因果応報という考え方は、決して迷信ではない。かつて裏切りの快楽に浸った者は、巡り巡って同じ痛みを味わうことになるのが世の常だ。
『離婚まで100日のプリン2 5年後にサレタ側のババロア』(きなこす/KADOKAWA)は、まさしくそんな一例をリアリティ豊かに描いた、スリリングな展開の愛憎劇である。
本作は、『離婚まで100日のプリン マンガでわかる 決別or再構築、どうしよう?』(きなこす/KADOKAWA)の続編に当たる。主人公は、前作で専業主婦プリ子の夫・プリ彦との不倫の果てに彼らの家庭を崩壊させた張本人・ババロアだ。
かつての過ちを深く悔やみ、反省の日々を送ってきたババロア。社内不倫の末にクビになった彼女は、猛勉強して転職した先で、過去のすべてを理解した上で受け入れてくれる男性・カス寺と巡り合う。彼と結婚し、ようやく穏やかな日々が始まると思った矢先、今度はその夫に不倫疑惑が浮上。葛藤するババロアは、再び過去の自分と向き合わなければならない状況に否応なく立たされるのだが――。
本作の見どころは、主人公がかつて犯した過ちが、まったく同じ痛みをともなって彼女自身に返ってくる、その過程のリアルさにある。心の中に深い空洞ができたような喪失感と苦痛は、自分自身で体験しなければ到底理解できるものではないだろう。主人公・ババロアは、「シタ側」から「サレタ側」になってみて初めて、本当の意味で過去の自分と向き合うことができたのだ。
また、前作に引き続き、登場人物たちの見た目の可愛らしさも本作の大きな魅力のひとつ。ババロアにカステラ、パンナコッタといった人気スイーツをモチーフとしたキャラクターたちのキュートすぎる姿は、不倫や略奪といった重いテーマの物語であるにもかかわらず、思わず癒されてしまう。絵柄のポップさと展開のインパクトが生み出すギャップを存分に楽しみながら読んでほしい。
文=ネゴト / 糸野旬