『花束みたいな恋をした』の脚本・坂元裕二と監督・土井裕泰が再びタッグを組んだオリジナル映画『片思い世界』が4月4日(金)より全国公開! 広瀬すず、杉咲花、清原果耶という歴代の朝ドラヒロインが集結し、大河ドラマで主演中の横浜流星が共演と、旬のスタッフ、キャストがそろいました。
都会の片隅に暮らす、3人の女性の絆とそれぞれの“片思い”を描いた物語。恋愛だけにとどまらない作品で幅広い世代におすすめです。内容に深く触れてしまうと面白さが激減してしまうので、この記事では「映画ごはん研究家」の富田夏子がネタバレなしで見どころをピックアップするとともに、食事シーンにも注目したコラムとして紹介します。
ここが見どころ
【1】公開後すぐに見て欲しい! ネタバレ禁止のあっと驚くストーリー展開
■ストーリー
同じ合唱団のメンバーだった美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)の3人は、東京の片隅にある古い一軒家で一緒に暮らしている。仕事、学校、バイト、それぞれ毎日出かけて行き、晩ごはんを一緒に食べ、同じ寝室で寝る穏やかな暮らし。美咲には通勤バスで見かけるだけの気になる人がいて、さくらと優花は告白をすすめるが……。3人それぞれの<片思い>が動き出す。
この『片思い世界』は、人気脚本家・坂元裕二さんによるオリジナル作品。その坂元さんが「自分の38年の脚本家人生は、これを書くためにあったんだな」とコメントし、「ああ、これで最後でいいかも」とまで思ったという自信作になっています。詳しくは言えないのですが、観ているうちにあっと驚く展開になってきて、ラブストーリーであり、ヒューマンドラマでもあり、ミステリーやファンタジーの要素もあるような……ジャンルで分けることのできない魅力ある作品であることは間違いありません。
【2】 広瀬すず×杉咲花×清原果耶が奇跡のトリプル主演!共演に大河ドラマ出演中の横浜流星と小野花梨
映画の成り立ちからして、脚本の坂元さんが「広瀬すずさん、杉咲花さん、清原果耶さんの3人で、お話を作れないかな」と思ったところからのスタートだったのだとか。それぞれNHK連続テレビ小説の主演を務めたことがある実力派の3人が、強い絆で結ばれた美咲、優花、さくらを素敵な空気感で演じていて、どんどん物語に引き込まれます。
共演には、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に出演中の横浜流星さん、小野花梨さんも顔をそろえ、田口トモロヲさん、西田尚美さんが優しくも強いまなざしで脇を固めています。横浜流星さんはピアノを弾く場面があるのですが、なんと吹き替えなしでご本人が演奏! 色々な意味で注目シーンになっていますのでお見逃しなく。
【3】あえて“劇伴”を使わない演出で合唱シーンは涙腺崩壊
『片思い世界』は、役者さんのお芝居を際立たせるため、あえて“劇伴”(映像作品に流す音楽)を使わないというこだわりを持って制作されました。街の雑踏や、路上ミュージシャンの音楽、ラジオの音など、日常に流れる音が自然に入っているので違和感はまったくありません。
劇中歌として『声は風』という合唱曲が実際に歌われるのですが、これも作品のためにつくられたオリジナル楽曲。今後卒業ソングの定番になりそうな、前向きな旅立ちを歌った曲で、この歌を聴く頃には涙腺はもうユルユルで、流れる涙を止めることはできない状態に。試写室内もすすり泣きが響いていました。
食事シーンから見える3人の丁寧な暮らし
3人はそれぞれ仕事や学校、アルバイトから疲れて帰ってきてもできるだけ一緒に食卓を囲み、その日あったことを話します。長女的役割の美咲が朝からお弁当をつくってくれる日もあれば、お茶漬けと副菜で簡単だけど体が温まる晩ごはんを食べる日もあり、餃子を一緒に包むことも。週末にはポップコーンとオレンジジュースを用意して、一緒にホラー映画を観るような日々。
食事中の会話からも3人それぞれ、互いを思いやって信頼しているのが伝わってきて、そんな丁寧で穏やかな暮らしの様子は見ていて気持ちがいいです。
が、穏やかなままでは驚き、泣けるほどの展開はありませんよね。レビューを書いておいて申し訳ないのですが、ネタバレを目にしてしまわないうちに、公開後できるだけ早く劇場で観てほしい作品です!
作品情報
『片思い世界』
4月4日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:土井裕泰
脚本:坂元裕二
出演: 広瀬すず 杉咲花 清原果耶/横浜流星/小野花梨 伊島空 moonriders 田口トモロヲ 西田尚美
配給:東京テアトル、リトルモア
(C)2025『片思い世界』製作委員会
上映時間:126分
この記事を書いた人 富田夏子
エンタメ&フード分野が得意なライター歴20年の経験を活かし、「映画ごはん研究家」として “映画とごはんをつなぐメディア”をSNS上で運営。映画と食に関連する情報や体験をシェアしている。 雑誌やWEBへの映画レビュー連載歴は13年で、俳優や映画監督のインタビューを多数手がける。料理取材の試食は残さず食べる食いしん坊。