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J1湘南ベルマーレMF茨田陽生がレアンドロ・ドミンゲスさんを悼む、柏でのJ1優勝の経験をいまこそつなぐとき

  • 2025.4.3
J1湘南ベルマーレMF茨田陽生がレアンドロ・ドミンゲスさんを悼む、柏でのJ1優勝の経験をいまこそつなぐとき

Text by ライター

[J1第8節、湘南ベルマーレ 0-2 川崎フロンターレ、4月2日、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu]

湘南は川崎に0-2で敗れ、リーグ戦3連敗となった。

0-0で前半を折り返したが、後半5分と同47分に失点。決定機を作らせてもらえず、シュートは2本に留まった。

この試合をベンチから見届けたMF茨田陽生(ばらだ あきみ)はチームの改善点を口にしつつ、今月1日に天国へと旅立ったレアンドロ・ドミンゲスさん(享年41歳)への想いを語った。

J1柏レイソルをJ1初優勝に導いた優しいおじさん

日本中のサッカーファンが悲しみに包まれた。

茨田は「突然のニュースだったので驚いていますし、闘病していることも知りませんでした…。本当に衝撃を受けた選手の一人なので悲しいです」とブラジル人アタッカーの訃報に肩を落とした。

柏レイソルでは2010年にJ2優勝とJ1昇格に貢献したドミンゲスさん。翌年にはリーグ戦30試合15得点7アシストを記録し、史上初となるJ1昇格年でのJ1制覇に導いたほか、自身はリーグMVPに輝いた。

J1湘南ベルマーレMF茨田陽生がレアンドロ・ドミンゲスさんを悼む、柏でのJ1優勝の経験をいまこそつなぐとき

茨田は柏の下部組織で育ち、2010年から2014年までドミンゲスさんとともにプレーしていた。J1優勝を決めた2011年の第34節浦和レッズ戦(3○1)では、背番号10を背負っていたドミンゲスさんが放ったコーナーキックのこぼれ球にいち早く反応。ボックス前から右足を振り抜き、試合を決定づける3得点目を奪った。

湘南の背番号14は当時を懐かしそうに振り返った。

「(ドミンゲスさんが柏に)入ったときはフランサ(フランソアウド・セナ・デ・ソウザ)がいて、まだ素が出ていない感じでした。でもフランサがいなくなってから、レイソルは完全にレアンドロ・ドミンゲスのチームになったと覚えています。

でもピッチ外になると、本当に優しそうなおじさんみたいな感じ(笑)。試合であれだけの活躍をした選手が眼鏡をかけて、サポーターの脇を歩いて帰っていくんです。うまいのに親しみやすい選手でしたね」と笑みがこぼれた。

柏で「ニーヤン」というあだ名で親しまれていたドミンゲスさんは2022年に現役を引退。偉大なプレイヤーの背中を見て育った茨田は2020年から湘南へ加入し、ライトグリーンのイレブンを支えている。

J1湘南ベルマーレMF茨田陽生がレアンドロ・ドミンゲスさんを悼む、柏でのJ1優勝の経験をいまこそつなぐとき

今季はここまでリーグ戦4試合に途中出場。湘南は開幕3連勝と好スタートを切ったが、その後は失速して直近4試合は未勝利となっていた。

茨田はドミンゲスさんのような選手が、いまの湘南には必要だと説く。

いまの湘南にドミンゲスさんのような選手が必要

この日、控えメンバー入りした茨田は歯がゆい思いでピッチを見つめていた。

アウェイに乗り込んだ湘南は前半の立ち上がりから相手に支配される展開が続いた。守備時は5バックで守りを固めたが、ボールを奪ってもいい形で攻撃につなげられず、前後半を通じて放ったシュートは2本。後半5分と同47分に失点を許し、リーグ戦3連敗を喫した。

J1湘南ベルマーレMF茨田陽生がレアンドロ・ドミンゲスさんを悼む、柏でのJ1優勝の経験をいまこそつなぐとき

報道陣から『何が足りないのか』と質問が飛ぶと、茨田は「レアンドロだったら…」と言葉を続けた。

「レアンドロは要求がすごく高かった。僕自身がボールを持って前を向いたときに、明らかにパスコースがなくても『お前パス出せよ』と要求していました。そこを(自分たちは)見習わないといけない。(ドミンゲスさんは)自分に自信がありましたし、パスがくれば絶対に力を発揮できるという強い意志を感じた。

きょうの試合もそうですけど、もっと自信を持ってプレーしていいと思うシーンがありました。(湘南は)もっとできるチーム、選手たちだと思うので、自分たちのできるプレーをやり続けることが大事だと思います」と力を込めた。

茨田がいうように、この日の湘南はカウンターの場面でスピードを緩め、バックパスをしてしまう場面が散見された。湘南の山口智監督も「なんだか逃げているような感じがあった」と指摘するなど、連敗によってイレブンは消極的なプレーが目立った。

チーム状況は右肩下がりだが、茨田は好転できると信じている。

卓越したキック精度と的確なポジショニングで、これまでに何度も湘南のピンチを救ってきた背番号14はドミンゲスさんのように、自信を持ったプレイヤーがチームに好影響を与えると知っている。

「自分たちのやれることをやるしかない。レアンドロはいいプレーをしていたし、周りにもすごく要求していましたが、レアンドロ自身のプレーでチームが引っ張られて、相乗効果のように全員がいいプレーをできていた。それが(柏でJ1を)優勝という形になったと思います」と一人、一人が中心選手としての自覚を持つべきだと呼びかけた。

J1湘南ベルマーレMF茨田陽生がレアンドロ・ドミンゲスさんを悼む、柏でのJ1優勝の経験をいまこそつなぐとき

湘南は次節、今月6日の午後3時からホームのレモンガススタジアム平塚で名古屋グランパスと対戦する。

「(ドミンゲスさんと)一緒にプレーしたことが思い出ですし、財産です。これからも忘れることはありません」と、言葉に力を込めた33歳のベテランは見本とした男の振る舞いを結果につなげる覚悟だ。

「チームとしてもっと上に行きたい」と覚悟を口にした茨田が湘南の“兄やん”として、公式戦7試合ぶりの勝利をつかみ取ってみせる。

(取材・文 浅野凜太郎)

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