フィギュアスケート選手を目指す少女・結束いのり(CV:春瀬なつみ)と、元アイスダンス選手のコーチ・明浦路司(CV:大塚剛央)がタッグを組み、フィギュアスケートの世界で頂点を目指す「メダリスト」(毎週土曜深夜1:30-2:00ほか、テレビ朝日系で放送/ディズニープラス「スター」にて単独最速配信開始、ABEMA・FOD・Hulu・Leminoほかで順次配信)。原作は「アフタヌーン」(講談社)で連載中の人気漫画で、「次にくるマンガ大賞2022」コミックス部門第1位をはじめ、第68回小学館漫画賞一般向け部門、第48回講談社漫画賞総合部門を受賞するなど、面白さは折り紙付き。3月29日に放送されたscore13(最終話)は、6級のバッチテストに挑むいのりたちの姿を描いた「朝が来る」。(以下、ネタバレを含みます)
いのり、光にライバル宣言!?
夏合宿を終えて、いよいよ迎えた6級バッチテストの当日。試験会場へ着いたいのりは、そこで狼嵜光(CV:市ノ瀬加那)とバッタリと再会。ずっと追いかけ続けてきた光を前に「これでやっと、光ちゃんと戦えるよ」と告げると、光もまた満面の笑みで「全日本でね。約束だよ」と送り出す。6級のバッチテストは、エレメンツ、ショートプログラム、フリースケーティングの3つのテストがあり、まずは単独で技を見せるエレメンツから。試験を前にしてもいのりは冷静で、合宿でマスターしたばかりのダブルアクセルをしっかりと着氷させてクリア、さらにはショートプログラムもノーミスで滑ってみせるのだった。
冒頭から、ひと回りもふた回りも成長したいのりの姿が印象的。海外留学から一時帰国中の姉・結束実叶(CV:和氣あず未)に「私、変わった?」と問いかけたり、会場で会った光に「今、そっち行くから」と言い切るなど、その積極的な言動は以前のいのりからは想像もできないほどだ。とは言え、実叶からすれば本質的には変わっていないようで、「のんちゃんは今も昔も、少しも変わらずずっと頑張ってきた」と指摘。振り返れば、夏合宿の終わりには司も「初めて会った時も今もずっと頑張り屋さん」と言っていて、それはきっとそうなのだろう。それでも、ずっとダメダメだと思っていた自分に自信が持てるようになったということは、いのりにとってはやはり大きな変化なのだとも思う。これにはSNSでも「待たせてごめん…かっこいい。もう泣くわ」「やっぱり成長してるよ!」などの声があがっていた。
一皮剥けた理凰、最高の笑顔で視聴者を虜に
この日、同じく6級のバッチテストを受けていた鴗鳥理凰(CV:小市眞琴)のショートプログラムが始まる。いのりたちの合宿に参加し、司との対話を通じて自分の殻を破った理凰は、6度目のテストにて納得の滑りを披露。エリートならではの苦悩から解き放たれたかのように、嬉しそうな笑みを浮かべる。一方、残すところフリースケーティングのみとなったいのりは、会場の重苦しい空気に当てられてやや緊張気味の様子。そんないのりの状態を心配する母と司だったが、いのりは二人それぞれにこれまでの感謝の気持ちを伝えると、平常心を保ったまま、最後のテストへ向かうのだった。
ここでは、初めてしっかりと描かれた理凰の滑りに注目。もともと高い技術を持っていた理凰だったが、“銀メダリストの息子”という肩書きに比する自己評価はとても低く、それゆえにこの先の成長も諦めていた。しかし合宿で、“才能”ではなく“努力”で培った司の滑りを目の当たりにしたことで成長。このショートプログラムでは、「挑戦は気楽に」という司からの教えも意識していて、純粋にスケートを楽しんでいるような表情を見せているのも大きな変化と言えるだろう。とくに最後の満面の笑みは、多くの視聴者が虜になったに違いない。これにはSNSでも「理凰の笑顔可愛いすぎないか?」「理凰くんの笑顔良すぎぃ!!」など、絶賛の声が寄せられていた。
いのり、圧巻のフリースケーティングで魅了
いのりのフリースケーティングが始まった。いのりの演技は最初にダブルアクセル、そのあとに6つのジャンプと3つのスピンが待ち構える構成で、ひとつでも失敗したら不合格。しかしいのりは、そんなプレッシャーなど感じていないかのように最初のダブルアクセルを成功させる。これまでの思い出をひとつひとつ思い出し、昔の自分に感謝しながら次々とジャンプやスピンを成功させていくいのり。こうして最後のスピンを終えたいのりは、笑顔で「ありがとう」と呟いて演技を終えると、会場からは自然と拍手が沸き起こるのだった。結果、6級のバッチテストは理凰とともに見事に合格。ようやく光のいる全日本ノービスの舞台までたどり着いたいのりは、改めて司とグータッチを交わし、新たな戦いへ向けて闘志を燃やす。
最後はいのりの圧巻のフリー演技で締めくくり。初披露となった演技曲「The Flower Fairy」も含めて、ステップ、ジャンプ、スピンのどれもが素晴らしいクオリティーだった。大会でのいのりの演技シーンと言えば、初級で迎えた「名港杯」、1級で臨んだ「西日本小・中学生大会」、5級の「名港杯」の三度のみ。とくに5級での「名港杯」は短尺だったため、今回の滑りでは技術や表現力ともに凄まじいレベルアップが感じられ、まさに圧倒された感覚だ。また、いのりのモノローグと過去シーンを絡めた演出も特徴的で、「忘れないよ。あなたがいたから、私はこうして今、滑ってる」「だから諦めないで」など、過去の自分に対するメッセージでありながら、まるで視聴者に向かって語りかけているよう。まさに最終話にふさわしい、観る者の魂を撼わす3分30秒となった。これにはSNSでも「回想と挟んだこれは反則だろ!」「最後まで泣かせてくれるなぁ」など、感動のコメントが多く投稿されていた。そして放送終了後にはさっそく第2期の制作決定も発表されるなど、この盛り上がりはまだまだ加速していくこと間違いなし。第2期の放送を楽しみに待とう!
◆文/岡本大介