両手を挙げてコートに入場してきた、札幌在住の在間弘さん。
100歳の国内最高齢のバスケットボールプレーヤーです。
「100歳まで生きてこれて最後引退の試合をこんな晴れがましくやっていただきました。本当に私の人生最高の思い出になると思っています」
在間さんは、札幌市を拠点に週に1度練習を行っているシニアチーム「札幌ロートルズ」の紅白戦に出場。
12歳から続けてきたバスケットボールの最後の試合となりました。
100歳プレーヤーの「日常」
「バスケをやめようと思ったことはないですか?」
2年前、こう質問した記者に、在間さんは即座に答えました。
「ない。バスケットボールは私の生きがい」
その競技歴はなんと88年になります。
朝はラジオ体操から始まり、奥さんの手料理と共に1日置きに晩酌を楽しむ…規則正しい健康的な生活を送っています。
週に一度必ず続けてきたバスケットボールでしたが、2025年1月に迎えた100歳の節目に大きな決断をしました。
自分で辞め時だなと思っていた
「100歳を目標にしてきた」と話す在間さん。その節目を迎えてこう話しました。
「家族も心配して早くやめてほしいと。シュート入らなくなったら意味ないからね。だからもう、自分で辞め時だなという風には思ってました」
長年連れ添ってきた96歳の妻・幸子さんは…。
「私としては一つの大きな心配が減ったと喜んでいます。最後の試合は楽しみと心配がありますね、皆の前でフリースロー入るのかなって」
ここ数年で、だんだんとシュートが届かなくなってきたと話す在間さんでしたが、最後の試合へトレーニングを欠かしません。
毎日3キロのおもりを10回、両腕を使って上げる練習を数セット行い、フリースローで使う腕を鍛えました。
「一生懸命練習してとにかく届くように続けてきました」と話す一方、こんな発言も。
「やっていたけど成果はこの歳なので期待できません。今も緊張していますがとにかく最後悔いのないように頑張りたい」
「とてつもなく強靭」決めたフリースロー
そして、家族や仲間が見つめる中での引退試合。
在間さんは、フリースロー専門での出場です。
第1クォーター終了間際、在間さんの出番がやってきますが…
あと一伸びが足りず得点に繋げることはできません。
そして7本目にして初ゴール!
その後は次々とフリースローを沈め、この日9得点の大活躍を見せました。
フリースローをする在間弘さん(100)(提供:レバンガ北海道)
レバンガ北海道の折茂武彦代表が「長くバスケ界隈を率いてくれたことに感謝します」とその姿を称えます。
「正直生きているだけで素晴らしい、そのうえでバスケをやっていてとてつもなく強靭な方だと思う。北海道バスケットボール協会ができる前から競技をしていた方。北海道のバスケの歴史をすべて知っているのは在間先生だけ。北海道も日本にも与えた影響は大きいと思う」
バスケを愛して88年。
在間さんは、たくさんの歓声に包まれながら88年の競技生活に幕を下ろしました。
「私の引退の試合をこんな晴れ晴れしいコートでフリースローをやらせていただき感激でいっぱいです、最高!プレーはできなくてバスケの試合も観に行けないが、テレビでやるときは見るようにしているのでね。そういうことはこれからも続けていきたい」
そして最後にもうひとつ…
この先の楽しみも聞きました。
「自分一人で家を出ることは家族が心配するので、『老いては子に従え』でうちでテレビを見る生活をしたいですね」
文:HBCスポーツ部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は取材時(2025年3月14日)の情報に基づきます。