アメリカでは今、ゲストを楽しませる「食の体験」を取り入れた婚礼料理が人気です。伝統的なビュッフェやシンプルな料理形式よりも、ゲスト参加型のインタラクティブな要素を加えた料理が人気です。
その1つはグレイジングテーブル(Grazing Table)と言われるスタイルです。
Grazingを直訳すると「放牧」。動物が自由に草を食べる光景が元となり、大皿に盛りつけられたチーズ、シャルキュトリー(ハム・サラミなどの加工肉)、パン、クラッカー、フルーツ、ナッツ、ディップ、野菜、チョコレートなどを美しく並べ、ゲストが料理やスイーツを自由につまみながら、少しずつ時間をかけて取り分けて楽しむスタイルです。
ご覧いただいている写真は、アメリカの業界関係者が集うコンファレンスで撮影したグレイジングテーブルです。同テーブルを提供するEdenopolis Catering & Events社がアレンジしたものでした。
人気の秘密は、「見た目の豪華さ」 と 「カジュアルな雰囲気」 を両立させたスタイルで、SNS映えすることからも人気です。また、フォーマルなウエディングだけでなく、カジュアルなガーデン・ウエディングやビーチ・ウエディングにもよく採用されています。
インタラクティブな要素としては、ビュッフェのように決まったメニューではなく、ゲストが自分の好みに合わせて選べることです。特に食材の組み合わせを自分でカスタマイズできる点が楽しいですね。
テーブルを囲みながら、ゲスト同士のコミュニケーションが活発になることも期待できます。例えば、料理とワインのペアリングや、チーズの種類に関する話題は、会話を弾みやすくしてくれることでしょう。
ウエディングのテーマに合わせたカスタマイズも人気です。地元産のチーズやシャルキュトリーを使ったローカルフード重視のグレイジングテーブル。ヘルシー志向のゲスト向けなら、ビーガンチーズやグルテンフリーのパンを取り入れたヘルシー・グレイジングテーブル。そして、スイーツを中心にしたデザート・グレイジングテーブル(写真はチョコレート、クッキー、ケーキ、フルーツなど)も人気です。
「私たちは企業イベント、祝賀会、結婚式、カクテルパーティなど、どんな規模のイベントにもユニークでカラフルなデザインを提供しています。パーティそのものを愛し、贅沢で喜びを呼び起こす豊かなグレイジングテーブルを作り出すことに情熱を注いでいます」とオーナーシェフのリチャード・ヴァンデルプラス(Richard Vanderplas)さんは言います。
こちらの動画では同社が提案しているさまざまなグレイジングテーブルがご覧いただけます。 さて、もう一つの新しいトレンドは、モクテルバー(Mocktail Bar)です。ゲストはプロのミクソロジストが作るクリエイティブなノンアルコールドリンクを楽しむことができます。おしゃれでフレーバー豊かなドリンクは、アルコールを飲まないゲストや、ユニークでさっぱりしたものを楽しみたいゲストにぴったり。下記の写真はThe Cup Bearerの例になります。
※ミクソロジストとは、創造的で革新的なカクテルを生み出すカクテル職人(プロフェッショナルバーテンダー)。
Mocktail(モクテル)とは、"Mock"(まねた・模擬の)+ "Cocktail"(カクテル)を組み合わせた言葉で、アルコールを含まないカクテル(ノンアルコールカクテル)のことです。そして、モクテルバーは、ノンアルコールカクテルを専門に提供するバー、結婚式やイベントなどで設置されるドリンクステーションのスタイルを指します。
人気の理由には、ノンアル文化の広がりがあります。ヘルシー志向の人が増えたことで、ノンアルコールドリンクの幅広い選択肢が求められるようになりました。そして、幅広い年齢層が参加するウエディングでは、モクテルであれば、お酒が苦手な人や子どもを含む全員が楽しめるというわけです。また、カクテルのように美しい見た目は、SNS映えするフォトジェニックな演出にぴったりです。
それでは、アメリカで人気のモクテルメニューをご紹介しますね。 フルーツベース・ヴァージン・モヒート(ミント&ライム+炭酸水)・ストロベリーレモネード(いちご+レモン+ソーダ)・マンゴーマティーニ風(マンゴージュース+ライム+炭酸)
シャンパン風・ヴァージン・ベリーミモザ(オレンジジュース+ベリー+炭酸水)・ノンアルコール・サングリア(ぶどうジュース+オレンジ&シナモン)
また、モクテルバーのスタイルもさまざまです。
カクテルバー風のオーセンティックスタイル・バーテンダーが目の前でシェイカーを使ってモクテルを作る
DIYモクテルバー・ゲストが好きなジュース・ハーブ・トッピングを選んで、自身でオリジナルのドリンクを作る
プリセット・モクテルステーション・すでに完成して並べられたモクテルの中から、ゲストがセルフで好きなものを選ぶスタイル
いかがでしたか!?
グレイジングテーブルや本格的に凝ったノンアルコールの提供は、日本ではこれからといったところですが、皆さんのウエディングでゲスト体験型の演出として加えてみてはいかがでしょうか?
※この記事は2025年3月28日時点のものです。
Photos: Yoshiyuki Kohara, Edenopolis Catering & Events, The Cup Bearer