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ノロウイルスに感染したらどうしたらいい?消化器内視鏡クリニック院長船越先生にお伺いしました。

  • 2025.4.9

最近ノロウイルスなどの感染性胃腸炎が流行してるらしいけど、どんな症状なの?何に気を付ければいい?そんな悩みについて、まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック院長の船越 真木子先生にお伺いしました。

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ノロウイルス(感染性胃腸炎)ってどんな感染症なの?

お子さまが突然吐いたり、おなかを痛がったりすることはありませんか?その症状の原因のひとつとして考えられるのがノロウイルスといわれています。特に冬場に流行しやすく、感染力が非常に強いウイルスで、ごくわずかな量でも体内に入ると感染するといわれています。

ノロウイルスは、手指や食べ物を介して身体に入り、主に胃腸に影響を与えるといわれています。例えば、ノロウイルスに感染した人が嘔吐したときに空中にとぶ飛沫や、下痢を処理した手から感染することもあります。また、ノロウイルスに感染した人が調理した食事を食べたり、カキなどの十分に加熱されていない二枚貝を食べたりすることでも感染したり、食事だけではなく感染者が触れたドアノブやおもちゃなどを介して広がったりすることもあります。特に小さなお子さまは免疫が十分に発達していないため、感染しやすく、保育園や幼稚園、小学校などの集団生活の場では、一人が感染すると周囲に広がりやすいウイルスであることも知られています。

症状は?

ノロウイルスに感染すると、多くの場合、嘔吐の症状が現れます。12時間~2日間の潜伏期をおいて、急に「気持ち悪い」と言い出して嘔吐してしまうこともあります。また嘔吐だけではなく、おなかの痛みや下痢、発熱も症状として現れます。

嘔吐や下痢が続くと、体の水分がどんどん失われてしまいます。特に、お子さまは体が小さい分、脱水症状を起こしやすいので注意が必要です。口が乾いてしまう、尿の回数が減っている、ぐったりして元気がない場合は、すぐに水分補給をすることを心がけましょう。嘔吐や発熱の症状は1〜2日で落ち着くことが多いですが、下痢が長引くこともありますので、早めに病院の受診も検討しましょう。
またノロウイルスに感染した場合、症状が軽くなっても1〜2週間程度身体の中に、ノロウイルスが残るといわれています。そのため、周囲へ感染を広げないよう注意が必要です。

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症状が出た場合の対処法

ノロウイルスにすぐに効く薬はありませんが、ノロウイルスを体の外に出すことが重要です。そのため、嘔吐や下痢を無理に止めようとせず、しっかりと休養を取ることが大切となります。

【水分補給】
嘔吐や下痢で失われた水分をこまめに補給しましょう。一度にたくさん飲むと、胃に負担がかかり、かえって嘔吐しやすくなるため、少量を何回にも分けて飲むように心がけましょう。水やお茶でもよいですが、脱水が心配なときは、子ども用の経口補水液を活用するとよいでしょう。飲めるのであれば天然塩を少量足しただし汁なども脱水改善に有効です。

【食事の調整】
食欲がないときに無理に食べさせる必要はありません。食べられるようになったら、おかゆやうどん、スープなど、消化の良いものから少しずつ食べるようにしましょう。すぐに油っこいものや刺激の強い食事を摂ることは避けるようにしましょう。

【しっかりとした休息】
嘔吐した後はしっかりと休むことが大切です。布団やソファでゆっくり過ごし、体力の回復を待ちましょう。また、ゆっくりと睡眠を取ることも重要です。

どんな人がかかりやすい?

ノロウイルスは誰でも感染する可能性がありますが、特に注意が必要なのは、免疫が未熟な 乳幼児や高齢者の方となります。特に、お子さまは体が小さい分、ウイルスの影響を受けやすく、症状がひどくなることもあります。また、幼稚園、保育園、小学校などの集団生活を送る環境では、ノロウイルスの感染が広がりやすいために手洗いなどを徹底することが大切です。

予防するために気を付けること

ノロウイルスの感染を防ぐには、 日常的な衛生管理 がとても大切となります。特に、お子さまには、こまめな手洗いを習慣づけましょう。食事の前やトイレの後、外から帰ったときには、石けんを使ってしっかり洗うことが重要となります。

また、食べ物にも注意が必要です。カキなどの二枚貝はしっかり加熱してから食べるようにしましょう。家庭で調理する際も、生の食品と加熱済みの食品を分けて扱うことで、感染リスクを減らすことができます。

※ご家族がノロウイルスに感染した場合
もし、ご家族の誰かがノロウイルスに感染した場合は、嘔吐物や便の処理は慎重に行いましょう。ノロウイルスはアルコールだけでは死滅しません。薄めたハイター液やアイロンなどの高熱を利用して消毒しましょう。

目安としては
ハイター液=次亜塩素酸ナトリウム溶液(濃度約5%)
・便や嘔吐物が付着した床やおむつなどの処理→ペットボトルキャップ2杯(10mL)のハイターをペットボトル500mL全量となるように水で薄める。
・衣服などのつけ置き、便座やドアノブなどの消毒→ペットボトルキャップ1/2杯弱(約2mL)のハイターをペットボトル500mL全量となるように水で薄める。

アイロンで消毒する場合、85度以上で60秒以上加熱すればノロウイルスは感染力を失うといわれています。

処理する場合はマスク・ゴム手袋・眼鏡を使用します。感染者の使用したタオルや食器は分けて使い、こまめに消毒を行うことも大切です。

またノロウイルスは、症状が治まった後も 1〜2週間ほど体や便の中にウイルスが残るともいわれています。そのため、嘔吐や下痢などの症状が改善したからといって気を抜かず、引き続き手洗いや消毒を徹底しましょう。

お子さまが感染した場合、 幼稚園や学校を一定期間お休みしなければならないこともあります。施設によって対応が異なるため、保育園や学校のルールを確認した上で、医師と相談しつつ他のお子さまへ感染を広げないようにしましょう。

参考文献:感染性胃腸炎~ノロウイルス感染症~(日内会誌 102:1492-1498, 2013)

執筆者

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船越真木子
船越真木子

まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック(京都)院長
2005年神戸大学医学部卒。
京都大学医学部附属病院等の勤務を経て、2021年に「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」(京都市伏見区)を開院。がん罹患数の第一位である大腸がん、第三位である胃がんを早期発見するため、『気軽に受けられる胃カメラ・大腸カメラ』として苦痛の少ない高精度な内視鏡検査を提供している。
土日の検査や、鎮静剤(眠る薬)、胃カメラ・大腸カメラの同日実施などにも対応。眠ったまま楽に検査が受けられる、と高い評判を得ている。ミッションは『人生を最高に楽しめる体と心を支える』。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医。

まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック

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