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「世界がほんの少し愛おしくなる」「いい意味で裏切られる」…『片思い世界』の感想をネタバレなしで映画ファンに教えてもらった!

  • 2025.4.2

『花束みたいな恋をした』(21)の脚本家の坂元裕二と土井裕泰監督が再タッグを組んだ『片思い世界』(4月4日公開)。「カルテット」や「anone」、「大豆田とわ子と三人の元夫」など数々の大ヒットドラマを手掛け、『怪物』(23)では第76回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した坂元が新たに書き下ろしたヒューマンドラマで、古い一軒家で暮らす3人の女性の、12年間も誰にも言えなかった切実な“片思い”が描かれる。トリプル主演の広瀬すず、杉咲花、清原果耶に加えて、横浜流星、小野花梨、伊島空、田口トモロヲ、西田尚美らが出演する。

【写真を見る】鑑賞後にその意味がわかり、様々な感情が呼び起こされる『片思い世界』の“片思い”とは?

ロングランヒットを記録した『はな恋』以来の坂元&土井監督のタッグ、人気と実力を兼ね備えた俳優陣の共演という意味でも大きな注目を集めている本作。公開に先駆けて実施された試写会には、「想像していた“片思い世界”とはまったく違い、いい意味でイメージを裏切られた」、「主演の広瀬すずさん、杉咲花さん、清原果耶さんの繊細な演技に涙が止まりませんでした」、「優しくて温かい世界を舞台に、主人公3人を演じるキャストがよすぎた」など、ストーリーや演技を絶賛する感想コメントが寄せられている。

さらに、「自分ごとのように受け止められる切実さがありました」、「心に残るようなセリフがちりばめられていてすてきでした」といった演出、セリフが印象に残っているという声も。試写会の参加者は感想を語りたい!という気持ちを抑えて、これから本作を楽しむファンのために、ネタバレなしで思いの丈をアンケートにたくさん書き込んでくれた。本稿ではこれらのコメントをピックアップしながら、本作の魅力、どんなところが心に響いたのかをひも解いていく。

【写真を見る】鑑賞後にその意味がわかり、様々な感情が呼び起こされる『片思い世界』の“片思い”とは? [c]2024『片思い世界』製作委員会

12年間共同生活をしてきた美咲、優花、さくらの“片思い”が描かれる

東京の片隅で、家族でも同級生でもないけれど一緒に暮らす、美咲(広瀬)、優花(杉咲)、さくら(清原)の3人。それぞれが仕事や大学での講義、バイトに勤しみながら、気ままな日々を過ごしている。そんなある日、一番年上の美咲に気になる人がいることが発覚。また、優花、さくらにも心に秘めたある“片思い”があった。強い絆で結ばれた3人の日常が少しずつ変化していく。

12年間も一緒で助け合いながら生きてきた美咲、優花、さくらの3人 [c]2024『片思い世界』製作委員会

美咲、優花、さくらの何気ない日常が描かれていくなか、ストーリーは意外な方向へと突き進んでいく。そのことについて、「驚いた」と振り返る声が特に多く上がっていた。

「想像していたものとは違う作品であると同時に、とても考えさせられるものがあった」(20代・男性)

「強く思うほど片思いは大きくなってせつなくなるけれど、思いは重なっている可能性があるし、混ざり合う可能性も秘めている」(30代・女性)

「世界がほんの少し愛おしくなる、そんな映画が生まれたことがうれしい」(40代・女性)

「題名や予告から勝手に恋愛中心の話だと思っていましたが、愛の話でした」(20代・女性)

古い一軒家で本当の姉妹のように暮らしてきた [c]2024『片思い世界』製作委員会

しっかり者の美咲と勉強熱心な優花、まっすぐなさくらたち主人公3人に絶賛の声が

広瀬演じる美咲は3人のなかで一番のお姉さん。朝食やお弁当を作ってあげたり、職場でもほかの人がやりたがらない雑用を率先して引き受けようとするなどしっかり者な面が目立つ。一方で、想いを寄せる人がいながら、その気持ちとは距離を置いている。

「美咲は多くの人が想像する“片思い”を体現しているキャラクターだと思いました。孤独を知っているからこそ強くあろうとする姿は、広瀬すずさんにピッタリ」(20代・女性)

「美咲の愛情深さに何度も救われたし、反面、せつなさも倍増した」(40代・女性)

「お姉ちゃんである美咲は優花とさくらを何気ない幸せな日常に導いていった柱ですね」(20代・女性)

「美咲の思いが典真の後悔と共鳴し合うシーンで、“片思い”という言葉の持つ意味について考えさせられました」(10代・女性)

「広瀬すずさんは妹のイメージが強いので、とても新鮮で印象的だった」(20代・男性)

