大根は1本まるっと買ってしまうと、鮮度のいいうちに使い切るのが難しい野菜です。でも最近、中華の巨匠・脇屋シェフが大根を300gも使うレシピをYouTube紹介していたんですよ。大根と鶏ひき肉で作る「塩あんかけ焼きそば」がそれ。味つけには、とんこつラーメンで有名な高菜漬けを使うのがポイントのようです。いったいどんな味わいになるのでしょう。さっそく作ってみましょう。
中華のアイアンシェフとして一躍有名になった脇屋シェフ。東京ヒルトンホテル、キャピトル東急ホテル、リーセントパークホテル総料理長、トゥーランドット游仙境などを経て、現在は「Wakiya一笑美茶樓」のオーナーシェフです。中国料理にフランス料理の要素を取り入れた「ヌーベルシノワ」の先駆者として知られています。
脇屋シェフの「大根と鶏のあんかけ焼きそば」の材料と作り方
【材料】※2人分
大根…300g
鶏ひき肉…100g
高菜漬け…30g
青ねぎ…5本(好みで調整してください)
中華蒸し麺…2玉
塩…3g
ゴマ油…小さじ1
しょうゆ…小さじ1
大根は5cm長さの棒状に切っておきます。
青ねぎはざく切りにしておきます。
高菜漬けは粗みじん切りにしておきます。
太白胡麻油…大さじ1強
酒…大さじ2
鶏がらスープ…150ml(鶏がらスープの素(顆粒)を記載の分量の水で溶いたもの)
塩…小さじ1/2(漬物の塩分をみて調整)
白こしょう…少々
しょうゆ…少々
水溶き片栗粉…大さじ2
ゴマ油…大さじ1
【作り方】※調理時間:25分
1. ボウルに大根を入れて塩を振って揉み、しんなりするまでおきます。
2. ボウルに麺を入れて600Wの電子レンジで2~3分加熱します。
3. ゴマ油としょうゆを加えて混ぜます。
4. フライパンに太白胡麻油を入れて中火にかけ、麺を広げて入れて焼きます。
5. きつね色になってきたら裏返して同様に焼き、キッチンペーパーを敷いた皿に取り出してほぐしておきます。
6. そのままのフライパンに鶏肉を入れて、中火で炒めます。
7. 白っぽくなってきたら中心を空け、高菜漬けを加えて炒めます。
8. 大根の水気を絞って加え、炒めます。
9. 酒、鶏がらスープを加え、フタをして2~3分煮ます。
10. 青ねぎを入れ、スープの味をみて、しょうゆ、塩、こしょうで味を調えます。
11. 水溶き片栗粉でとろみをつけます。
12. ゴマ油を回し入れます。
13. 麺を皿に盛り、餡をかけて出来上がりです。
脇屋シェフの焼きそばはこれまでにもいくつか作りましたが、麺の両面をよく焼き付けて内側との食感の違いを楽しむ調理法、簡単なのにおいしくて好きです。今回はそこに餡がかかっていますが、それほど汁感の強くない餡ですので、餡と言うよりは具を乗せて食べるという感じでした。塩もみした大根がしっかりとスープを吸っておいしくなっている上に、高菜漬け独特の風味が旨味として乗っかって、具だけでもかなりおいしい。それを焼きそばと一緒に口に入れると、いろいろな食感と味が混ざり合って、見事においしい焼きそばが堪能できました。最近漬物をポイントとして使う料理が増えてきたような気がしますが、漬物自体がすでに完成されている味なのに、味を喧嘩させることなく上手に使っているところはさすがプロだなと感心します。
野菜は塩もみすると水分が抜けて、味が染みやすくなると同時に臭みや苦味も消してくれるという効果があります。塩は人体にももちろん必要ですが、肉や野菜にとっては腐敗を抑えてくれたり発酵や熟成を促したりする効果があり、食材をおいしくする役目も果たします。大根も切ってそのまま炒めただけではこれほどおいしくはなりませんし、独特の苦味も残ってしまいます。いったいどんな偶然から見つけた技術なのか分かりませんが、塩が確実にわたしたちの食生活を豊かにしてくれているのは間違いありません。
高菜漬けは正直自分の中ではそれほどなじみのある漬物ではなく、とんこつラーメンのトッピングで辛子高菜漬けを乗せる程度で、普段の食事での登場はほとんどないと言っていい漬物です。でも、東京でもスーパーの漬物コーナーに必ずと言っていいほどありますので、それなりに名の知れた漬物であることは間違いありません。とんこつラーメンのトッピングに選ばれたのも産地という地域性と同時に高菜の持つ臭み消しの効果があるからで、九州ならではの組み合わせだと思います。
なかなか減らない大根が想像以上においしい餡に生まれ変わりますので、ぜひ作ってみてください!