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60代男性患者「手術説明、俺だけでいいやろ」看護師「家族同席が必要」断ると…その後の展開に「とても悔しかったです」

  • 2025.6.1
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

医療現場では、患者さんやご家族との連携が治療を進めるうえで欠かせません。しかし時として、予想もしない事態が発生し、医療スタッフが想定外の対応に追われることがあるようです。

今回は、現役看護師のAさん(仮名)が体験した、手術説明での家族対応トラブルについて紹介します。

手術説明に家族が来ない!?予想外の展開に

これは、看護師として勤務している私が経験した、60代男性患者さんとそのご家族とのエピソードです。

その男性患者さんは、翌日に手術を控えて入院されました。

入院当日は16時30分から手術の説明をするので必ず誰かご家族と来るように

と、主治医から何回も外来で説明されていたにもかかわらず、患者さん1人だけで来院されました。

あれ?記録には家族と患者で手術の説明予定って書いてたけど…と思いながら、「ご家族は?」と聞くと、

キーパーソン(患者側責任者)が姉だが、来てとは言っていない。聞くのは俺だけでいいやろ」と一言。

主治医にその旨を伝えると、

患者本人がしっかりしていないから、家族も交えて手術の説明をして同意を得ないと手術はできない

と言われ、患者さんの姉に来院してもらうよう電話をすることになりました。

しかし電話口でお姉さんから返ってきたのは、

急に言われても困る。行けない」という一点張りの返事。

仕方なく主治医へ報告すると、「じゃあ明日の手術はできない。今日はもうこのまま退院してもらって、姉に来院してもらうよう段取りをつけて仕切り直しや。今日はお姉さんに迎えに来てもらって」と言われました。

そして、そのことをお姉さんへ電話したのですが…。

また急に電話してきて次は迎えに来い!?日ぐらい入院させたってや、どうせ部屋空いてるやろ」とのこと…。

入院費用ももったいないこと、今は病院全体が満床で急性期病院(重症な患者や緊急度が高い患者の治療をおこなう病院)であること、急患が来る可能性もあるし主治医から退院許可が出ている以上は退院してもらわないと困る、と伝えました。

すると返ってきたのは、「とりあえず迎えにいくのは無理!」という言葉。

最終的には勝手に電話を切られる始末でした。

結局、病院の地域連携の方に介入してもらい、病院側のスタッフで自宅まで送ることになりました。

この事件が起きた時刻は、私の勤務の日勤がちょうど終わる17時過ぎ。この対応で帰ったのは20時、残業3時間でした。これがなかったら定時で帰れたのに…と、とても悔しかったです。

事前説明の重要性と現場の現実

手術前の説明と同意は、患者さんの安全と権利を守るために欠かせない手続きです。

原則として、患者本人が意思表示できる状態であれば、手術の同意は本人から得られれば問題ありません。ただし、リスクの高い手術や高齢・理解力に不安がある患者の場合、医師が家族の同席を求めるケースもあります。

急性期病院では、ベッドの効率的な利用や緊急患者への対応が常に求められています。予定していた手術が延期になれば、他の患者さんの治療スケジュールにも影響が出てしまいます。そうした中で、医療スタッフは患者さんやご家族との調整に奔走し、時には予想以上の時間と労力を費やすことになります。

今回のエピソードでは、地域連携の方に介入してもらうことで解決しましたが、本来であれば事前の説明通りに進められるのが理想的でしょう。医療現場では、患者さんとご家族、そして医療スタッフが互いに協力し合うことで、より良い治療環境を作っていくことが大切ですね。



《取材協力》
現役看護師・Aさん
2011年に正看護師を取得し、急性期病院と施設内訪問看護を経験。現在は子どもに関わる仕事に従事中。看護師×webライターとして活動中。「言葉」で人を救いたい!と、心に響くような発信を意識しています。3人の子どもを育てながら働くパワフルママ。