前編ではストレートネックの原因や症状、放置リスクについて解説しました。後編では、簡単にできるセルフチェックやケア方法を、作業療法士が解説します。ちょっとした習慣の見直しで、首や肩の負担が軽くなるはずです。
ストレートネックの原因と症状、放置リスクとは?
ストレートネックは、首の自然なS字カーブが失われ、首や肩に過度な負担が掛かる状態です。現代のライフスタイルが主な原因で、特に次の要因が挙げられます。
・長時間のスマホ操作などによる前かがみの姿勢・運動不足による筋力低下・体に合わない寝具の使用
そして主な症状は、次の通り。
・肩こりや首の痛み・頭痛やめまい、吐き気
放置すると痛みが慢性化するだけでなく、自律神経の乱れによる不調や手足のしびれ、頚椎(けいつい)椎間板ヘルニアの発症リスクも高まります。
以下に、簡単にできるストレートネックのチェック方法とケアについて詳しく解説します。
今日から始めるストレートネック対策! 簡単セルフチェックとケア方法
ストレートネックのチェック方法は、次の通りです。
(1)壁に背中を向けて立ちます。(2)かかと、お尻、肩甲骨を壁に付け、後頭部と壁の距離を確認しましょう。
頭が壁から離れているか、意識しないと頭が壁に付かない場合は、ストレートネックの可能性が高いです。
セルフチェックを終えたら、次は予防とケアに取り組んでいきましょう。日常生活で簡単にできる方法を紹介します。
・正しい姿勢を意識する 前かがみの姿勢は、ストレートネックの大きな要因です。
スマホを操作するときは、画面と目の高さが同じになるように持ち上げましょう。重くて腕が疲れるときは、スマホを持っている方の肘を反対の手で支えると楽になります。
デスクワーク時も同様に、モニターの高さに気を付けましょう。パソコン機器は猫背予防のため、デスクトップ型を使用するのがおすすめです。ノートパソコンの場合は、スタンドや台を使って10~15cmほど高くして、外付けキーボードを使うと良い姿勢が保てます。
・ストレッチをする ストレートネック対策には首のストレッチと、姿勢を整える胸のストレッチが効果的です。
首のストレッチ(1)手を頭の後ろで組み、頭を前に倒します。(2)顎を上げて頭を後ろに倒し、首の前側を伸ばします。(3)右手を頭の上に置き、引き倒すようにして左側の首筋を伸ばしましょう。(4)左手で同様の動作を行い、右側の首筋を伸ばしてください。(5)各動作を15秒ずつ、2セット行います。
胸のストレッチ(1)足を肩幅くらいに開いて立ちます。(2)両腕を背中に回し、お尻のあたりで手を組みましょう。(3)顔を上げ、両腕を体から離して斜め下に引き下げます。(4)左右の肩甲骨を寄せ、胸が伸びるのを感じながら20秒キープしましょう。これを3セット行います。
・適切な寝具を選ぶ ストレートネック対策には、枕の高さに注意しましょう。高過ぎる枕を使うと、仰向けで寝たときに首が前に折れ曲がり、ストレートネックを引き起こします。高さが調整できるものや、自分に合った枕を選ぶのがおすすめです。
症状が重い場合は専門医に相談を
ストレートネックは多くの人が抱える悩みですが、早めの対策で症状の緩和や予防ができます。ただしつらい症状が続くときは、無理せず専門の医療機関に相談してください。
<参考資料>・医療法人静光会 白川病院「【ストレッチ動画付】ストレートネックの原因とその改善法について」・日本医学柔整鍼灸専門学校 「【コラム】スマホ首(ストレートネック)の改善&予防!」・学校法人大麻学園 四国医療専門学校「ストレートネック(スマホ首) ストレッチとツボでスッキリ!」・北星学園大学医務室 健康ステップアップ「目と身体に優しいスマホ、パソコンの使い方」・札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部保健室「保健室だより6月」
(奏かえで)