日本のプレミアムなホテル
清水寺と高台寺の間に位置する霊山(りょうぜん)に、世界有数のリゾート&ホテルブランド「バンヤンツリー・東山 京都」が2024年8月に誕生した。52室のラグジュアリーな客室と人気のバンヤンツリー・スパ、そして2つの個性的なダイニングを備えたバンヤンツリー・東山 京都には、ここにしかない体験と時間が約束されている。
世界的に憧れのリゾートホテルと人気が高いバンヤンツリー
バンヤンツリーのはじまりは、1984年へ遡る。バンヤンツリー創業者がタイ・プーケットのバンタオ湾にある550エーカーにおよぶ錫鉱山の跡地を取得し、汚染された土地を浄化するために7,000本を超える樹木を植樹して、酸性化した土壌を10年掛けて改善。
1994年、バンヤンツリーグループのフラッグシップ リゾートとなる「バンヤンツリー・プーケット」をはじめとする、アジア初の統合リゾートである「ラグーナ・プーケット」が誕生する。ラグーナ・プーケットは海辺の大きなラグーンを中心に、現在9つの高級リゾートホテルやヴィラが建ち並び、その近くにはゴルフ場やレストランが点在するプーケット随一の高級リゾートを形成。現在もさらなる開発が続いている。
また他にも、世界的なリゾートブランドの象徴として、世界の景勝地や歴史的な聖地、また美しいビーチやリゾート島などに次々とオープンさせており、地域活性・環境保護・ローカルコミュニティへの還元など、サステナブルな開発を行っている。
人気観光地「京都」につくられた、日本の伝統美に酔いしれる滞在
では、バンヤンツリーグループが京都でどのような世界観を作り出したのか、やはり興味が湧いてくる。
急な坂道をのぼっていくと京都市街を一望できる高台にたどり着く。そこに現れたのは、日本の伝統技術によってつくられた美しい木造の正門。喧騒を離れた静寂の空間と特別な時間の入り口である。
バンヤンツリーが描く日本の伝統美として掲げられたコンセプトは「幽玄」だと言う。幽玄とは、深遠な神秘を表す言葉であり、「風姿花伝」や「花鏡」といった世阿弥が残した能楽書に度々使われ、能と深く結びついた概念でもある。
そのコンセプトを象徴するように、ホテル敷地内には約12mの高低差を活かした3つの庭と竹林が広がり、中には「隈研吾建築都市設計事務所」がデザインした能舞台「The Noh Stage」がある。
木組みだけの構造体であるこの能舞台は、周囲の竹林、そして空と溶け合い、独特な建築美を持つ。水盤に浮かび建つその姿は、まるで時空を超えた空間のようであり、人間界と自然界の境界のようにも見える。
東山の霊山エリアといえば、敷地の北には大谷祖廟、南には鳥辺野とよばれた場所があり、古くから現世と来世を隔てる結界のような場所とされている。現在もこのエリアには寺院や神社が多く存在し、街中の賑わいとは異なり、神聖な静けさを保っている。
日本の美意識とリラクゼーションを追求するバンヤンツリーの感性の融合
次は客室を見てみよう。
ホテルのコンセプトである「幽玄」を踏まえ、能舞台にちなみ能の伝書のひとつ「風姿花伝」の中から「秘すれば花」という一節を客室のテーマにも掲げている。大きなヒバの木のバスタブや畳があったり、金箔のアクセントが使われていたり、日本の伝統的な技法が施されている。
ここにはかつて京都では珍しく温泉の源泉を有する老舗宿「ホテルりょうぜん」があったことから、天然温泉を引いており、客室の一部「ONSEN」ルームには天然温泉が引かれている。またゲストのみが使用できる大浴場「天然温泉」も完備。内湯に加えて露天風呂も楽しめる。
食に関しても興味津々である。シグネチャーダイニング「りょうぜん」では、地元の食材で作る会席料理、和食割烹料理を提供。京都の清らかな軟水に合う5年熟成の利尻昆布からとったコクのある出汁を堪能したり、京野菜や京都ならではの調味料を使ったり、ここでしか味わえない五感に響くヘルシーな食体験が待っている。
また、20席しかない隠れ家的なバー「BAR RYOZEN」では、県外に流通しない希少な日本酒を含む30種類以上の京都の地酒やプレミアム日本酒のほか、RYOZEN抹茶ジントニックやMirinブリーズなど、ローカル食材を使ったカクテルなど、独創的な味わいが楽しめる。
バンヤンツリー・東山 京都では、宿泊ゲスト向けに日本の文化体験のアレンジも行っている。能面師の工房を訪ねたり、非公開の香道体験をしたり、旅の醍醐味でもあるプレミアムな体験も叶えてくれる。
「京都」の街中の喧騒から離れて、バンヤンツリー・東山 京都が作り出す空間や時間に遭遇すると、古都・京都の本当の魅力を静かに感じることができるはずだ。
Text by Yuko Taniguchi
バンヤンツリー・東山 京都
京都府京都市東山区清閑寺霊山町7番地