広瀬すず演じる美咲 [c]2024『片思い世界』製作委員会

杉咲演じる優花は3人のなかの真ん中。“姉”の美咲をフォローしたり、“妹”さくらと一緒になってはしゃいだり、少し不思議な共同生活のバランスをうまく取り持っている。普段は大学で物理学の講義を熱心に聞いているが、離れて暮らす母親のことが気がかりにもなっている。

「思いが届かないつらさや寂しさ、もどかしさが、言葉にせずとも目で表現されていてすばらしかったです」(30代・女性)

「もどかしくてこぼれ出たあの涙…。杉咲さんにしか表現できないだろうなと思います」(20代・女性)

「花ちゃんが演じる、そこに生きる優花は心が強く、どうしようもできない現実を希望の光へ導いてくれた存在でした」(30代・女性)

「杉咲花さんが様々な感情をグラデーション豊かに表現し続けているおかげで優花の多面性や人間性を深く感じられました」(20代・女性)

「杉咲花の“泣く”は演技の領域を超えて、ただただリアルで感情を持って行かれます」(30代・女性)

杉咲花演じる優花 [c]2024『片思い世界』製作委員会

そして、清原演じるさくら。末っ子ということで、毎年のように自身のサプライズのバースデーパーティを計画しては失敗する、若干過干渉気味な美咲と優花を煩わしく感じつつも、2人を心から慕っている。水族館でアルバイトをしており、魚やペンギンに元気よく声をかける天真爛漫さ、曲がったことを見過ごせないまっすぐさが印象的な人物だ。

「一番落ち着いていて現実主義なように見えるけど、目的のために突っ走っていく信念があり、すごく人間味があると思った」(10代・女性)

「強がりだけど人一倍愛情深い。さくらちゃんの思いもわかるので苦しかった」(40代・女性)

「2人のことを信頼し、家族として大切に思っていることが端々で伝わり、ぶっきらぼうながらにサポートしている姿が微笑ましかったです」(30代・男性)

「冒頭の手紙を、鑑賞後に思い返すとまた泣けました」(30代・女性)

「末っ子のさくらが感情を露わにしてくれるからこそ、美咲も優花も穏やかに生きていられるのだろうと思える説得力」(20代・女性)

清原果耶演じるさくら [c]2024『片思い世界』製作委員会

主人公3人の脇を固める登場人物について言及する声も。横浜演じる典真は、毎朝、美咲とさくらと同じ交通バスに乗っている青年で、美咲の想い人。人付き合いに積極的でなく、幼いころから続けていたピアノをある理由から辞めてしまうなど、どこか重い影を背負っている。

「ほとんど言葉を発していないのに考えていることが演技からあふれていた」(10代・男性)

「典真の心情を表すセリフがほとんどないのに、なぜいまこの表情をしているのかがスッと入ってくる演技でした」(10代・男性)

「セリフが多いキャラクターでないにもかかわらず、典真の葛藤がリアルに伝わってくるので横浜流星さんはすごい」(20代・男性)

「纏う雰囲気で、そして数少ない言葉から内に秘めた苦しさを想像させられました」(30代・男性)

横浜流星演じる重い影を漂わせる典真 [c]2024『片思い世界』製作委員会

このほか、典真とデートをする奈那子役の小野、謎の青年役の伊島、典真の過去を知る加山役の田口、花屋に務める彩芽役の西田らも強い印象を残していく。また、デビューからまもなく50周年のロックバンド、moonridersもストリートミュージシャン役で出演しており、文字どおり物語に彩りを与えている。

何気ない日常や会話を映しながら、そんな日々が愛おしいのだと気づかせてくれる

『花束みたいな恋をした』では、とある男女の出会いと恋人になってからのキラキラした日々、すれ違い、別れまでが、何気ない会話のやり取り、誰もが共感できるエピソードと共に描かれた。

本作にも共通するところが見られ、3人が同じ部屋で寝起きし、歯を磨いて、朝食を取り、慌ただしく出かけていくといった日常風景が流れるように映し出されていく。さらに、誕生日を迎えたばかりのさくらの背が1年でどのくらい伸びたかを柱でチェックするシーンでは、柱に刻まれたいくつもの印も発見でき、お互いの成長やこの共同生活をどれだけ大事にしてきたかが短い時間ながらも鮮明に伝わってくる。このように共感できる演出やセリフ、やり取りなどから両作を比べるコメントも確認できる。

「感情と言動が一致したり不一致だったり、人間らしさが表現されていた」(10代・男性)

「坂元裕二さんの脚本は日常の愛おしさを教えてくれるという印象が私のなかであります。たとえ届かない片思いであったとしても、その抱いた感情こそが大切なものなんだ、と」(20代・女性)

