元乃木坂46の堀未央奈が主演するドラマ「女優めし」。FODとフジテレビTWOにて配信・放送中の本作は、藤川よつ葉原作・うえののの漫画による同名人気コミックスの実写化。食との一期一会をモットーにする才色兼備の女優・和泉撫子(堀)が、大衆的なお店の街グルメを楽しみながら“至福の一食(ひととき)”を過ごすお忍びグルメストーリー。
「とにかく食べることが大好き」で演じる役どころ同様、食にはかなりのこだわりがあるという堀に、本作の見どころはもちろん、自身のグルメエピソードなどを語ってもらった。
奇跡的なめぐりあわせで出演が決定!
――“食”をテーマにした作品に出演するのが夢だったそうですね。
もともとグルメなドラマやアニメが大好きだったので「今年は、そういうお仕事がしたい」とマネージャーさんに伝えていたところ、その数日後くらいにこのドラマのお話をいただいて、運命的だ!と思いました。しかも、姉の旦那さんが原作の漫画を読んでいたそうで、ずっと「撫子は未央奈ちゃんにぴったり」と言ってくれていたらしいんです。それは、このドラマが決まってから「実は……」と教えてもらったんですけど、引き寄せというか、奇跡的なめぐりあわせだなと感じています。
――演じる和泉撫子は、“最後の大和撫子”と称される才色兼備の女優。どんな人物だととらえていらっしゃいますか。
撫子さんは本当に上品で穏やか。仕事に対しては、すごくストイックで表に出ているときはいつも完璧なんですけど、ご飯を前にすると等身大というか、子どもっぽい部分が見える。そのギャップが愛おしい人ですね。
自分も岐阜から上京してきて、ずっと食べ物をモチベーションにしながらお仕事をがんばってきたので、共感できるところも多いです。特に、食への興味はかなり似ていると思います。私も「意外とたくさん食べるんだね」とか「食にこだわりがあるんだね」とか。結構びっくりされることがあって。好きな食べ物を前にすると子どもっぽくなるところも似ていますね。
――大和撫子には、どんなイメージを持っていますか。
それこそ私、ドラマの「やまとなでしこ」(‘00年、フジテレビ系)が大好きで、いまだによく見るんですけど、あのイメージですね。性別問わず、さまざまな方に愛されている人。親しみやすさもあるけど、どこか手に届かない。そのバランスが絶妙、といった印象があります。撫子さんもそういう人物なので、憧れの女性像を演じているようなところがあって楽しかったです。
――演じてみて、印象が変わった部分はありましたか。
撫子さんには、すごく穏やかなイメージがあったんですけど、意外とさっぱりしているところがあるんだなと。一人で走って大衆的なお店に行ったり、仕事に対しての向き合い方だったり。考え込みすぎないし、ちゃんと自立している。かわいいだけじゃなくて、かっこいい人だなと改めて思いました。
――ふわっとした印象の強い撫子は、堀さんがこれまで演じてきた役とはまた違ったタイプになりますね。
そうですね。ここまで柔らかいイメージのキャラクターは初めてかもしれないです。メイクも優しく見えるようにしていますし、声色もちょっと高め。なるべくゆっくり喋るように意識して演じました。私、普段めちゃくちゃ喋るスピードが速いんですよ。あと、声もそんなに高くないので、撮影中は監督に常に「私、声低くないですか」と確認していました。
「サウナからの生姜焼き専門店という流れに衝撃を受けました」
――本作では、撫子が楽しむ街グルメも見どころです。撫子の食べっぷりが幸せそうで、見ているだけでお腹が空いてきますね。
食べるシーンでは、ちゃんとおいしそうに見えるように、ということを心がけていました。撫子さんがいかに幸せそうに食べるか、というのがこのドラマのポイントですから。向き合うべきところは“食”だと常に意識して挑んでいたように思います。
――もつ煮込みや生姜焼きなど、さまざまな街グルメが登場しますが、一番印象的だったグルメは?
