Text by 石井彰(編集部)
サッカーという華やかな世界においては、巨額の契約やタイトル争いの誘惑に駆り立てられ、移籍を繰り返すのが通常だ。その中でクラブへの愛情や信頼を貫き通す「忠誠心」は極めて稀なものになっている。
今回は『GMS』から「歴史に残る最も忠誠心のあるサッカー選手たち」をご紹介する。
5位:スティーヴン・ジェラード
国籍:イングランド
所属したクラブ:リヴァプール、LAギャラクシー
リヴァプールでそのキャリアの大半を過ごしたスティーヴン・ジェラード。1998年から2015年まで、愛するアンフィールドでプレーを続けた。
2004年には当時アブラモヴィッチ会長が大補強を繰り返していたチェルシーからのオファーがあり、ジェラードもタイトル争いと巨額の報酬を前に気持ちが揺らいていたという。
しかし彼は最終的にそれを断り、リヴァプールで戦い続けた。その結果プレミアリーグのタイトルは手にできなかったが、2005年のチャンピオンズリーグ制覇を成し遂げることができた。
4位:マルコ・ロイス
国籍:ドイツ
所属したクラブ:ロット・ヴァイス・アーレン、ボルシアMG、ボルシア・ドルトムント、LAギャラクシー
生え抜きではないにもかかわらず、ボルシア・ドルトムントと非常に深い関係を持っているマルコ・ロイス。
ボルシアMGから2012年にドルトムントへと加入し、それから同クラブで429試合に出場して170ゴールを記録した。
多くの選手がこのドルトムントを足がかりにしてビッグクラブへと移籍していったが、ロイスはマンチェスター・ユナイテッドの巨額オファーを断って残留。「ここが自分の居場所だから」と語り、2024年まで長くファンと苦楽をともにした。
3位:アレッサンドロ・デル・ピエロ
国籍:イタリア
所属したクラブ:ユヴェントス、シドニーFCなど
トレヴィーゾで生まれてパドヴァでデビューしたアレッサンドロ・デル・ピエロであるが、そのサッカー選手としてのキャリアの大半はユヴェントスに捧げられた。
1993年に加入してから長く主力として戦い、大きな怪我での長期離脱も経験しながら中心選手として復活を遂げている。
さらに2006年にはカルチョ・スキャンダルでユヴェントスが2部に降格処分を受けてしまったが、多くの主力が退団する一方で愛するクラブに残り、1年での1部昇格に大きく貢献した。
2位:フランチェスコ・トッティ
国籍:イタリア
所属したクラブ:ローマ
近年ではほとんど見られなくなった「ワン・クラブ・マン」であるフランチェスコ・トッティ。生まれ育った街のローマにすべてを捧げたファンタジスタであった。
1993年にデビューして以来、そのアイデアあふれるプレーと得点力によって「プリンチペ(王子)」の愛称をつけられ、クラブと街の象徴として崇拝されるようになった。
レアル・マドリーからの誘いを真剣に悩んだことも明らかにされているが、迷った末にそれを拒否。愛するローマのレジェンドとして生涯を終えることを決断した。
1位:アレッサンドロ・ルカレッリ
国籍:イタリア
所属したクラブ:ピアチェンツァ、フィオレンティーナ、ジェノア、パルマなど
あまり有名ではないかもしれないが、アレッサンドロ・ルカレッリはサッカー界で最もクラブに忠誠心を誓った選手だった。
2008年までは旅人のような生活を送っていたが、パルマと契約したことを皮切りに腰を落ち着けた。1年目に1部昇格を成し遂げ、それから長く活躍した。
しかしクラブは財政難のため4部降格処分に。ほぼすべての選手が放出されたが、ルカレッリは1部からのオファーすらも拒否し、大幅に減給されるなかで残留。クラブを3年連続の昇格に導いたあと、約束を果たしたとして現役を引退した。