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『ベイビーガール』は『アイズ・ワイド・シャット』のアンサー映画、ハリナ・レイン監督

  • 2025.3.27
BABYGIRL - Harris Dickinson, Nicole Kidman, 2024.『ベイビーガール』は3月28日より公開。

ニコール・キッドマンが、ヴェネチア国際映画祭で女優賞を獲得したエロティックスリラー『ベイビーガール』。女性CEOが若いインターンの青年の虜となり、秘めていた欲望が暴かれていく様を描く本作は、脚本・監督のハリナ・レインにとって、ニコールとトム・クルーズが主演した『アイズ・ワイド・シャット』のアンサー映画だという。

1999年公開のスタンリー・キューブリック監督作『アイズ・ワイド・シャット』は、倦怠期の夫婦が主人公。妻アリス(ニコール)から、パーティーで見かけた若い海軍士官について聞かされた夫ウィリアム(トム)は、妻と海軍士官との不貞の妄想に憑りつかれ、セックスカルトや殺人の闇に落ちていく。

両作品についてハリナは、「結婚、そして一夫一妻制が題材です」と『エンターテイメント・ウィークリー』に語る。ともに「一夫一妻制と何なのか。人は他者を所有できるのか、それとも配偶者を自由にすべきなのか」と問いかけるが、違いは『アイズ・ワイド・シャット』が完全に男性視点であることだと指摘する。

Tom Cruise And Nicole Kidman In 'Eyes Wide Shut'『アイズ・ワイド・シャット』(1999)

「(『アイズ・ワイド・シャット』の観客は、)アリスの体験していることを知る由もない。私たちの視点は、ウィリアムの心と魂の中にあるのです。私は、彼女がもし自分のファンタジーを実現させていたら、どうなっていたかを知りたかった。本作は、男性視点の『アイズ・ワイド・シャット』に対する、私の謙虚かつ遊び心のあるアンサーなのです。私たち女性は、女性の視点で描かれた物語を求めている。心の準備ができているし、渇望しています」

彼女は、「男性が作る映画では、女性がファム・ファタールかロリータのどちらかであることに対する、遊び心あるリベンジ」として、主人公ロミーが虜になるインターンの青年を意図的にファンタジックな存在として描き、「オーガズムで始まり、オーガズムで終わらせる」ことで、「映画全体を一つの性的ファンタジーのメタファー」に仕立てたそう。それでいて、ヌードはほとんど登場しない。

「性的な映画を、明示することなく作りたかった。身体も見せますが、とてもエレガントで優雅です。ほとんど何も見えません。女性に共感してもらえることを願ってそうしました。これが、セックスに対する女性のものの見方なのです」「ロミーたちのセクシュアリティは特定のものだけど、人々が抱くあらゆる性的妄想のメタファーとなるようにしたかった。自分の飢えや欲望を感じた瞬間、私たちがまず感じるのは恥ずかしさです。私たちは自分自身を解放する必要がある」

Text: Tae Terai

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