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「オイルプリング」の効果・やり方・リスクは?歯科医が徹底解説!

  • 2025.4.7

オイルプリングは何世紀も前から使われているオーラルケアのテクニック。虫歯の予防、口臭の除去、歯のホワイトニングに効果的とされている。「オイルプリングは、この数年で一気に広まったトレンドです」と説明するのは、矯正歯科クリニックSkin to Smileオーナーのマリーナ・ゴンチャー医師。「インフルエンサーやセレブの間では、マウスウォッシュなどのオーラルケア商品、さらには歯磨きの代わりにもなる自然療法として騒がれています」

確かにオイルプリングはTikTokでも話題になっているけれど、実際の効果のほどは?知りたくて仕方がなくなった私は、歯科医に直接話を聞いた。朝の口臭なんか気にしていられない。

オイルプリングとは?

歯科クリニックGallery57Dentalの認定補綴専門医、サマンサ・B・ローディン医師によると、オイルプリングとは何らかのオイルを口に含んで、口の中を10~20分ゆすいでから吐き出すこと。簡単に言えば、かなり長めのマウスウォッシュ。

通常、オイルプリングでは、虫歯や口臭、歯垢の蓄積の原因となる細菌を減らす抗菌作用の高いオイルが使われる。最も一般的なのはココナッツオイル、ゴマ油、ヒマワリ油、オリーブオイル。どのオイルを使うかは個人の好み。参考までに、ココナッツオイルは抗菌・抗真菌作用とマイルドな風味で人気。ゴマ油は口腔の健康をサポートする抗酸化・抗菌作用が高いけれど、風味が強いので好き嫌いが分かれるオイル。ヒマワリ油オリーブオイルには、抗酸化・抗菌・抗炎症作用がある。

オイルプリングの効果は?

オイルで口をゆすぐなんて気持ち悪いと思うかもしれないけれど、オイルプリングには科学的に証明された効果がある。

虫歯が減る

虫歯は甘い物の食べ過ぎだけでなく、口の中の細菌のバランスが崩れることでも生じる問題。「オイルプリングで使われるオイルには大抵抗菌作用があるので、続けていると口内フローラのバランスが良くなって、虫歯になりにくくなります」とローディン医師。でも、歯ブラシとフロスは捨てないで!オイルプリングはオーラルケアに“追加できる”安全なテクニックではあるけれど、それで虫歯が治るわけではない。「歯の表面にあるエナメル質を通過した虫歯は元に戻らないため、歯科医による治療が必要です」とゴンチャー医師。

歯茎が健康になる

前述のオイルに含まれる抗菌作用は、歯周病の悪化に歯止めをかける。また、オイルプリングをしていると歯垢が形成されにくくなり、歯茎と口腔が健康になることも。「ココナッツオイルには、抗菌・抗真菌・抗炎症作用を持つラウリン酸が含まれています」とゴンチャー医師。ゴマ油はフリーラジカルが口腔の組織に与えるダメージを軽減し、その抗菌作用でミュータンス菌やラクトバチラス菌と戦ってくれるそう。ヒマワリ油も歯肉炎と歯垢の蓄積を減らすことが証明されている(ただし、どれも通常のオーラルケアをやめる理由にはならない)。

全体的な健康状態が改善する

「口腔は体内への入り口です」とローディン医師。「口の中のシステムが正常なら、全体的な健康状態も改善します」。歯茎には毛細血管が集中しているため、そこから侵入した病原菌はあっという間に血流に乗り、体内の臓器に移動する。ある研究では、歯周病と心血管疾患の関連性が証明された。また、虫歯と歯周病の治療と予防は、糖尿病と心疾患のリスクを大幅に下げるという研究結果も存在する。

息が爽やかになる

頻繁な口臭の原因は大抵細菌。ゴンチャー医師いわく、この場合は硫黄を生成する微生物を狙い撃ちする食用オイルでオイルプリングをするといいかもしれない。

オイルプリングは誰にでもできる?

ほぼ誰にでもできる。オイルプリングは無害で低リスクのオーラルケアテクニック。でも、口を10~20分ゆすぐ必要があるので、顎関節症の人、アゴや顔面の筋肉に痛みがある人には勧められない。

オイルプリングは、誤ってオイルを飲み込んでしまう可能性のある子どもにも不適切。「稀とはいえ、オイルプリングは深刻な問題につながることがあります」とローディン医師。大量のオイルの摂取は胃の不調を引き起こすことがある。オイルプリングで「リポイド肺炎」になった(オイルが肺に入り込んだ)ケースも報告されているので注意が必要。

オイルプリングの方法

オイルプリングはマウスウォッシュに似ているけれど、いくつか重要な違いがあるので、必ず次の手順で行おう。

朝、歯を磨く前に、大さじ1杯程度の食用オイルを口に含む。

飲み込まないように注意しながら、(マウスウォッシュと同じ感じで)10分から20分ほど口の中をゆすぐ。

ゆすぎ終わったらオイルを吐き出す。多くの専門家は、排水管の詰まりを防ぐために、ゴミ箱に直接吐き出すことを勧めている。

歯ブラシやフロスを使った通常のオーラルケアで、口の中に残った細菌、食べかす、オイルを取り除く。

これを1日1回から週3~4回の頻度で行う。

歯科医もオイルプリングを勧めている?

オイルプリングを試してみるのはいいけれど、それが従来のオーラルケアの代わりになると言う歯科医は1人もいない。「オーラルケアの一環としてオイルプリングをすることに問題はないと思います。私の患者さんでも、オイルプリングをしている人は歯茎がかなり健康ですから」とローディン医師。「かといって、オイルプリングを積極的に勧めているわけではありません。20分も口をゆすぐ時間があるなら、2分かけて丁寧に歯を磨き、30秒かけてフロッシングをしたほうがいいでしょう。オイルプリングで、口腔疾患や全身疾患が大幅に減るという決定的な証拠はありません」

つまり、歯ブラシは今後も持ち運ぶべきということ。

※この記事はアメリカ版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。

Text: Jamie Wilson Reviewed by Brian Underwood Translation: Ai Igamoto

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