仕事のストレスが限界かも……。休んだ方がいい?
心療内科BESLI CLINICの田中奏多先生が考える「限界サイン」とは。
心と体に無理をさせると、うつ病を発症するリスクもあります。“限界”と感じたときの対処法や病院で相談する目安も確認してみましょう。
仕事のストレスで限界に達すると起こること
- 集中力の低下・仕事のミスが増える
- 倦怠感・体を動かすのがつらい
- 胃痛・腹痛
- 息苦しい・胸が苦しい・胸の圧迫感
- 食欲の低下
- 下痢・便秘
田中先生:上記の症状が出ている方は、仕事のストレスで “限界”に達している可能性があります。
過度なストレスは、内臓などの体全体の調子を整える自律神経の乱れにつながるため、体の不調が伴いやすくなります。
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心当たりは? ストレスを感じやすい職場環境にありがちなこと
- 上手くこなせない仕事を担当している
- 仕事の「締め切り」に常に迫られている
- きついノルマを課せられている
- 仕事の内容に体力が追いついていない
- 職場の人間関係に行き詰まっている
- 相談できる上司など、頼りがいのある人や気持ちをわかってくれる人がいない
田中先生:上記のような職場環境だと、仕事でストレスを抱えやすくなります。加えて、仕事で私生活が圧迫されていると、心身に限界を感じやすくなります。
とくに「睡眠不足・不眠が続いている」「食事が満足にとれていない」「十分に休息できていない」といった人は要注意です。
仕事でストレスを感じる状態が続くことにより、「うつ病」を発症してしまうケースも少なくありません。
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睡眠障害、だるさ、頭痛、肩こり、冷え、めまいなどが続いている場合、うつ病の疑いが強くなります。
うつ病が悪化すると、自分を責める気持ちが強くなり、次第に生活に支障をきたすようになります。自分の心を守るためにも、「限界かもしれない」というときは、早めの対処をおすすめします。
一度病院に行ったほうがいい目安
- 日々できていたルーティンワークがこなせない
- 人の視線が常に気になる
- 感情をコントロールできず、イライラする
- 涙が止まらない
- 負の感情が強く立ち直れない
- 自己否定が止まらない
- 気分の起伏が激しい
上記に2つ以上当てはまり、今まで通りに日常生活を送ることが難しいときは、医療機関の受診を検討しましょう。
また、「仕事を休めない」「上手く休息できない」という方も、一度医療機関で相談してみることをおすすめします。
すぐに病院へ! 危険な症状
- 3日〜1週間以上眠れていない、眠いのに眠れない
- 食欲がなく体重が急激に落ちている
- 無気力で何も楽しめない
- 過食が止まらない、食べ過ぎになることが増えてきた
- 飲酒量が急激に増えた
- 気をつけているのにミスを繰り返してしまう
- ないはずの声が聞こえる
- 何かにコントロールされているように感じる
上記の症状がある方は、早急に医療機関を受診しましょう。そのままの状態で放置していると、仕事や家庭に大きな影響が及んだり、治療期間が長引いたりするリスクがあります。
精神的な症状が強いときは「精神科」、体の不調を伴う(頭痛・下痢など) 場合は 「心療内科」ですが、精神科・心療内科の受診に気が進まない方は、まずは「内科」を受診して体に不調がないかを確認してもらうのもよいでしょう。
次:限界を感じたら、まずどうするといいか
限界を感じたら、まずどうするといいか
まずは「休む」
田中先生:仕事のストレスで“限界”を感じている場合は、休暇をとってしっかりと休みましょう。
疲労が溜まりすぎると、心と体に不具合を起こしやすくなります。長い休暇がとれない場合は短期間でもよいので、気持ちが休まる時間を作りましょう。
また、好きな物を食べる・好きな場所へ出掛ける・好きな本をゆっくり読むといった「自分が幸せを感じられること」を行うと、気持ちをリフレッシュしやすくなります。
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そして「気持ちをわかってくれる人」と話そう
田中先生:「気心の知れた友人」や「家族」に悩みを話すと、気持ちがスッキリすることも多いです。自分のことを否定せずに肯定してくれる人と、会話をしましょう。
ただし、悩みを打ち明けられないときは、無理に話す必要はありません。直接的な内容が話せなくても、楽しい話ができるだけでリフレッシュにつながります。 関連記事:辛い時、「悩みを相談できる人」がいない。誰かに話を聞いてほしい…どう切り抜ける?
監修者プロフィール
田中 奏多先生
福島県立医科大学卒業。「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
<Edit:編集部>