テレビ東京で放送されている『コッソンビ 二花院(イファウォン)の秘密』は、謎解きミステリーの痛快な要素をたっぷりと内包した時代劇だ。その魅力の一端を担っているのは、輝きを放つ若手スターたちの共演に他ならない。
ヒロインには凛とした美しさを持つシン・イェウンが扮し、さらに、三者三様の魅力を放つソンビたちには、リョウン、カン・フン、チョン・ゴンジュが名を連ねている。
今回、焦点を当てたいのはカン・フンである。彼の存在感が広く知られるようになったのは、2021年放送の『赤い袖先』からであった。イ・ジュノと共演した彼は熱のこもった演技で視聴者を魅了した。
その後、カン・フンは現代劇『シスターズ』でミステリアスな役柄を演じ、内面の奥深さと現代的な感性を表現した。変幻自在の演技力を携えて、彼は再び時代劇の世界へと戻ってきた。そして『コッソンビ 二花院(イファウォン)の秘密』では、キム・シヨルという一筋縄ではいかない人物を演じている。
キム・シヨルは、表向きは華やかに女遊びを楽しみ、賭け事に興じる軽薄な青年として描かれている。科挙を目指していながら勉学にはまるで身が入っていない様子だ。
輝きを放つ若手スター
しかし、そこにはどこか憎めない愛嬌が漂い、その裏に潜む「本当の顔」を感じさせる含みもある。彼の眼差しには時に鋭さが宿り、ただの放蕩者ではないという空気を醸し出していた。
カン・フンはこのキム・シヨルを、天真爛漫に演じきっている。彼の演技には、笑顔ひとつで場を和ませ、緊迫する場面では空気を一変させる力がある。まるで舞台の風を自在に操るかのような存在感である。興味深い逸話として、撮影中には共演者たちと冗談を飛ばし合い、撮影現場の空気を和ませていたという。
実際、カン・フンという俳優は、「軽妙さと重厚さ」「柔らかさと鋭さ」を併せ持っている。そのキャラクターは、『コッソンビ 二花院(イファウォン)の秘密』でも存分に発揮されている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)