Netflix映画『ロマンスは嘘から始まって』独占配信中
4月1日はエイプリルフール。嘘をついてもよい、とされている日です。そこで今週は、“嘘つき”が登場する洋画をピックアップ。大人になると、「嘘も方便」で時と場合によっては物事を円滑に進めるために嘘をつくこともありますが、今回とりあげる“嘘つき”たちはそんなタイプではなく、己の目的や欲望のために堂々と嘘を言う人たちで、その結果、とんでもない事態に! 愛すべき嘘つきたちの悲喜こもごもを楽しめます。
ナポリの崖っぷち兄弟が金策のために富豪の娘に接近するも!? 『ロマンスは嘘から始まって』
Netflix映画『ロマンスは嘘から始まって』独占配信中
ナポリに暮らす金欠の兄ヴィト(アントニオ・フォレット)と弟アントネッロ(ヴィンチェンツォ・ネモラート)は、自宅差し押さえの危機に直面。自宅を失うと、ヴィトは幼い息子の親権をとれなくなる可能性もあることから、彼らは資産家の令嬢マリナ(ラウラ・アドリアーニ)から大金をだまし取る詐欺計画を企てます。
Netflix映画『ロマンスは嘘から始まって』独占配信中
弟の手引きにより、兄のヴィトは身なりを整えてイケオジ化! 慈善活動家の“カルロ”と名乗ってマリナに急接近し、大金を引き出そうとするも、なかなか思うように進みません。マリナは、なぜか偶然に出会うことが増えたカルロを疑って拒絶していたものの、次第に打ち解けていきます。一方、カルロになりすましているヴィトは、徐々に心苦しくなっていき……。
Netflix映画『ロマンスは嘘から始まって』独占配信中
今年の1月に配信開始となった比較的新しいイタリア映画で、崖っぷち兄弟の色恋詐欺計画を描いたラブコメディ。
まず、この赤ちゃんがものすごく可愛い! 名前はなんと、ナポレオン。兄は赤ちゃんを抱えて求職活動をしたり、兄がレストランで働いている間は弟が赤ちゃんをあやしたりと、終始、子煩悩ぶりが伝わってきます。令嬢とお近づきになった後、ナポリの街をスクーターに乗って駆け回るシーンは、まるで『ローマの休日』の二人のよう。兄弟の計画に、友人や近所の人も乗っていき、壮大な嘘劇場になっていくのも面白いところ。イタリア映画らしい、大らかで楽しく心あたたまるコメディです。
『ロマンスは嘘から始まって』
“結婚指輪の威力”で遊び回る独身男が嘘だらけのハワイ旅行へ 『ウソツキは結婚のはじまり』
『ウソツキは結婚のはじまり』© 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
かつて結婚式直前に花嫁になる人から深く傷つけられてしまった美容整形外科医のダニー(アダム・サンドラー)は、とあることから、結婚指輪をしていると女性を口説きやすいことがわかり、以来、不幸な結婚生活を送っている既婚男を装って遊びまくるようになります。
そんなある日、スタイル抜群の美女パーマーと出会ったダニーは、彼女となら結婚してもいいと思ったものの、つい既婚者だといつものウソをついてしまいます。困ったダニーは、職場のアシスタントでバツイチ子持ちのキャサリン(ジェニファー・アニストン)に、離婚間近の妻のふりをしてほしいと頼みます。しかし事態は思わぬ方向へ展開し、ダニー、パーマー、キャサリン、彼女の子どもたち、ダニーのいとこの一行でハワイへ向かうことに!
既婚者と嘘をついたばかりに、パーマーに対してさまざまな嘘を重ねることになったダニー。最初は地味だったキャサリンが、“美容外科医のセクシー妻”になりきって垢抜けていくシーンも楽しめます。ジェニファーの穏やかでキュートな笑顔もまた魅力的。
また、ハワイで遭遇したキャサリンの昔の親友で高慢な美女デヴリン役を演じたニコール・キッドマンもなかなかの弾けぶりで、デヴリンとキャサリンの下品なフラダンス対決は必見です。
下ネタ全開のおバカコメディといった作品ですが、アダム・サンドラーとジェニファー・アニストンの相性は抜群で、彼らは後に『マーダー・ミステリー』と『マーダー・ミステリー2』では夫婦役で再共演しています。
『ウソツキは結婚のはじまり』
とんでもない嘘から真の恋! 中年チャラ男の情けなさに感動!? 『パリ、嘘つきな恋』
『パリ、嘘つきな恋』©2018 Gaumont / La Boetie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public
フランスの人気コメディアンであるフランク・デュボスクが監督・脚本・主演を務めたロマンティック・コメディ。大手シューズの代理店で働くビジネスマンのジョスランは、中年になっても女にモテることだけを生きがいにしていて、嘘をつくのは日常茶飯事という軽薄な男。そんな彼が、若くて美しい女性ジュリーに一目惚れ。亡き母の車椅子に座っていたところを目撃されたことから、気を引くために、車椅子生活を送っていると言ってしまいます。
ところが、ジョスランを信じたジュリーは、車椅子生活を送る姉のフロランスを紹介。ジョスランは嘘をつき通すしかなくなり……。
車椅子生活を送りながらもヴァイオリニストとして活動するなど快活でユーモアあふれるフロランスと出会い、ジョスランは少しずつ自分を見つめ直します。ただ、なかなか真実を言い出せません。社会的には成功者といえる部類のジョスランですが、どこまでも情けないのがこの映画の良さといえます。そんなに人は急に変われないですし、気づいていても行動には移せない弱さがあるものです。
フランス映画らしい挑戦的な設定とパリやプラハのロマンティックな景色が織りなす類を見ない作品です。
『パリ、嘘つきな恋』
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構成・文
ライター 中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。