子育てにはなにかとお金がかかります。子どものころやりたいことを習わせてくれたり、行きたい大学に行かせてくれたり、教育費を惜しまずに育ててくれた親のありがたさは大人になってから気付くものかもしれません。今回は私の友人A子さんから聞いた、出産を機にバリキャリからパートへ転身した彼女が親に対して罪悪感を抱いている話を紹介します。親の本音を知った彼女は……。
バリキャリからパートへ転身
A子は国内の有名大学を卒業後、大手海運会社に採用され就職。大変やりがいのある仕事で給与面も申し分なくバリバリ働き、公私ともに充実した毎日を送っていました。社内恋愛を経て今の夫と結婚し、諸々の事情から2人目の出産を機に退職することに。
数年間は子育てに専念していたものの、最近では近所の中小企業でパートとして働いているA子。給料は正社員時代より少なくなりましたが、今の職場に何も不満はありません。A子の希望であった家庭を最優先にできる仕事があること、そしてそのような形で働くことに理解を示してくれている夫にも会社にも感謝しています。
どこかで親に対して罪悪感が……
自分の希望通りの生活を送っているかのように見えるA子でしたが、せっかく良い大学を卒業して15年以上もキャリアを積んできたにもかかわらず、正社員を辞めてパートとして働いていることに、なんとなく罪悪感がありました。
もちろんパートで働くのが悪いことではありません。
しかし、下宿費用や大学の授業料など、自分が親になっていかに子育てにお金がかかるか分かっただけに、すっぱりと自分の正社員としてのキャリアを手放してしまったことに関して、親に対し申し訳なさを感じていました。A子の実家は貧乏ではなかったものの、特別裕福というわけでもありません。お金をかけて育ててもらったにもかかわらず、本当にこれで良かったのかと考えてしまうのでした。
とはいえ、子どもが2人いるなかで、独身時代のような働き方ができる自信もなく……。
母の予想外の言葉
先日母に会った際、「このままでいいのかな……」と思いながらも今の働き方が自分にとってはバランスが取れていて合っていると感じていることを話しました。
すると母は、「いいんじゃない? 夫婦で納得してるなら」と言いました。共働きかつ正社員として家庭と仕事を両立してきた母は、A子の働き方が羨ましいとも。
母のやさしさ
A子は母から「良い大学を卒業してキャリアもあるんだし、正社員で働きなさい!」と言われると思っていたため、母の言葉は予想外でした。娘が感じている罪悪感を感じとったのか、A子は母の言葉から母のやさしさや愛情を身に染みて感じ、肩の荷が下りた気がしました。
やはり親はいつも子どもの幸せを一番に考えているのでしょう。A子さんにはぜひともどんな形であれ親孝行してほしいものです。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:ichika.K
2児の育児を機に、ママの悲喜こもごもを描くライターとしての活動をスタート。子育てメディアなどの執筆を経て、独立し現在はltnでコラムを連載中。大手企業の総合職でのOL経験、そこから夫の単身赴任によりワンオペでの育児を行った経験から、育児と仕事を両立するママの参考になる情報を発信すべく、日々情報をリサーチ中。