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【思考をキレイにする旅の仕方(463)】くだらない旅などありません。うまい棒の旅(後編)

  • 2025.4.5

前回の「うまい棒」をテーマにした旅の話の続きです。

当時、うまい棒は、チーズ、明太子、野菜サラダなど15種類の味があり、その地域性を調べたいと出版社に提案しました。

「面白そうですね」

編集者は、そう言いながらも目が笑っていませんでした。

出版社から書き下ろし本を出すための経費は10万円ほどしかないと言われます。

そこで青春18きっぷを5冊(25日分)購入して1ヶ月ほど旅に出ることにしました。

福岡では明太子味ではなくチーズ味が人気で、四国は野菜サラダ味など地域性の面白さがあることを知ります。

大学も興味深く、早稲田大学ではうまい棒研究会のサークルまであり、

東京大学、京都大学には生協の棚に全種類置かれ、

琉球大学では一つ一つの味に解説つきのポップまで飾られていました。

こうして北海道の北端の宗谷岬近くにあるコンビニから、

沖縄は喜屋武岬の駄菓子屋まで旅をしました。

10円ほどの駄菓子のためにタクシーに乗ることもあり、

鉄道のない沖縄では、レンタカーを借りるなど、

赤字の旅でしたが楽しくてたまりませんでした。

その旅の途中で出版社と連絡が途切れ始め、旅から戻ると出版社が倒産したことを知ります。

結局、「うまい棒」の旅の本は出ていません。

未だに。

やはり、くだらない旅だったのでしょうか。

いや、私は、そうは思いません。

「くだらない」と当時、バカにしていた彼らも未だに会うと、「うまい棒」の旅の話になります。

既に20年ほど前の話なのに。

くだらない旅などないのです。<text:イシコ>

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