健康や美容の基本として、ますます注目されている「睡眠」。忙しい日々の中でも、できるだけ質の良い眠りを確保したいもの。特に春は、日照時間の変化や寒暖差によって体内リズムが乱れやすい季節。さらに、新生活への不安から睡眠不足に悩む人も多いのでは?
そこで、短期集中連載として睡眠のプロが、さまざまな睡眠の悩みに回答。
今回は、睡眠のゴールデンタイムについて質問!
Q、睡眠は健康や美容と密接に関わるからこそ、睡眠のゴールデンタイムが知りたいです。何時に眠ればいいでしょうか?
A、0時には深い眠りについているのがベスト。遅くとも23:30にはベッドに入りましょう。
睡眠のゴールデンタイムの有無について諸説ありますが、私はあると考えています。
睡眠には浅い眠りのレム睡眠、深い眠りのノンレム睡眠の2種類あり、ノンレム睡眠からのレム睡眠という約90分のサイクルを4〜5回繰り返して起床するのが一般的です。その中でも深い眠りが多く得られるのは1、2回目のサイクル。特に寝はじめてから約30分以内に深いノンレム睡眠を出現させることが良質な睡眠と言えます。
細胞分裂をうながし、肌のターンオーバーを促進させる成長ホルモンの分泌は、睡眠によって大きく左右され、深いノンレム睡眠が出現することで適切に大量に分泌するということがわかっています。そのため、健康や美容のためには、寝始め30分以内に深いノンレム睡眠を出現させ、そのタイミングで、成長ホルモンを分泌させることが重要と言えます。
さらに、ストレスが多くなると増えるコルチゾールは、副腎皮質から分泌しますが、コルチゾールの分泌はサーカディアンリズムがあり、睡眠に左右されず、0時前後に最も分泌が少なくなります。副腎の負担が最も小さいそのタイミングで、副腎疲労を回復させる働きもある成長ホルモンを分泌させることで、副腎の機能回復にもつながると言えます。
ストレスに強い心を作るためにも、深夜0時前後が睡眠のゴールデンタイムであるといえるでしょう。
ただ、先述の通り成長ホルモンの分泌は睡眠によって大きく左右します。遅い時は2時、早い時は22時というように、特に就寝時刻がコロコロ変わってしまうと、寝はじめすぐの成長ホルモンの分泌量が少なくなることがわかっています。
そのため、大切なのは毎日同じ時刻に寝ること。無理な就寝計画は避け、休日ではなく、平日、毎朝気持ちよく目覚められるような就寝時刻を設定できるといいですね。
お話を伺ったのは……
睡眠改善インストラクター&公認心理師・小林麻利子先生
SleepLIVE株式会社代表取締役社長。睡眠個人指導歴13年。第32回日本睡眠環境学会奨励賞受賞。科学的根拠のある研究を基に、睡眠や入浴を中心とした生活に合った無理のない実践的な指導が人気を呼び、4,000名以上の悩みを解決。企業向けには、健康経営のための従業員健康支援「スリープアップ」や、メンタルと睡眠を同時にケアする「JCSP日本睡眠改善カウンセリング」をはじめ、エビデンス取得のための受託睡眠研究、マンションやホテルの睡眠空間設計監修など幅広く睡眠事業を手掛ける。著書7冊、NHK「あさイチ」やTBS「初耳学」などTVや雑誌、ラジオ等メディアでも活躍。
【モデル着用】パジャマ¥31,900/トゥモローランド ホーム(トゥモローランド 渋谷本店 03-5774-1711)その他/スタイリスト私物
Model:Emiri
Photo:Shohei Kanaya
Styling:Mie Saito
Hair&Make:Nobuyuki Shiozawa/mod‘s hair
Text:Marie Takada