「『はな恋』も大切な人との愛しい時間や思い出、別れを映しているし、坂元脚本と土井監督のタッグは温かさや懐かしさを描くのが本当にうまいと思った。今作も見ようによっては悲しさ一色に染まってしまいそうなテーマや設定を題材にしながら、むしろクスッと笑えるほどの温かさを感じました」(30代・女性)

「リアリティとファンタジーの狭間を上手く描き切る作風がとてもすてきだと思います」(20代・男性)

「じっくりと長回しで役者の演技を捉えたり、“余計なことはせずに、役者と脚本を丁寧に映像に落とし込んでいく”職人芸がこのタッグの魅力だと思います」(20代・男性)

「土井裕泰監督が作る、生活感はあるが所帯じみていない暮らしの描写が、3人のファンタジックな設定とマッチしていた」(40代・女性)

何気ない会話のやり取りやありふれた日常シーンを映しながら物語が進んでいく [c]2024『片思い世界』製作委員会

坂元裕二が歌詞を書き下ろし!劇中曲「声は風」が心に沁みわたる

本作は美咲、優花、さくらが幼いころに同じ合唱団に所属していたことから、音楽の使い方にも様々な工夫が見て取れる。特に子どもたちの合唱シーンが参加者の心にも強く残っているようなのだが、劇中に登場する合唱曲「声は風」はなんと脚本の坂元自らが歌詞を書き下ろしたという。「卒業ソングにしたかった」と語られているように、そっと背中を押してくれる心温まる楽曲になっている。

「みんなの片思いを知ったうえで聴き直したら歌詞がスッと入ってきて、『はなればなれでも 目に見えなくても 君に呼びかける』の部分がとても泣けました」(30代・男性)

「横浜流星さんのピアノも合唱の歌声も美しくて優しくて、こんなにも思いが伝わってくる曲があるんだなと驚きました」(30代・女性)

「『花が忘れても 種は覚えてる 生きる喜びを』の部分で涙があふれてしまいます…。鑑賞後は、その意味合いがまたさらに深くなり、もっと大好きな曲になりました」(40代・女性)

「子どもたちの天使のような歌声と、主人公の澄んだ歌声が心に沁みわたりました」(40代・女性)

「歌詞を覚えてしまったほど、ずっと歌を口ずさんでいます」(20代・女性)

ラブストーリーの枠だけに収めない“片思い”が意味する広がりと感動

タイトルの“片思い”はなにを指すのか?と、気になっている人は少なくないはず。詳しく説明することはできないが、そこには想像のさらに一歩先を行く深さがあり、鑑賞者からも様々な意見が寄せられている。

「一方通行で届かない声や思い、でも、相手も同じようにこちらに声を届けようと必死に語りかけて来てくれているのだよ、と解釈しました」(30代・女性)

「人を生かしてつなぐのは一人一人の“片思い”。どんな片思いも肯定してくれるような作品でした」(20代・女性)

「気持ちが届かないことのせつなさ、それでも誰かを思い続けることの尊さを描いた作品だった」(20代・女性)

「伝えたいけど伝わらない。伝えられないもどかしさや儚さ、つらさ、でもどこかで伝えられると信じてしまうことなど、3人のいろいろな感情が“片思い”という言葉に込められている」(20代・女性)

「思いは、通じなかったり離れていったりしていっそう強まるもの。“片思い”こそ、なによりも強い感情なのだと思いました」(20代・女性)

つらい時も支え合ってきた、美咲、優花、さくら [c]2024『片思い世界』製作委員会

今回の感想コメントのなかには、「恋愛だけが“片思い”ではない」という意見が多く見られた。様々な片思いを描くことで物語は広がりを見せ、観客の心にひと括りにできない感情を呼び起こしていく。

「好きな人、恋する人だけではなく、自分の身近にいる大切な人への片思いについても大切に語られています」(20代・女性)

「『片思い世界』ってそういうことか!と気付くタイミングがあるのですが、そのトリックが後半の物語をジワジワとせつなくさせるし、気付かせるタイミングも絶妙でした」(30代・女性)

「大切な人に、自分の思いを届けたくなる作品。当たり前の毎日を大切にしたくなる」(30代・女性)

「残酷だけど美しい、特異的だけど普遍的…。暗くて重いけど、明るくて多幸感にあふれる作品で、役者陣、特に主演3人の演技がすばらしいです」(30代・男性)

「風が吹いた時に、『あ、そういえば会いたいな』って思う人がいるなら、絶対に観たほうがいい」(20代・女性)

ホラー映画に怯える美咲と優花、一方のさくらは食い入るように画面を見つめている [c]2024『片思い世界』製作委員会

美咲、優花、さくらが抱える片思いはどこへ向かうのか?土井裕泰監督、坂元裕二が紡ぐ物語、それを体現して見せたキャスト陣にも大きな称賛を送りたくなる『片思い世界』の魅力に劇場で触れてほしい。

構成・文/平尾嘉浩

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