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「ヒリヒリする」40代女性に不快感が増加!産婦人科医が明かす萎縮性腟炎の正体と対処法

  • 2025.4.10

40代を過ぎるころから、ふとした瞬間に「またがヒリヒリする、不快感がある」と感じたことはありませんか。若いころには感じなかった痛みや不快感は、なぜ起こるのでしょうか。またの悩みはなかなか相談しにくいもの。産婦人科医の駒形依子先生に、更年期世代に見られる痛みや不快感の原因と対処法を聞きました。

またがヒリヒリ痛む原因は?

女性ホルモン低下による「萎縮性腟炎」かも

またに痛みや不快感を感じるとき、40代以降の女性であれば「萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)」の可能性が高いと駒形先生は言います。

「萎縮性腟炎は、女性ホルモンのエストロゲンの減少による腟の萎縮や乾燥が原因です。女性ホルモンの分泌が減少することで腟組織の潤いがなくなり、分泌液も減少するため腟内が乾燥します。乾燥することで少しの刺激でも痛みや違和感を感じやすくなります

痛みの感じ方はツンとする痛み、たまにズキッとするなど人それぞれですが、皮膚がひきつれるような痛みが多いようです。痛みはないものの違和感や不快感を感じる人も多いです。

また、腟内には常在菌が多数あり、外部からの雑菌から腟を守っています。しかし、腟内が乾燥することで常在菌のバランスが崩れ、雑菌が侵入しやすくなってしまうのです。雑菌が侵入して炎症を起こすことで痛みを感じます」(駒形先生)。

もともとは60代女性に多い症状だった!

腟の潤いがなくなり、外陰部や腟が乾燥・萎縮して雑菌が繁殖することで起こるという萎縮性腟炎。駒形先生によれば、もともとは萎縮性腟炎は、閉経からしばらく経った60代女性が発症することが多かったそう。

「40代、50代女性の間で萎縮性腟炎が増えているのは、下半身の衰えが昔より早く進んでいるからでしょう。潤いのもととなる水分を運んでいるのは血流です。現代では足腰を使う機会が減って下半身の筋肉が衰え、骨盤内の血流が低下しやすくなっています。血流が低下するとまたの肌は乾燥し、たるんでいきます。たるむことで少しの刺激でも痛みを感じやすくなるのです」(駒形先生)。

「萎縮性腟炎」は治る?対処法は?

まずは保湿することが大切

またに痛みや不快感があっても、婦人科をすぐに受診するという方は少ないのではないでしょうか。

「婦人科を受診する方の多くは痛みとともに出血症状がある場合がほとんど。少しの刺激で腟がこすれて出血することが何度かあり、不正出血ではないかと心配して来院します。性感染症などの検査をして否定されれば萎縮性腟炎の可能性が高くなります

萎縮性腟炎の方にまず推奨しているのが、保湿です。

お風呂上がりに、毎日フェイスケアで使っている化粧水の残りをやさしく塗り込むだけでOKです。このとき大切なのは外側だけを保湿すること。腟の中まで化粧水をつけると雑菌が繁殖する原因になるので絶対にやめましょう

最近は専用の化粧水もありますが、100%肌に合うとは限りません。まずはいつも使っているお気に入りの化粧水でまたの保湿を習慣にすることが始めてみると良いと思います。さらに改善を求めたいのなら、専用の化粧水にトライしてみても良いでしょう。

なお、炎症がひどい場合は腟錠を処方することもあります。日常生活に支障がある痛みや不快感があるときは婦人科に相談してみてください」(駒形先生)。

日常生活で気を付けたいことは?NG行為は?

パンスト、ガードル、紙のおりものシートは控えたほうが無難

保湿ケア以外で気を付けることはあるのでしょうか。

「萎縮性腟炎に大敵なのは外側からの刺激と雑菌の侵入です。

外側からの刺激でありがちなのが

・スキニーズボンなど体にフィットするボトム

・パンティストッキング

・ガードル

など肌に密着した衣類。またに当たるとこすれて刺激になります。また、下半身にきつい衣類を身に着けると股関節を圧迫し、血行を悪くする恐れもあります。

一方、雑菌が繁殖する原因となるのが

・化繊のつるつるの下着

・紙のおりものシート

・自宅以外のシャワートイレ

・またをごしごし洗う

などです。つるつるの下着や紙のおりものシートはムレの原因となります。おりものシートを付けたい場合は布製が良いでしょう。シャワートイレやごしごし洗いは雑菌の侵入の原因となります。特にごしごし洗いは、必要な常在菌まで洗い流してしまうこともあるので絶対にやめましょう。

また、萎縮性腟炎の女性の悩みで多いのが性交痛。乾燥したまま性交を続けていると傷がついて痛みが強くなります。性交痛があるときは、まずは保湿をしっかりして乾燥を改善することが大切です」(駒形先生)。

まとめ

私も自転車に乗るとき、違和感というか重みを感じた経験があります。これも乾燥が原因ということです。駒形先生によれば、免疫が落ちているときに体は炎症を起こしやすくなるということ。十分な休息や規則的な生活リズムなど免疫アップを心がけることも予防になるということです。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

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取材・文/mido

ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。


監修者:医師 こまがた医院院長 駒形依子 先生

東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。

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