上も含まれています。強い香りと、ぷちぷちとした食感が持ち味。アンデス地方が原産で、古代インカ帝国では主食とされていました。

●あわ(粟)

歴史の古い雑穀で、アジアやヨーロッパでは新石器時代から栽培されていたと言われています。白米の約2倍のたんぱく質が含まれ、必須アミノ酸のロイシンが豊富。ビタミンB1とB2、パントテン酸、食物繊維、鉄などのミネラルも多く含まれています。うるち種・もち種の2種類があり、うるち種は炊飯や粥などに使われ、もち種はもちやお菓子、飴などの原料としても用いられています。

●キヌア

古代インカ語で「母なる雑穀」を意味する南米原産の雑穀で、栄養価の高さからスーパーフードとして注目されています。ビタミンB1とB2、葉酸、ビオチン、食物繊維、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛がバランスよく含まれています。たんぱく質が白米の2倍以上と多く、白米には少ない必須アミノ酸のリシンが豊富。独特の香りと食感があり、白米と一緒に炊くと味のアクセントになります。

きび(黍・稷)

イネ科の雑穀で日本では弥生時代から栽培されてきました。たんぱく質が白米の約2倍含まれ、ビタミンB1とB2、ナイアシン、カリウムも豊富です。あわと同様に、うるち種・もち種のがあり、日本では古来よりもち種が多く栽培されてきました。きび団子やきびもちの原料としてもおなじみ。コクと甘味があり、もちもちとした食感が特徴です。

ひえ(稗)

日本で縄文時代から栽培され、あわと並んで古い歴史がある穀物とされています。低湿・過湿・低温などに強く、種子の長期保存が可能なことから救荒作物として重宝されてきました。白米の約1.5倍のたんぱく質が含まれ、カリウム、亜鉛などのミネラル、食物繊維も豊富。粘りが少なく、ぱらぱらとした食感です。

●押し麦

大麦を精白し、蒸気で加熱した後にローラーで圧力をかけて乾燥させたもの。独特のプチッとした食感と適度な香ばしさがあります。特徴的なのが、白米の10倍以上の食物繊維が含まれていること。水溶性の食物繊維が豊富なため、食後の血糖値の上昇を緩やかにし、糖代謝の改善が期待されています。

●赤米・黒米(古代米)

日本で古くから栽培されていた米の原種で、でんぷんが主成分であることは現代の白米と同様ですが、たんぱく質、ビタミンB群、ミネラルの含有量が白米よりも多め。ぬかの部分に抗酸化作用のあるポリフェノールのアントシアニン色素を含んでいます。白米に混ぜて炊くと全体が薄いピンクから紫色に炊きあがります。黒米はもちもちとした食感、赤米は粘りが少なめという違いがあります。

まとめ

雑穀には、それぞれの特徴的な風味や食感があり、1種類だけでは食べにくいものもあります。最近は、さまざまにブレンドされた雑穀米が多く売られていますので、強化したい栄養素が入っているものを選ぶなど、上手に取り入れていただけたら嬉しいです。

※参考文献)杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、香川明夫監修『八訂 食品成分表2025』女子栄養出版部,2025、奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養大学出版部,2022、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018

(野村ゆき)

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