Q. 花粉症のレーザー治療に、副作用やリスクはありますか?
Q. 「花粉症のレーザー治療を考えているのですが、簡単とは言え手術なので、危険がないか心配です。治療を受けた場合、具体的にどのようなリスクや副作用があるのでしょうか?」
A. 副作用として鼻の加温・加湿機能の低下があります
花粉症のレーザー治療は、つらい鼻づまりの症状改善に有効です。実際のレーザー治療は、局所麻酔下でYAGレーザーやKTPレーザーを用いて行います。少し専門的になりますが、「下鼻甲介粘膜(かびこうかいねんまく)」という、鼻腔の中でも鼻の入り口部分に近い箇所の粘膜を切除する手術です。
実際の効果としては、KTPレーザーの場合、「術後2カ月の時点で、くしゃみが74%、鼻水が82%、鼻づまりが96%改善した」との報告があります。 ただし、術後の傷が治るまでに8~10週間かかることがあります。
一方で、副作用のリスクとして挙げられるのが、息を吸ったときの加温・加湿機能が失われる可能性があることです。レーザー治療は、外来で手軽に受けられますが、やはり外科手術である以上、身体を傷つけることによるリスクである「侵襲性」を伴います。 また、症状の再発や効果の持続性なども個人差があるので、100%の効果を保証できるものではありません。
医師は、鼻の嗅覚や通気性などの機能を損なわないように十分に注意して手術を行いますが、上記のような副作用やリスクはゼロにはできないことを、理解した上で受ける必要があります。
花粉症の症状は毎年悩まされるものなので、期待できる治療の効果や、想定される副作用について、専門医とよく相談し、ご自身にとってのメリット・デメリットをよく考えた上で治療方針を決定することが重要です。
清益 功浩プロフィール
小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
文:清益 功浩(医師)