アートを通して人と人の関係性を問う
路上に一列に並んで、ある詩の一節を伝言ゲームのように耳打ちする。アーティスト自らベトナムの街角でアイスクリームカートの移動販売を行い、現地の人々との交流を映像で記録する。現代アーティストのうらあやかさんは、人間同士の関係性のあり方を遊びながら問うようなパフォーマンス作品を発表してきた作家だ。
「タイトルは“同伴”“分動”“態”の3つの言葉をつなげた造語。一緒にいるけど分かれている、そのあり方という意味があります。“伴”と“分”の間のグラデーションを見せられたらと。私の作品では、2人のパフォーマーが“戦うことをどのように避けているか”“民主的な決定と自分の隙間”“国家転覆のアイデア”などの話題について、言葉や体の動きでやりとりをしていきます。
そのとき、最初に必ず、お互いに“NO”と“YES”を伝える練習を行う。どんな質問にも“NO”を言うと決めて会話し、その次は反対に“YES”を引き出す会話を。パフォーマンスでは体に触れたり、触れられたりすることもあるので、お互いの許容範囲を探る目的で取り入れています。この練習は、展覧会を訪れたお客さんも参加できるように準備をしています」
本展では映像やインスタレーションによる作家たちの表現を「同伴分動態」という切り口から紹介する。
「関係性や関係の仕方について発見できるような展覧会になれば。映像や言葉の記録の仕方にも注目してみてほしいです」
Information
『同伴分動態』
うらあやか、小山友也、二木詩織、宮田明日鹿の4名のアーティストによる展示。すべて新作。東京・丸の内のアートセンター〈BUG〉で4月2日から5月6日まで開催。11時〜19時。火曜休(5月6日は開館)。入場無料。うらあやかのパフォーマンスは金曜・土曜・日曜に各日6回、各20分程度で行われ、水曜にはワークショップが開催予定。詳細は会場のSNSなどで確認を。Instagram:@bugart_tokyo