どれもおいしかったので絞るのが難しいですけど、2話に登場した生姜焼き専門店は衝撃でしたね。そんな専門店があるのか、とびっくりしました。しかも、サウナのあとに生姜焼きというご飯を食べるまでの一連の流れにもちゃんと意味があって、そこもご飯好きにはたまらない回でした。
――堀さんにも「サウナのあとは必ず生姜焼きを食べる」というようなマイルールがあったりしますか。
結構細かくありますね。場所ごとに、ここに行ったらこれを食べるみたいなものはもちろんですけど、ちょっと体調を崩しそうだなというときには馬刺しを食べに行くとか。馬刺しは栄養価が高いから、元気になりたいときによく食べます。あとは、買い物の合間に行くご飯屋さんは買ったものに匂いがつかないものを選ぶなど、生活と食事をちゃんとバランスよく組み立てているかもしれません。
――撮影中、特に思い出深かったシーンも教えてください。
これもサウナになっちゃうんですけど私、サウナは旅先のホテルで一瞬だけ入った経験しかなかったんですね。今回、がっつりとサウナで撮影して、水風呂にも入ったんですけど、すごく衝撃的でした。サウナに行っている方って、こんなに熱い場所で過ごしたあとすぐに真逆の水風呂に行くのかと(笑)。昔、滝行をしたことがあるんですけど、それとはまた違ったベクトルでのすごさがあるなと思いました。
――今、サウナにハマる人も多いですよね。
ハマる良さがちょっと分かりました。というのも、サウナのあとに食べたご飯がすごくおいしかったんです(笑)。ちゃんと何かをクリアしてからご飯を食べると満足感が高いというか、幸せ度が上がる。食事をとるタイミングって大事なんだな、と改めて感じました。
そういえば私、食事シーンが出てくるアニメやドラマを見ながらご飯を食べるんですけど、それも結構幸せ度が上がると思います。例えば、ラーメンを食べるときは「クレヨンしんちゃん」の「ラーメンを食べるゾ」の回、お寿司のときは「ちびまる子ちゃん」のお寿司回といった感じで。「ちびまる子ちゃん」のお寿司回は、おじいちゃんとお寿司を食べに行ったら頼みすぎて高額になっちゃって……という、ちょっと悲しい話なんですけど(笑)。
――食事とリンクさせるのは面白いですね。
姉もそういう生活をしているので、実家でも「今日は唐揚げだ」という日は、「舞妓さんちのまかないさん」の唐揚げの話が流れていたりするんですよ。家族そろって「おいしい給食」にハマっていたときは、ソフト麺をお取り寄せして給食メニューを再現したこともありました。
食の話題は大事なコミュニケーションツール
――撫子が美食を求めてお忍びで街グルメを楽しんでいく本作。堀さんがお忍びで食べに行きたいものはありますか。
お忍びでなくてもいいんですけど、地元の人しか知らないとか、知る人ぞ知る的な居酒屋さんや町中華。そういうところに行くのが好きなので、地方ロケや旅行に出かけたときにはいろいろ調べて食べに行きたいですね。お仕事で行くと時間がなかったりして適当に済ませてしまいがちですけど、必ずどこかおいしいお店を見つけて食べに行くようにしています。
最近も山口にロケに行ったときに、お寿司も食べられる居酒屋さんのようなお店をグルメ好きの共演者の方に教えていただきました。お客さんが帰るまで営業しているという面白いお店で、すごくおいしかったです。食べ歩きが好きだというと、それをきっかけに情報交換したりできるので、自然と仲良くなれることが多いですね。“食”って、自分にとっても大切なものですけど、人間関係を円滑にしてくれるツールでもあるなと思います。
お仕事が忙しかったり、なんとなく疲れていていたり、そういうときにおいしいものに出会うと、この世に絶対裏切らないものって存在しているんだなとも感じるんですよね。自分がそこに出向けば、必ずおいしくて元気が出るご飯を提供してもらえる。その安心感が救いというか、幸せにつながっている気がします。
――では、最後に改めて本作の見どころを願いします!
主人公が女優、ということでドラマ制作の裏側みたいなものも垣間見られますし、普通のドラマではあまりないような面白い演出にも注目いただきたいです。なにより主人公の撫子がとても強く、ポジティブな女性なので、見ているだけで元気になれるんじゃないかなと思います。
■取材・文=吉田光枝