健康や美容に良い食品として知られる「オリーブ」。オリーブオイルはもちろん、塩漬けやピクルスとして食べるのも人気です。
ですが、「オリーブは体に良いから」といって食べ過ぎると、思わぬデメリットがあります。
オリーブを過剰に摂取した場合に起こりうる健康リスクとは。医療法人社団 筑三会 筑波胃腸病院 理事長の鈴木隆二医師監修のもと、同病院所属の管理栄養士・西島 理衣さんが担当します。
オリーブを食べ過ぎると起こるデメリット
「体に良いものなら、たくさん食べてもいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、オリーブも食べ過ぎるとデメリットがあります。
脂質が多い
まず、脂質が多いので、カロリーオーバーになりがち。とくにオリーブオイルがしっかり使われているものだと、1日の必要カロリーを超えてしまうこともあります。
塩分が多い
とくに塩漬けオリーブの場合、塩分の摂りすぎが気になります。むくみや高血圧のリスクがあるので、塩分を控えたい人は注意が必要です。
あとは、オリーブには食物繊維が含まれているので、食べ過ぎるとお腹がゆるくなることもあります。
適量はどれくらい? 1日の摂取目安
では、どれくらい食べるのがちょうどいいのか。一般的には、塩漬けオリーブなら5~10粒程度が目安と言われています。
これくらいなら、オリーブの健康効果をしっかり得られつつ、デメリットも避けられる量ですね。
「塩漬けオリーブ」と「オイル漬けオリーブ」、どっちがいい?
市販のオリーブには塩漬けされたものとオイル漬けされたものがあります。
ダイエットや塩分制限には「塩漬け」、コクや健康効果重視なら「オイル漬け」が適しています。
目的・状況 塩漬け オイル漬け ダイエット ◎ 低カロリー △ 高カロリー 塩分制限 △ 塩分が多い ◎ 塩分が控えめ 味 △ シンプル ◎ コクが強い コレステロール改善 ◯ ポリフェノール効果 ◎ オレイン酸効果 保存性 ◎ 塩分で保存性が高い △ 酸化しやすい
次:オリーブの栄養を期待しつつ健康的に食べるコツ
オリーブの栄養を期待しつつ健康的に食べるコツ
オリーブの良さを活かしつつ食べるには、ちょっとした工夫を加えると安心です。
たとえば、塩漬けオリーブなら水で軽くすすぐと塩分を減らせます。オイル漬けは、キッチンペーパーで軽く拭くなども一つの手です。
要は、適量を守りつつ、うまく取り入れることが大事ですね。
オリーブには栄養がたくさん! 食べるメリット
オリーブは脂質が高いですが「いいアブラ」で「体に良さそう」というイメージがありますよね。実際、そのイメージは間違っていません。
オリーブには、オレイン酸という不飽和脂肪酸がたっぷり含まれていて、これが悪玉コレステロールを減らす働きをしてくれるのです。
さらに、ポリフェノールやビタミンEも豊富で、抗酸化作用が期待できます。簡単に言うと、老化を防いだり、血管を健康に保ったりする効果があるのですね。
黒オリーブと緑オリーブ、何が違う?
●緑オリーブ → 未熟なうちに収穫されたもの。食感がしっかりしている。ポリフェノールやビタミンEが多く、抗酸化作用が強い
●黒オリーブ → 完熟してから収穫されたもの。やや柔らかめ。脂質やオレイン酸が多く、鉄分も豊富
緑オリーブ 黒オリーブ 脂質 やや少なめ 多め(完熟で油分が増える) オレイン酸 含まれるがやや少なめ 多く含まれる(心血管系に良い) ポリフェノール 多め(抗酸化作用が強い) やや少なめ(熟すにつれて減る) 鉄分 少なめ 多め(貧血予防に◎) ビタミンE 多め(抗酸化作用が強い) やや少なめ 食物繊維 豊富 豊富
オリーブオイルと塩漬けオリーブ、どっちが健康にいい?
ここでさらなる疑問が。オリーブオイルと塩漬けオリーブ、どっちがいいのか迷います。
結論から言うと、どちらを選ぶかは、あなたの食生活次第です。『コクのある味と健康効果を狙いたいならオイル漬け』『カロリーを抑えつつ、手軽に食べたいなら塩漬け』と、目的に合わせて選ぶのが正解です。
オリーブオイルは脂質が多い分、エネルギー源として優秀ですが、摂りすぎるとカロリーオーバーになります。
オリーブオイルは太る?痩せる?効果と使い方をダイエット目線でまとめてみた
一方、塩漬けオリーブは食物繊維やポリフェノールをそのまま摂れるのがメリット。しかし、塩分が多めなので食べすぎるとむくみの原因になることも。
つまり、オリーブオイルも塩漬けオリーブも、適量を守り、かつバランスよい食事を摂るのがベストですね。
監修者プロフィール
西島 理衣(管理栄養士)
千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック健診プラザ所属の管理栄養士。子どもから大人までの食育と栄養指導に携わり、「薬だけに頼らない健康づくり」をサポート。日常生活で実践しやすい食事アドバイスを得意としています。食事から始める健康づくりを、千葉柏駅前健診プラザでお手伝いします。
<Edit:編集部>