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下水道使用自粛が出たらどうする? 地震や大雨などの災害時にも要注意

  • 2025.4.8

2025年1月に埼玉県八潮市で道路陥没が発生し、一時、周辺地域での下水道使用自粛の協力要請が行われました。
こうした事故のほかにも、地震・大雨などの災害が原因で下水道が使えなくなったり、使用自粛要請が行われたりすることがあります。

実際に下水道使用自粛要請が出た場合の行動や、事前にできる備えを考えます。

災害時にも下水道が使えなくなることがある

前述の八潮市の道路陥没事故に伴う下水道使用自粛要請のような例もありますが、そういった事故だけではなく、災害時にも下水道が使えなくなることがあります。
大きな地震では地中の下水道管が破損したり、下水処理施設が被災したりして使えなくなる場合もあります。

東日本大震災で被災した自治体では、下水道の仮復旧までに平均34日間、最大123日かかったというデータもあります。

また、台風や豪雨などの災害では、大量の雨水が下水管に流れ込み、排水機能が追い付かなくなり、下水が流せなくなるだけでなく、トイレやお風呂から汚水が逆流してしまうこともあります。そうした場合はできるだけ排水を控えることが必要です。

汚水が逆流する前には、「ゴボゴボ」と音が聞こえることがあります。これは一時的に下水内の水量が増加することで空気が押し出されて出る音です。
こういった兆候があるときは水を流さないようにし、ビニール袋に水を入れて口を結んだ「水のう」で排水口をふさぐと下水の噴出を抑えることができます。

下水道使用自粛が出たら注意すること

八潮市の事故の際には、生活に支障のない範囲でできる限り下水道使用を控えるように協力が求められました。自治体から下水道の使用を自粛するように協力を求められた場合や、大きな地震の直後、大雨の際に下水逆流の兆候が見られた場合にはどんなことに注意したら良いでしょうか。

トイレやキッチンなどを使う際の注意点を紹介します。

トイレの使用

トイレは非常時でも待ったなしです。特に大きな地震の際には、見えている範囲に問題が無さそうでも、配管など見えない場所が破損していることがあります。

集合住宅の場合、不用意に水を流してしまうと下流の部屋を汚損することがあります。トイレが流せる状態でも流すことは控え、非常用トイレを使用しましょう。大雨災害の際は、水のうを便器に入れてから非常用トイレを使うと、下水の逆流による噴出を防げます。

家族間で「こんな場合はトイレを流さずに非常用トイレを使う」という知識を共有し、非常用トイレはすぐ取り出せるわかりやすい場所に保管しておきましょう。非常用トイレの使い方も確認しておくと安心です。

災害時や断水・停電時のトイレの使い方についてはこちらの記事でも紹介しています。
「停電や地震が起きたらどうする? トイレの防災を子どもと実践!」

また、災害の際は自宅から離れた下流の下水道管が破損していたり、下水処理施設が機能停止したりしていることもあります。自治体からの情報を随時チェックして、下水道の使用の可否を確認するようにすると良いでしょう。

水回りの使用

トイレ以外にキッチンやお風呂場などの水回りでも、できる限り排水を控えましょう。

生活排水を抑えるには、なるべく水を使わないようにすることです。食器洗いを減らすために食器に食品用ラップやポリ袋を被せて食事する、調理道具はアルコールティッシュで拭く、濡れタオルやウェットティッシュで身体を拭いて清潔を保つ、などの工夫で生活排水を抑えることができます。

漏水がないか確認

特に地震の場合は、上水道の漏水がないかもあわせて確認するようにしましょう。地震の影響で上水道の配管が破損し、そこから水が漏れだしているかもしれません。

宅内の漏水をチェックするためには、まず屋外を含む自宅敷地内のすべての蛇口を閉めてください。その上で水道メーターを見て、メーターが回っているかどうか確認します。

すべての蛇口を閉めていてもメーターが回っている場合は漏水の可能性があります。水道の元栓を締めて宅内の漏水を止め、修理を依頼しましょう。

事前にできる備え

下水道が使用できない場合に備えて、事前にできる備えを紹介します。災害への物資の備えは一般的に7日間を目安に準備することが推奨されています。

まずは、簡易トイレの準備です。1日あたりのトイレの回数を5回程度とすると「1人1日5回×家族の人数×7日分=備蓄量」となります。4人家族で140回分です。

次に、飲料・調理用水と生活用水を確保しましょう。飲料・調理用水は1人あたり1日3Lを目安に準備します。「1人1日3L×家族の人数×7日分=備蓄量」で計算すると良いでしょう。4人家族で84Lです。
生活用水は特に推奨される備蓄量はなく、あればあるほど良いものです。日ごろから空のペットボトルに水道水を詰めておくといった備えがあると安心です。

また、物の準備のほかに防災情報の確認手段を事前に把握しておきましょう。下水道の使用可否も自治体からの防災情報で知ることができます。
災害時は、自治体のウェブサイトやSNSの公式アカウント、ラジオや防災無線、防災メールサービスなどで情報提供が行われます。
非常時に誤った情報に翻弄されることがないよう、信頼できる情報源を事前に把握しておきましょう。

突然水が流せなくなるかも! 事前の準備が肝心です

下水管の破損や地震はいつ起こるかわかりません。突然水が流せなくなる事態に備えて、日ごろから準備をしておきましょう。
災害時の備えについて詳しい大人がいつも家にいるとは限らないため、家族で「こんな場合は水を流してはいけない」など知識を共有しておくことも重要です。

<執筆者プロフィル>
シマサキアヤ
フリーランスライター

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