【写真】三浦翔平が出演する「あのときキスしておけば」の面白さを解説
民放公式テレビ配信サービス・TVer(ティーバー)にて「俳優ドラマ特集」が開催中。2025年春ドラマに出演する阿部寛、内野聖陽、川栄李奈、志尊淳、多部未華子、広瀬アリス、間宮祥太朗、三浦翔平の過去出演作、約60作品が無料配信されている。今回はその中から、特に筆者がおすすめする『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)と『ファイトソング』(TBS系)の2本を紹介する。
井浦新＆三浦翔平のキスシーンも！笑いあり涙ありのラブコメディ
2021年4月期に放送され、視聴者から「あのキス」の愛称で親しまれた『あのときキスしておけば』。テレビ朝日の大ヒットドラマ『おっさんずラブ』シリーズで知られる貴島彩理プロデューサーと、“ラブストーリーの名手”と呼ばれる脚本家・大石静がタッグを組んだ、笑いあり涙あり胸キュンありの傑作だ。
物語は、冴えないスーパーの店員・桃地(松坂桃李)が大好きな漫画の作者・巴(麻生久美子)と出会うところから始まる。恋に落ちかける2人は沖縄旅行に向かった先で、飛行機事故に遭遇。巴は亡くなってしまうが、なんとその魂が同じ飛行機に乗っていた見知らぬおじさん・マサオ(井浦新)に乗り移ってしまうのだ。
そんな荒唐無稽な設定を成立させているのが、俳優陣の名演である。特に必見なのは、“オジ巴”(＝巴の魂が乗り移っている状態のマサオ)を演じている時の井浦。麻生の特徴を的確に捉えており、だんだん本人にしか見えなくなってくるという不思議な感覚を味わうことができる。見た目はスタイル抜群のイケオジなのに、乙女オーラが溢れていて非常に愛らしい。
一方、三浦翔平も見逃せない存在だ。このドラマはのちに『おっさんずラブ‐リターンズ‐』では上司と部下、NHK大河ドラマ『光る君へ』では父と息子を演じることになる井浦と三浦の初共演作である。本作では“元夫婦”という役どころで、高見沢は別れてからも巴に未練タラタラ。見た目がおじさんになっても構わず熱烈な愛を向け、第5話では桃地とオジ巴を巡ってバトルに。同回で三浦が見せるコメディに振り切った演技には抱腹絶倒させられること間違いなし。なんと、井浦と三浦のキスシーンもある。
本作はそんな個性的なキャラクターが繰り広げるラブコメディであり、笑えるシーンが多い。だが、一方では「大切な人の死をどう乗り越えていくか」という問いに対して真摯に向き合った作品だ。特に最終話は涙なしに見られないが、切ないばかりではなく、心に温かさを残してくれる。
間宮祥太朗か、菊池風磨か？ 大きく視聴者票が分かれた“王道じゃない”恋愛ドラマ
本作『ファイトソング』は、NHK連続テレビ小説『おひさま』や『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)などの岡田惠和が手がけるヒューマンラブコメディだ。TBS火曜ドラマ枠で2022年1月期に放送され、話題となった。
見どころは何と言っても、花枝(清原果耶)、芦田(間宮祥太朗)、慎吾(菊池風磨)が繰り広げる三角関係だろう。空手の日本代表を目指していたが、交通事故で夢を絶たれ、スポーツ推薦で進学した大学を中退した花枝。同じ児童養護施設で育った幼馴染・慎吾の経営するハウスクリーニングでバイトとして働くことになった彼女が出会うのが、かつて一曲だけヒット曲を出したが、現在は落ちぶれたミュージシャンの芦田だ。その一曲は花枝が試合前に必ず聞いていた勝負曲だった。
まさに運命の出会いから始まる2人の恋。「人の気持ちが分からない良い曲が書けない」と言われていた芦田は恋をするために、花枝に交際を申し込む。花枝にとって芦田は自分が大好きな曲を作ったミュージシャン。喜ぶかと思いきや、花枝はドン引きし、「そう言えば女の子が喜ぶと思ってるなら、マジでいらないです」と拒否するのだ。そんな風に恋愛ドラマの定石を良い意味で裏切ってくるのが面白いところ。理知的でさっぱりとした花枝のキャラクターが気持ちがいい。
だが、花枝はある理由から2ヶ月という期限付きで芦田と付き合うことに。芦田はコミュニケーションが苦手で、とにかく不器用。世の女性を虜にするようなキャラクターではないけれど、ホッとするような安心感があって見れば見るほど愛らしくなっていく。花枝がそんな芦田に惹かれていく一方で、ヤキモキさせられるのが慎吾。一見、軟派な感じがするが、幼い頃から一途に花枝のことを思うまっすぐな男性だ。放送中には慎吾に報われてほしいという声も視聴者から多数上がっていた。「花枝が2人いたらいいのに…！」と思わず願ってしまうほど魅力的な男性を間宮と菊池が好演している。
そして当初決めていた交際期間が終わり、ある秘密を抱えたまま芦田と別れる花枝。その秘密とは一体何か、花枝は芦田と慎吾のどちらかと結ばれるのか。それは是非とも本編で確かめてほしい。
■文／苫とり子