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伊勢志摩の旅はアマネムで天然温泉に癒されて──神聖な土地に佇む安らぎと寛ぎのサンクチュアリ

  • 2025.3.28

豊かな自然に囲まれたサンクチュアリ

建物はケリー・ヒルが「日本の原風景」と「古民家」をコンセプトにデザイン。写真は「アライバル・パビリオン」。
Facility建物はケリー・ヒルが「日本の原風景」と「古民家」をコンセプトにデザイン。写真は「アライバル・パビリオン」。

来年の開業10周年を目前にして、さらにパワーアップしたと噂のアマネムを体験できる機会に恵まれ、さっそく訪れてみた。伊勢志摩は「日本国民の総氏神」とされる伊勢神宮のお膝元のいわば日本最高の聖地。アマネムはその伊勢神宮の南側、伊勢志摩国立公園内の中にあり、美しい英虞湾の海岸線沿いの静かな森に囲まれた桃源郷だ。

複雑に入り組んだリアス海岸と湾内の島々が風光明媚な景色を創る英虞湾。
Amanemu, Japan - drone shot of resort.tif複雑に入り組んだリアス海岸と湾内の島々が風光明媚な景色を創る英虞湾。

最寄り駅は近鉄の賢島駅で、東京からの移動がおよそ4時間。大変だと思いきやこれが意外にも快適で驚いた。品川から新幹線で名古屋駅へ。20分ほどの待合い時間で近鉄特急に乗り換え、そこからは、少しだけ奮発して予約したデラックス席に深々と座り、のんびりと車窓を眺めながら2時間ほどの鉄道の旅。駅に到着したら、ホテルスタッフが出迎えてくれる。専用のホテルカーで今度は20分ほど、美しい海を望みながら上り坂を行く。アオサの養殖網があちらこちらに張られていて、煌めく水面に浮かぶ真緑色のアオサが、春の訪れを告げているようだ。

広大な敷地の中に24 室のスイートと8棟のヴィラ、カフェ、レストラン、スパなどが点在する。
Amanemu, Japan - Resort, exterior 2.tif広大な敷地の中に24 室のスイートと8棟のヴィラ、カフェ、レストラン、スパなどが点在する。

しだいに高まる期待に胸を膨らませながら、あっという間の20分。炭色の杉材の外壁とチャコールグレーの瓦屋根の平屋造りの建物が現れ、ロビー棟のガラス窓の向こうには真っ青な海と空が広がっていた。広大な敷地には独立した24 室のスイートと8棟の2ベッドルームヴィラがあり、他にバーラウンジやレストラン、ロビー、スパが点在している。その日もほぼ満室とのことだったが、他のゲストに会ったのはティータイムのラウンジとディナータイムのレストランだけで、プライベート感は半端ない。

日本民家に着想を得たモダンな佇まい

緑豊かな木々に覆われたガーデンビューの「モリスイート」。寝室とリビングエリアがひと続きの99㎡。
Amanemu, Japan - Accommodation 4.tif緑豊かな木々に覆われたガーデンビューの「モリスイート」。寝室とリビングエリアがひと続きの99㎡。
ウェルカムアメニティは、季節のフルーツとオリジナルのローステッドグリーンティー(ほうじ茶)。
ウェルカムアメニティは、季節のフルーツとオリジナルのローステッドグリーンティー(ほうじ茶)。

デザインを手がけたのは「アマン東京」や「アマン京都」と同様、建築家ケリー・ヒル率いるチーム。日本民家に着想を得ながらもノスタルジックに走ることなく、モダンを極めた。今回宿泊した「モリスイート」は天井が高く、木をふんだんに使ったナチュラルな素材で統一され、周囲の森とシームレスにつながる空間は素直に心地がいい。雑音は皆無で、時折聞こえてくるのは鳥のさえずりだけだ。

バーラウンジで楽しむティータイム「OYATSU」。この日のスイーツは、伊勢志摩名物の「さわ餅」とチョコレートケーキ。
バーラウンジで楽しむティータイム「OYATSU」。この日のスイーツは、伊勢志摩名物の「さわ餅」とチョコレートケーキ。

石造りの客室風呂で湯浴みを愉しむ

ミネラル分の豊富な天然温泉が楽しめる客室風呂は解放感も抜群。
Amanemu, Japan - Mori Suite Onsenミネラル分の豊富な天然温泉が楽しめる客室風呂は解放感も抜群。

