台湾で感じたカルチャーショックについて描いた漫画が、Instagramで7600以上のいいねを集めて話題となっています。
学校からの帰り、息子の荷物があまりにも重かったので、持ってあげようとした母。すると、それを見た担任の先生が「お母さんになんてことさせるの!?」と驚いて駆け寄ってきました。台湾では「女性に重い物を持たせない」のは当たり前らしく、息子だけでなく母も叱られてしまい…。読者からは、「素晴らしいジェントルマン教育!」「なかなかのカルチャーショックですね」「確かに台湾人の男性は、女性に優しい人が多いかも」などの声が上がっています。
先生の言葉にカルチャーショック
この漫画を描いたのは、Instagramやブログ「みみ家の台湾的日常。」などで漫画を発表している、ブロガーの「樋口みみ」さんです。2024年6月には、書籍『台湾で食べて育てて覚悟して 気づいたら、暮らし始めて12年め』(竹書房)を出版しました。 樋口みみさんに、作品についてのお話を聞きました。
Q.今回の漫画を描いたきっかけを教えてください。
樋口みみさん「台湾に住んで13年目になり、ある程度のカルチャーショックはひと通り経験してきたつもりでした。が、この先生の言葉を聞いて久々にカルチャーショックを受けました。息子や私を真剣に叱る先生の表情から、心配してくださっている様子がひしひしと伝わり、とても印象的な出来事だったので『ちょっと誰かに聞いてほしい!』と思ったんです」
Q.このとき、息子さんはどのような反応をしていましたか。
樋口みみさん「台湾では母親をとても大事にする文化があるので、先生も『母親を敬いなさい』という意味で、子どもにも分かりやすい『プリンセス』という表現を使ったのかなと思います。息子は言葉通り、素直に受け入れていたようで、すぐに自分の荷物を自分で持ちました」
Q.ご自分がプリンセス扱いされたことについて、どのように感じましたか。
樋口みみさん「『夫ではなく、まさか息子からこのような扱いを受ける日がくるとは…』とうれしい反面、少し戸惑いました。しかし、将来的に女性への気遣いができる男性になれるような教育はいいな、と思いましたね。そんな教育が浸透しているからなのか、台湾には『公主病(お姫さま病)』という、男性に尽くされることが当たり前になっている女性を表す言葉があります(笑)」
Q.その後も、息子さんはプリンセス扱いを続けてくれていますか。
樋口みみさん「スーパーで買い物をすると荷物を一緒に持ってくれたり、弟を乗せたベビーカーのタイヤが段差で引っかかったときに一緒にベビーカーを持ち上げてくれたり、玄関ドアを開けてくれたりなど、さまざまなことを手伝ってくれるようになりました。先生の言葉はテキメンだったようで、あの日以降、自分の荷物を私に『持って』と言わなくなりましたね」
Q.この作品を旦那さまはご覧になりましたか。
樋口みみさん「私の漫画は読んでくれていますが、台湾人の夫は日本語が読めないので、内容を理解しているかどうかまでは分かりません。ただ、先ほどの質問で答えた息子の行動は、全て夫が『普段からしてくれること』『息子に毎日のように伝えていること』なんです。夫本人は、男として当然やるべきことだと思っているのでしょう」
Q.今回のエピソード以外にも、「これはカルチャーショック!」と感じたことはありますか。
樋口みみさん「あり過ぎるぐらいたくさんあるのですが、例えば『台湾人男性あるある』と言われる、『エビの殻をむいてくれること』でしょうか。私はエビアレルギーなので、普段エビは食べないのですが、代わりに夫はピーナッツの殻をむいてくれます。『殻をむいてあげること』は、義父も義母に当たり前のようにしています。日本の実家では、実母が実父にむいてあげる側だったので、私が夫に初めてむいてもらったときはとても驚きましたが、今では私もすっかりお姫さま病です(笑)」
Q.作品について、どのような意見が寄せられていますか。
樋口みみさん「『日本の母は強過ぎてしまうから、プリンセス扱いされないのか…』という意見がとても印象的でした。各ご家庭にもよると思いますが、確かに日本のお母さんはなんでも1人でこなして、頑張り過ぎてしまうイメージがありますよね。そのせいで、なかなかプリンセス扱いされないのかも…。でも、誰だって時にはプリンセス扱いされたいですよね(笑)。
ちなみに、台湾では女性の立場が強い家庭が圧倒的に多いです。夫の友人も話していましたが、家事や育児を手伝わないと、奥さんに何をされるか分からないみたいですよ(笑)」
オトナンサー編集部