まずは客室に用意されたオリジナルのカモミールティーを淹れて、ウエルカムフルーツをいただきながらゆったりと過ごす。アマネムの魅力のひとつは温泉。アマンリゾーツの施設の中で初めて温泉を取り入れたのがアマネムだ。客室に引かれた約60度の温泉を石造りの大きなバスタブに張り、水は足さずに2時間ほど待てば、適度に冷めて快適な温度になる。

土地の恵みや季節感満載の料理に舌つづみ

リアス海岸がアオサの生産に適することから、三重県は全国一の生産量を誇る。
リアス海岸がアオサの生産に適することから、三重県は全国一の生産量を誇る。

伊勢志摩と言えば、御食つ国(みけつくに)とうたわれる食材の宝庫。2016年の伊勢志摩サミットでも、海外の要人たちをうならせた。伊勢エビやアワビなどの豊富な魚介に加えて、新鮮な山の幸を総料理長の北原克敏が見事な皿に昇華させる。例えば先付は、春キャベツに煮鮑、ウニ、キャビアを合わせる。前菜は赤貝、アコヤ貝にこの時期だけの春ワカメ。牛タンの赤みそ仕立てや、松阪牛の炭火焼きも絶品だ。土地の恵みや季節感満載の料理は旅の醍醐味だと、つくづく幸せな気持ちにさせてくれる。

朝食の和定食は、伊勢神宮のお膝元でいただく食事にふさわしい白木箱で。炊き立ての土鍋ご飯も。
The Restaurant朝食の和定食は、伊勢神宮のお膝元でいただく食事にふさわしい白木箱で。炊き立ての土鍋ご飯も。
岩戸に隠れた天照大神を踊りで誘い出したという天鈿女命(あまのうずめのみこと)の舞に由来する「祭祀舞」。
岩戸に隠れた天照大神を踊りで誘い出したという天鈿女命(あまのうずめのみこと)の舞に由来する「祭祀舞」。

翌日のエクスペリエンスがまた素晴らしく、とくに横山展望台にはぜひ訪れてみてほしい。高台から望む英虞湾の絶景は本当に見事で、大げさではなく、日本の自然美を目のあたりにして心が震えた。その後に案内された伊勢神宮内宮の別宮「伊雑宮」は、神様に捧げる米を育てる御料田を持つ神社であり、田んぼの前には木の皮を剥かずにそのままの状態の珍しい黒木の鳥居が立っている。毎年6月には国の重要無形文化財に指定されている田植祭が行われるそうだ。

アマンが誇るスパはメニューも充実

広さ2,000㎡のスパにはデイベッドを備えたサーマル・スプリングガーデンも。
Amanemu, Japan - Aman Spa広さ2,000㎡のスパにはデイベッドを備えたサーマル・スプリングガーデンも。

そしてアマンと言えばスパ。2,000㎡の広さを持ち、施設とサービスの充実ぶりは群を抜いている。プールを思わせる広々とした屋外の温浴施設「サーマル・スプリング」では、温度が異なる2つの温泉に交互に入ることで代謝を促し、心も身体もリフレッシュできる。トリートメントスイートでは、特産物の真珠の粉や地元で採れた塩、漢方の生薬にもなる植物を使ったハーブボールなど、多彩なトリートメントが準備され、パーソナライズされた施術が夢心地へと誘う。

伊勢志摩の特産物の真珠の粉や地元で採れた海塩などを使ったトリートメントは秀逸。
Amanemu, Japan - Aman Spa伊勢志摩の特産物の真珠の粉や地元で採れた海塩などを使ったトリートメントは秀逸。

3月から館内のアクティビティとして、神社などで奉納される祭祀舞が加わった。赤い袴と菊の冠を着けた舞い手たちが願いを込めて踊る世界平安を祈る舞や五穀豊穣を祈る舞は、神聖な地に佇むアマネムらしいエクスペリエンスだ。

アマネムを訪れるならぜひ連泊をおすすめしたい。奮発ではあるが、この宿の神髄が味わえるし、それだけの価値は十二分にある。2日目に入ると周りの静けさにもすっかり慣れ、五感が研ぎ澄まされ、鳥の声や風の音が鮮明に聞こえ始める。聖地ならではの神聖な空気に包まれて、自分自身の心身も整ってくる。安らぎと寛ぎを求める旅には本当におすすめの宿だ。

アマネム

三重県志摩市浜島町迫子2165

Tel./0599-52-5000

料金/1室1泊215,050円~(朝食付・2名1室利用)※2025年3月現在

https://www.aman.com/ja-jp/resorts/amanemu/

Photos: Courtesy of Amanemu Text: Yuka Kumano Editor: Mayumi Numao

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